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#17 悪魔になった私(5)
この辺はちょっとベタなんですが、お付き合いくださいw
突然立ち止まり、真剣な顔つきでそんなことを言うもんだから、私は狼狽えてしまった。
「そ、そんなこと……」
「だって、私が凪冴くんのこと好きだって言ってから、ヒメコ笑ってくれないし、不機嫌っぽいし……。特に、凪冴くんの話題のときは一回も目を合わせてくれないよね。ヒメコ、お願い、本当のこと言って……?」
自己中で脳天気な弥生が、こんなにも思い悩んでいたなんて……。
とめどない罪の意識が身体中を駆け巡って、そして喉をついた。
「……弥生、あのねーー」
と、その時。
「ねぇねぇ、君たちジョシコーセー?こんなとこで何やってんの?」
派手な服装でいかにも頭の悪そうな男2人組が話しかけてきた。
ヤバい、と一瞬で悟り、男たちを無視して弥生の手を引いた。
「弥生、行こ」
ぐいっと前に乗り出すと、弥生の手がするりとほどけて、彼女の短い悲鳴が聴こえた。
事態を飲み込めなくてあわてて振り返ると、弥生は男の1人に後ろから抱きすくめられていた。
「きゃっ……」
弥生の状態を理解するや否や、私の手首ももう1人の男にがっしりと掴まれた。




