すべての始まり
この小説は中二病の作者が某ライトノベルに影響され、あくまで趣味で作ったものです。あくまで趣味なので、表現力不足、文章力の無さなどが目立っているかもしれません。また、この作品はシリアスな場面などは存在しません。それらの点をご了承の上、ご覧になって下さい。
※この作品はあくまでフィクションです。現実の団体、個人、ニックネームとは、一切関係していません。
キーンコーンカーンコーン
一学期最後の授業が今のチャイムで終わった。正直、高校生になって初めての夏休みに期待が膨らんで先生の話なんてほとんど聞いていなかった。
「えぇっと、以上の注意をしっかり守って高校一年の夏をしっかり楽しんでくれ。それじゃあ一学期最後の授業をおわります」
先生がそう言い終えると日直がすかさず
「起立、礼」
と口早に言った。
みんな授業が終わった途端、
「ねぇ、海の旅行いつにする?」や、
「早速明日から遊ぼうよ」などと遊びの約束をするのに大変そうだ。
しかし俺は何もしなくても、勝手に話からやってくる。その原因は俺の近くにいるある男のせいである。
「なぁ慧悟、明後日空いてる?みんなで祭りに行くんだけどさ、行く?」
ほらやっぱり。俺の予想どうり話しかけてきたこいつは中島俊哉。こいつとは小学校一年生からずっと同じクラスで、世にゆう腐れ縁ってやつだ。顔はそこらへんの女子と比べたら、勝負にならないくらい可愛らしい。悪い奴ではないが、こいつには人の個人情報を集めることが大好きだ。ついでに言っとくがこいつの得意なことは、尾行とハッキングだ。
「別にいいけど・・どうせ行かないといっても連れて行くんだろ?」
「当たり前じゃん。そうでもしないと慧悟はずっと部屋に引きこもってるでしょ?」
相変わらず鋭い。当たりではないがハズレでもない。
「そっ、そんなことはない」
「お、図星を突かれて困ってますねダンナ」
「図星じゃない!とゆうかなんでそうなる?」
俺がそう言うと俊哉はにやりと笑って、
「「最近ハマっているMMORPGをやり込みたい!」とかおもってるんでしょ?」
「!! な、なぜ知っている・・」
驚きのあまり本音が漏れてしまった。
「小学校からの付き合いだろ☆」
「理由になってねぇぇぇ!」
思わず大声を出してしまった。まだ教室に残っている人全員が俺の方を凝視している。
恥ずかしくなり、体を小さくし、
「で、本当はなんで知っているんだ?」
と尋ねた。すると俊哉は拗ねたように唇を少しとがれせてこう尋ねてかえしてきた。
「言わないとダメ?」
「当たり前だろ」
「絶対?」
俊哉は俺を上目遣いで覗き込んでくる。か、可愛い。一瞬、本気でそう思ってしまったが、こいつは男であることを思い出し、力強く首を縦に振る。
「ああ、絶対言わないとダメだ」
チッ、と舌打ちするのが聞こえた。
「小学校からじゃなく、高校からの付き合いだったら今の作戦にうまいこと引っかかってくれたらだろうなぁ」
「いらんこと考えんでよろしい」
そう言い終わったあと、話がそれかけていることに気づき、話を元に戻す。
「で、なんで知ってんだ?」
「・・・言っても怒らない?」
「内容次第だな」
「じゃあ言わない」
「わかったわかった、言っても怒らない」
俊哉が俺に疑いの目を向ける。
「・・・本当に怒らない?」
「ああ、怒らない」
俺がそう言うと、俊哉は息を大きく吸った。
「実は・・・慧悟のパソコンをハッキングして、何してるか時々観察してたんだ」
「え、えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」
あまりの衝撃発言のせいで本日二回目の大声を出してしまった。
幸いなことに、もう教室に生徒はほとんど残っていなかった。
☆
「まったく、俊哉は本当に・・・ハァ」
思わずため息をついてしまった。しっかりするんだ八神慧悟。
今は12時、新しいワールドが開くのは12半で俊哉とはそのワールドで12時31分に集合だ。
集合までもうすぐだ。とりあえず次のワールドを調べておこう。
そう思いながら俊哉にこのゲームの主なルールを教えてた時のことを思い出していた。
「俺が今やっているMMORPGは、お前も知っていると思うがアイディールワールドだ」
手を挙げて質問する俊哉。
「FMDって使える?」
「もちろん、というか絶対に必要だ」
「絶対って、なんで?」
俊哉が不思議そうに首をかしげている。無理もないだろう。普通のMMORPGならパソコンの画面に合わせて作られているので、FMDを使えるゲームの方が珍しい。しかし、このゲームはよりリアルな「世界」をプレイヤーに提供するためにFMD専用にしてるんだとか。まあおそらくだが、あまり売れの良くないFMDをもっと売りたいと考えた会社がこのゲームを作ったんだと思う。
「初めてプレイする人にはわかりにくいと思うが、アイディールワールドには、ワールドっていう区切り がある。そして、そのワールドごとに環境が全く違うんだ」
またもや俊哉が手を挙げて質問する。
「どんなワールドがあるの?」
聞かれて少し悩んでしまった。なぜならいろんなワールドがありすぎるからだ。俺は少々悩みながらも、自分が行ったことのあるワールドをたとえに出した。
「例えばペンタゴンキングダムワールドだったら、プレイヤーは五つの王国の内、どこかに付き、その国 を守ったり、他の国を攻めたりする。」
そう答えると、また質問が飛んできた。
「一番人気なワールドは?」
う~む、どこだろう。
「一番って言ったらやっぱりノーマルワールドだと思う。変なルールとか特にないし、普通のMMORPGを
楽しめるからな。今日始めるんだろ?じゃあ今日公開のリアルワールドに行かないか?」
「え、今日公開なの?ぼくラッキーだな~」
俊哉は少し驚き、そしてその直後に満面の笑みを顔に浮かべた。
「で、今日オープンするリアルワールドってどんなとこ?」
興味津々で質問してくる。まあそりゃあそうだろう。なぜなら、自分が始めようと思った日が新しいワールドの公開日なのだから。これならどの人ともあまりレベルに差が出ず、やりこんだらトップクラスに並ぶことができるからな。それはそれで、だ。
「情報すくないからなぁ~。とりあえず、圧倒的グラフィックって事しか分かんねぇな」
「名前的になんかっちょっと怪しいねぇ・・・・ま、いっか」
「そのワールドがオープンするじかんだが確か12時半だ。だから集合は・・」
「12時31分だね?」
「ああ、一番に入りたい奴はどこにでもいる。そいつらに負けないように入るのは12三十分、そのあと集合な」
「オッケー!遅れるなよ?」
「そっちこそ」
さて、どうしたものか。予想以上に時間が余ってしまった。リアルワールドについて調べようとしても、
俺が俊哉に説明したことくらいしか公開されていないし。とりあえず宿題でもやっておくか。
☆
ヤバイッ!集中しすぎて時間を忘れてた。気がついたときには時計の針は九時二十八分だった。起動する事に一分かかった。ワールド選択画面に移るのに一分。ギリギリ公開時間ぴったりについた。そして画面には「FMDをつけてください」という文字。俺は急いでFMDをつけて、スタートボタンであるエンターキーを押した。
すると目に「Game start」という文字が現れた。そして、10秒位した後、俺の目の前に(正確には俺のつけているFMDのディスプレイに)とても綺麗な噴水公園が広がっていた。一度あたりを見回してみる。綺麗な大理石でできたような噴水の周りを綺麗な色とりどりの花が囲んでいる。そこには、なんと蝶まで飛んでいた。
「圧倒的グラフィックって、ここまで従来のワールドと差があるとは思わなかったぞ」
そんな事を考えていると目の前に、
「あなたは、リアルワールドの十人の住人に選ばれました」
という文字が表示された。
「何なんだ?このふざけたテキストは?」
そう呟いた直後、俺の意識は飛んでいった。
☆
「シンヤッ!起きろ、シンヤ」
目を薄く開けると目の前にはしらない人。
「すいません、迷惑かけてしまって」
「僕だよ、ハヤトだよ」
ハヤト?その名を名乗る奴は俺の知り合いでは一人しかいない。俊哉だ。しかしあいつがそう名乗るのはネットの中だけだ。
「あれ~、俺寝ぼけてるのかな?ここはどこだ?」
俺は確か家でゲームをしてたような・・・
「ここはおそらくゲームの中、なぜそうなったのかは知らないけどね」
ん?今とんでもないこと言わなかったか?
「待て、今なんて?」
「だから、ここはおそらくゲームの中」
そうしてハヤトと名乗る女性は自分の頭の上を指差した。そこには、<<ハヤト>>と表示されている。
「は?なんで?」
訳がわからない。俺は自分の家でゲームをやっていたはずだ。
「だから、それはわからないけどおそらく、みんなに送られてきたあのメールのせいだと思う」
「あのメール?あの十人の住人がなんとかってやつ?」
「そうそれ、それ以外はわからない」
とりあえず落ち着いて情報を整理しよう。俺は今あの謎のメールのせいで、ゲームの中に入ってしまったと。
「なんてこった・・・」
もう呆れちまう。なぜこうなった?そう考えていても答えは出ないようなので、とりあえず他の住人に話しかけよう。これから生活していく仲間だ。
「他の奴らは?」
「向こうの噴水で集合ってセフィアって人が言ってた」
「そうか、まずそこに行こう」
俺はハヤトを連れて噴水に向かった。
☆
「ってゆうか、何でお前そんなアバターなんだ?いつもはもっといかついキャラじゃなかったか?」
質問すると俊哉が困った顔をした。
「いや~、何というか、これもおそらくだけどゲームの中に入る前にキャラ情報が変更されたんだよ」
「え?何で?」
「おそらく、女性が男性のフリをしていると思われたんだよ」
まさか・・・
「お前、機械にまでそう言う目で見れれるようになったか・・・」
可哀想に・・・。まぁ、その外見がいけないんだけどね。
「違うよっ!」
「うんうん、わかったから・・・」
「いいや、ハヤトは何も分かってないっ!」
ハヤトが必死に反論してくる。
「じゃあ、何でそうなった?」
一応聞いてみる。
「多分、ID登録時に偽名使って、性別を女性にしといたからだと思う」
「ふーん・・・」
そういうことにしておこう・・・。
「言っとくけど、シンヤのアバターも変えられてるからね!?」
「えっ!マジで?」
歩みを止めて自分の体を見回してみる。俺の種族はヒューマンで、職業は見習いソードマンだったはず・・・。
「えぇぇーーーー!」
俺の体は白い布、まさに天使が来ているような服を着ていた。
「ステータスも確認してみな」
ハヤトはメニューとつぶやくと、指を動かし出した。俺が困った顔をしているとハヤトが、
「ん?メニューの出し方はメニューってつぶやくんだよ?」
と、親切に教えてくれた。
俺は言われたとうりメニューを開いた。
すると目の前にウィンドモードのような四角い画面が出てきた。
大きさは縦30cm横50cmくらい。やや透けていて、微妙に岩造りの床が見える。
その画面にはアイテム、装備、スキルなどの項目がある。俺はその中からステータスをタッチし開く。
「 名前:シンヤ
レベル:1
種族:エンジェル
職業:見習いエンジェル」
「はぁ?」
ついそんなことを言ってしまった。
「どうしたの?」
ハヤトが満面の笑みで訪ねてきた。
「いや、俺は確かヒューマンの見習いソードマンだったはずなのに・・・」
目をこすってもう一度見る。
「あれ~?やっぱり夢なのか~?」
「だから、書き換えられたんだって」
「まじかぁ・・」
もう一度自分の自分の体を見回して見る。
すると・・・
「うぉ!」
「どうした?」
「やったっ♪ちいちゃいけど背中に羽が生えているっ♫しかも天使だから白色♬」
そう、羽が生えているのだ。小さいが、白くて綺麗。毛布にしたら気持ちよさそうだ。
「羽なら僕も生えてるよ♪」
「マジか!」
ハヤトをよく見てみる。
肩の左右にやや小さめで薄く透明な羽がついている。蝶の羽に似ている。
「マジかよぉ・・」
エンジェルである俺限定だと思ってたのに・・・。
「まぁまぁ、そんなに気を落とすなって」
「まぁいいけどさぁ・・」
「ウジウジしてたら置いてくよ」
頭を抱えている俺を置いて歩き出して行った。
「わかったよ」
そう答えて小走りでハヤトを追いかけた。
どうでしたか?次回は作者と実況プレイヤーのニクキュウさんが出てきますので、もし興味を持たれたならば、次の話も見てくれると嬉しいです。