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天使の刻印  作者: 夕緋
1 はじまり
1/9

逃亡失敗

 その世界で、私は単なる脇役のはずだった。


 空が宵闇に包まれ、三日月が雲の隙間から覗く夜。

 森の中をひたすら駆ける影がひとつと、それを追う複数の影があった。


 追う者たちの中の一人がクスッと笑って呟く。


「粘るねぇ、そろそろ諦めたら〜?」


 全速力で駆けているはずなのに、息は全く乱れていない。

 あどけなさの残る、少年らしい。声からそう判断した逃亡者は懐から何かを取り出した。


「ボンッ!」


 追跡者に向かって投げられ、破裂したそれは、煙幕弾だ。


(効いたか?)


 ちらっと後ろを伺うと、白く煙る先から人影が複数現れた。効いていない。


「なにー、こんなのが僕らに効くと思ったのぉ?」


 幼いが、子供ではないらしい。黙っている他の二人も同様のようだ。

 逃亡者は木に飛び移り、木と木の間を移動した。追跡者たちもついてくる。


(どうする、このままじゃ…!)


 ほんの一瞬、集中力が切れた。飛び移るはずだった枝の上に足が届かず、慌てて伸ばした手も宙をかいた。


(やばっ…!)


 落ちる―――――


 しかし、ガクンッとした衝撃があったと思ったら、逃亡者の体は何者かに抱き抱えられていた。

おそるおそる顔を上げると、ローブを纏った15歳ほどの少年がニヤリと笑っていた。


「つかまえた」


 彼の向こうに見えた三日月が、雲に隠れた。


 ――――ああ、終わった。私の人生。

さっそく逃亡失敗。あっさり捕まりました。


次章からいよいよ物語が動き出します!

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