#14 悪魔になった私(2)
「私もついてく!」
そう言って、席を立ちかける弥生。
しかし、弥生が電話の内容を聞いているのでは、私は何としてでもナギにアドレスを教えて貰えるように願い出るフリをしなくてはならない。
弥生にナギの連絡先を教えるのは私が嫌。
「大丈夫だから、弥生はここにいて?ね?」
「う、うん……」
とりあえず弥生を諭し、私はトイレへ向かった。
『……ヒメコ、どうした?』
電話越しに聴き慣れたナギの声が聞こえる。
「あのね、弥生がナギの連絡先知りたいって……」
弥生がトイレまでついてきていないかを確認しながら言うと、
『……何回も言うけどさ、ヒメコが平気なら教えてやればいいじゃん』
不機嫌そうなナギの声が返ってきた。
「何、それ……」
『は?わかんねーの?最近のヒメコ、俺といる時もいっつも思い悩んだ顔して、弥生がどーのこーのって……。面倒くせーんだよ、そーゆーの考えんの』
涙がにじんだ。
確かに、ナギといる時は弥生のことばっかで、どうすればいいか悩んで……、ナギの気持ち考えてなかった。
ナギは、私といる時はゆっくりくつろぎたい、楽しくしたいって思っててくれてたのに。
「ごめん……」
私が『ダメ』って、ちゃんと言わなきゃいけないんだ。
弥生の親友として、ナギの彼女として。




