#15 悪魔になった私(3)
今年も残りわずかですね……
悔いのないように過ごそう。
って、もう遅い気もする……汗
「……私、ナギの気持ち考えてなかったよ。私、弥生にナギを渡したくない。……ナギが好きだから」
目から雫を零しそうになりながら言うと、ナギが優しく微笑んでくれた気がした。
『……俺もお前が好きだ』
席に戻ると、ケータイを手に持って、弥生が食いつくように私に迫ってきた。
「教えて!」
席につくように促し、私は弥生の瞳をしっかりととらえた。
私の様子を疑問に思ってか、クリっと大きな瞳が見開かれる。
「ナギのことは諦めて」
絞るように、その言葉だけを紡いだ。
「……どうして?」
驚きを隠せない表情が私を攻め立てる。
ナギの彼女だから。
ナギは私のことが好きだから。
「どうして?」の答えは山ほどある。
けれど私は、
「ナギ、最近バイト忙しくて、構ってあげられないから……って……」
と言った。
もちろん、ナギはバイトなんかしていない。
私は自分を守るために、親友に嘘をついた。
「バイト……?凪冴くん、バイトしてるの?何の!?」
「そ、それは……私にもわかんないよ」
「そっか……。んー、残念だなぁ……」
落ち込んだ表情を見せる弥生に、私の胸にチクリと痛みが走った。
ごめんね、弥生。




