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所長と助手

オジサマとオネエサマ

作者: mosuco

 陽射しもうららかな午後。私は軽い足取りである公園へとやってきた。

 今日の学業はいつもより早く終わってそのまま帰るなんて勿体ないので今日は爺の迎えを断り、街を歩いていたら、この公園にたどり着いたのです。

「流石に疲れましたわね」

 ベンチにハンカチーフを敷き腰を降ろす。木漏れ日は軟らかく、小鳥は可愛らしく囀り、私を包む。

 なんて素敵な空間でしょう。まるで森に住む白雪姫の気分ですの。

「そう…それで悪い魔女に襲われても、素敵な王子様によって救われてお城でハッピーエンド…素敵!誰か私をさらって下さらないかしら」

「それはこちらも好都合だよ、お嬢様」

「え?」

 声に振り返ると青い人。直ぐに口に何かを宛てられると、何故か眠たく、なって…

 ドサ


 都内某公園。

 ロングコートに帽子を深く被った時代遅れな格好の男が、ホームセンターの袋を提げて通り道の公園を歩く。

 公園は平日の昼というのに鬱蒼としている為か、日差しが僅かしか射さない。辺りは鳩が鳴き、羽ばたく為に時折騒がしい。

「相変わらず人が寄り付かない公園だな…」

 横目で錆びて寂れた遊具を眺め呟く。

 ドサ

 静かな公園に響いた音。

 反射的に振り返ると、青いツナギの男がもたつきながら、女子中学生を引きずっていた。どう見ても介抱してるようには見えないその姿に、男は溜息を吐き、眉間にシワを刻んだ。

「なんだってこう下手にやるんだ…見落とす事が難しいだろ」

 ツナギの男は気付いていないようでコートの男は仕方なく、といった感じでポケットを探り携帯を取り出した。

 しかし男の携帯は、操作する間もなく地面に叩きつけられた。同時に低い声を出して、男も地面に伏した。

 そこでようやくツナギの男は気付いたのか、倒れた男の後ろに立つ同じツナギ姿の男を見た。

「馬鹿野郎!さっさと運ばねぇから見られたじゃねぇか!!」

 声を抑えた怒鳴り声に、狼狽えながらツナギの男は口を開く。

「ま、まさか本当に気を失うなんて、思わなくて…」

 後からきたツナギの男は、携帯を拾うと、すぐにベンチ横のゴミ箱に投げ捨て、狼狽える男を睨む。

「見られたってマジかよ。そいつ、ど、どうしたんだ?や、やったのか?」

 睨まれた男に震えながら指摘され、男はその場に右手のスパナを落とす。

「やってねぇよ…多分。いいからこのオッサンも連れてくぞ!」

 倒れた男を肩に担ぎ、公園出口に停められた、さるかに運送と書かれたトラックへと足を向けた。



 都内某探偵事務所。

 暖かな陽が射しこみ、穏やかな昼下がりの中、コーヒーの香りが充満する。テーブルに置かれた小型ラジオから流れるJ-POPをBGMに、ページをめくる紙とカップを啜る音が時々重なる。

「遅いねー考助(こうすけ)君」

 そんな空間の中央、応接セットのソファ-に座る恰幅のいい男の間延びした声が響く。一緒に啜られたカップが、カチャンとソーサーに着地した。

「ホームセンターってそんなに遠くないのに、どこか寄り道してるのかなぁ。確か…スーパー王手があったよねー、隣に。それか…なんかヤバイ人たちに絡まれてたり」

 パタン。思いつくまま呟く男の言葉を遮るように、向かいに座る少女が本を閉じた。

「やはり私が行くべきでした」

「お使いのことかな」

「所長には任せておけません」

 本を隣に置き、少女は立ち上がると、まっすぐに出入口の扉に手をかけ、男に振り返り会釈する

「すぐ戻ります」

 短い言葉を最後にパタンと閉じられた扉を見て、男はまたカップを啜るとソーサーに置いた。

「どっちが保護者なんだろうねぇ」

 お茶請けのクッキーを摘み笑った。


 家内はとても怒りっぽい。近所の事から世界のニュースまで、限りなく感情をぶつける。

 そして、やっぱり今日も何かに怒っているようだ。

「まったく…信じられないね」

 帰ってくるなりの第一声に、僕は窓を拭きながら尋ねる。

「今日は何があったの?」

「公園に捨てられてたのよ!これ!!」

 そう言って自転車のカゴから取り出した袋を突き付ける。袋は見覚えのある近所のホームセンターのものだ。

「拾ってきたのか」

「気味は悪いけど、もったいないでしょ!それにウチが買いのがした洗剤も入ってたの。買っといて捨てるなんて、一体どんな金銭感覚をしてるんだか」

ブツブツと文句をもらしながら荷物を下ろしていく。

「あと公園を出たら凄いスピードでトラックが走って行って危ないのよ!さるかにだか、かにさるだか知らないけど、安全運転しなさいよ!」

 特に今日は重なったみたいだ。彼女の言葉に私は頷いてやる。

 さるかに運送か。さっき大通りに向かっていったけど、確かに凄いスピードだった。

 いくら外れでも、人が通ることもあるのに危ない運転だったな。なにか急ぎの荷物でもあったのだろうか?

「あら、雨子(あめこ)ちゃん」

「こんにちは」

 途端に上機嫌な彼女の声に、視線を寄越せば、2階に住む少女が姿勢よく立っていた。

「どうしたの?猫かい」

 少女、雨子ちゃんが一人でいるときは大抵猫を追いかけるときだ。今日もそうだろうと問い掛ければ首を横に振った。おや、珍しい。

「所長見ましたか」

「考助君?見てないよ」

「私も今日は見てないねぇ」

 彼女の言う所長とは、2階を間借りしてやってる探偵事務所の所長、考助君の事だ。人当たりはいいんだけど、家内の怒りに触れることが多い。

 雨子ちゃんとは親戚関係らしいけど、助手をしてるからか彼女は彼の事を所長と呼んでいる。

「それ、どうしたんですか」

「あぁ雨子ちゃんも聞いてくれるかい!」

 雨子ちゃんの視線の先には、家内の怒りの原因であるビニール袋。再熱した彼女を鎮火させるのは骨が折れる。雨子ちゃんには悪いが、気が済むまで相手してもらおう。

「見せてもらっていいですか」

「構わないよ」

「これ公園に落ちていたんですか」

「そうだよ。中身がはみ出していたから捨てるというより投げ捨てるだね。まったく、もったいないことするもんだよ」

「ありがとうございます。あの、コレお借りしてもいいですか」

「いいよ。そんなもんウチは使わないしね。でも、何に使うんだい?」

「野暮用です。では失礼します」

 隣を走り去っていった雨子ちゃんはすぐに小さくなっていった。

「難しい言葉、知ってるのねぇ…でも結局、何に使うんだろうね」

「何を渡したんだい」

「スパナ…だっけ?修理とかするアレよ」

「確かに…何に使うんだろう」

 首を傾げる家内にこちらも傾げる。そういえば、結局彼のことはよかったんだろうか…まぁ見かけたら声かけておこうかな。



 揺れる。世界が、脳が、身体が、それとも…

「…い、しっ…り…ろ!おい、しっかりしろ!!」

「う…あ」

「気がついたか、気分は…まぁよくないよな」

 誰?暗闇の中、ボンヤリと人影が見えますが、それは何かわからない。けれど、なんだか安心する男性の声。

「大丈夫か」

「平気です…私は何故、こんな暗い所に?確か、公園で」

 公園で休憩していたら、急に眠たくなって?

「…記憶はあるみたいだな。他に吐き気や頭痛、なんらかの違和感はないか?」

「少し目眩がしましたが、他はなんとも…」

「そうか。副作用はないみたいだな…今の所は」

 フゥと息を吐いた彼に少しドキリとした。心配して下さったのかしら。

「アンタは…聖女子学園の生徒だな」

「まぁ、正解ですわ。貴方は学園の方ですの?」

「いや、そんな派手な制服を着てたら誰でも分かる。けど、あの公園が通学路なのか?」

「いえ、普段は爺に送り迎えを頼んでおります。今日は早くに終わったので、歩いてみましたの」

「そうか。道理で簡単に連れて行かれてるわけだ」

 彼の問いに素直に答えれば、彼は頭を垂らして、意味深なことをお話された。

「あの…連れて行かれてるというのは?」

「…アンタは誘拐されてるんだよ、お嬢ちゃん」

「ゆ、誘拐…!?」

 突然突き付けられた言葉に、クラリとまた目眩がして…心情表現でしたら、大きな雷が背後に落ちるといった感じでしょうか…つまり、ショックです。

「騒ぐなよ。アイツらは俺達が目を覚ました事に気づいていないからな」

「では貴方は…貴方も誘拐されてしまったんですの?」

「結果的にはな。偶然にも現場に居合わせて巻き込まれたんだ」

「そうでしたの…申し訳ありません」

目の前の彼も、同じ穴の狢さんかと思えば少し違ったみたいで…しかも偶然にも巻き込まれた、なんて…私よりも酷い目にあったのではないでしょうか。

「いや、お嬢ちゃんのせいじゃない。下手な誘拐犯が悪い」

 …お上手な誘拐犯さんの方がよろしかったのかしら。

「鞄はないか?」

「そういえば…ありません」

 彼に言われて辺りを見回し、触る。冷たい床しかないようです。

「流石にそこはキッチリしてるか。まぁ片方はシッカリした奴なのかもしれない。しかし俺達に拘束しない所を見ると、応用できないみたいだな…初犯、いや首謀者が別にいるか?」

 暗闇に慣れて、ブツブツと呟く彼の姿が少し確認できた。背は私より高く、ガッシリした大人の男性。歳は…父様より若いかしら。

「まぁ、このままジッとしてるわけにはいかないな。お嬢ちゃんは今、何持ってるんだ」

「ええと…コレぐらいしかございません」

 彼に言われて、制服のポケットに入っていたティッシュと、首にかけていた鍵を差し出すと、彼は少しこちらに前のめりになる。

「鍵?家の玄関のものじゃないみたいだが」

「えぇまぁ…一族相伝と申しましょうか、詳しい用途は口外できないんですの」

 小さなサイズの変わった形をした鍵に、彼も気付いたようで正直にお話する。

 本当は見せる事すら許されないんですけど、彼は大丈夫だと確信がありました。

「一族ね。お嬢ちゃんはお嬢様だということか」

 声色が少し上がった彼は、コートから何かしらを取り出した。カチャンカチャンと冷たい床に置かれる物音にキュッと胸が締め付けられ、不安が募ります。

「あの、私達はどうなるのでしょう」

「どうだろうな…脅迫をしたか、消されるか…」

 物音が静まり、彼の落とした言葉だけが響いた。それが余計に、私の胸に不安がいっぱいになります。

「そんな…消される、なんて」

 私、まだ生まれて13年ですのに、こんな悲劇が降り懸かるなんて…!?

 いえ、少しお待ちになって…考えれば私は今、現在進行形で悲劇のヒロイン。さらわれたお姫様は、勇敢なる王子様が、白馬に乗って助けてくれますわ!物語のラストはハッピーエンドと決まってますもの!!ですから、結末はきっと…

「あ、悪いな…お嬢様を不安にさせること言って」

「優しい王子様が抱きしめてくれますの!!」

「うぉお!?急になんなんだ」

 ハッと気付けば暗闇の中。ですが、さっきまでの不安は一切ない。

「今の私には何がこようと耐えてみせますわ!」

「わかったから声の音量を下げろ!」

 彼は小さな声で怒鳴ると、かさついた掌を私の口元に当て行った。



 ワシは今日も日課の日光浴を行う。この公園は、木々達のお陰で強い陽射しが遮られ、ちょうどいい陽射しを浴びることができる。

 多少薄暗いが、ワシにとってのべすとぷれいす、というやつじゃ。お、何やら良い句が浮かんできおった

 木々達の お陰で影が できている

「うむ、良いな。しかしできましたの方が良いかのう」

 次回の会合に合わせて、素晴らしい一句を完成させようと、さらに高揚し、いつもの公園のいつものベンチに向かう。

 ん?どうやら先客がいたようじゃ。先客の女の子は、ベンチ横のごみ箱の中を探っておる

「最近の若いもんは…ゴミ漁りをするのか」

 初めて見る光景にちょっと、いや、かなり引く。ううむ…ワシの孫もやっておるのだろうか…んむむ?また句が浮かんできたわい

 世も末か ゴミ箱漁る 若い子よ

「おぉ、もう一句できた。これもなかなか…哀愁を感じる句じゃの」

「何か」

 しみじみと感慨に耽ると、ゴミ箱漁りの女の子が話し掛けてきた。

「いや…何か捜し物でもあるのかね?」

「少し」

 恐る恐る尋ねれば、女の子は表情を変えずに答えた。そしてまたゴミ箱を漁る。

 なんだか気味の悪い子じゃな…日課の日光浴はできなかったが、今日は帰ろう。句も二個も出来たことだし…余り関わらないほうがいいと、ワシも思う。

 最後にちらりと振り返れば、女の子はゴミ箱から出した四角いものを、掌に乗せて眺めていた。あれは確か、ぴーえいちえす、とか言うもんじゃったかの…若い子の考えは、ほとほと理解できんのう。



 午後の大通り。普段は混みようがない筈が、どうしてか今日は混んでいる。

 ハンドルを握りしめ、俺は溜息をつくと、隣から苛立った相方が声を荒げた

「チッ渋滞かよ…ついてねぇな。わりぃ、そっち着くのまだ時間かかりそうだわ。は?計画変更!?」

 な、なんだよそれ…今度は何やらされるんだよ!

「あーちょっ、待て待て待てよ!メモっから待て!!おい、ちょっと書くもんねぇ?」

 携帯を左肩と左耳で押さえ、相方が右手を差し出す。

 書くもんったって…まだこの車内に何があるのかわからないのに…一応言われたから探すけど…あ、あった。ギア近くの小物入れに、ボールペンとメモ帳を見つけ渡す。

「遅ぇなぁさっさとしろよ…わりぃじゃ、もっかい頼む。あ、ゆっくりな!ゆっくり!」

 俺に文句を言うと、すぐ相方は通話を続け、メモに何かを書き込んでいく。

「はいはい成る程ね、やっぱお前天才!持つべき者は天才の弟様だな!あぁ?そんなんじゃねぇよ!じゃ、また報告するわ」

 ピ

 携帯を切ると、八つ当たりのように、それをダッシュボードに投げつける。

「ったく…おだてたって契約金は下げませんよ兄さん、だと!兄貴を駒にしやがって…鬼畜弟め」

「でも仕方ないだろ。お前の弟が今回の事、考えたんだし…話に乗ったのだって、お前自身なんだから」

 また荒れる相方を落ち着かせてやる。仲が良いのか、悪いのか分からないなこの兄弟

「一日で金儲けできるっつたら、ノリノリになるっての!ケッ、公務員だって癖に犯罪方法考えやがって…アイツ、自分が出来ねぇから俺らにやらせてんだぜ。今日だって、有給とってやがんのに自分はヌクヌクとアジトで待機だし」

 相方は落ち着くどころか更に荒れて、勝手な憶測を交えて愚痴る。俺はそれに何度も頷いてやる。

「…本当恐ろしいよ、お前の弟」

 弟には直接会ったことはないが、相方が口にする推測に否定できない。

 今回の誘拐を順序立てて計画し、このトラックもあの薬も…全て準備したのが弟だもんな。

「あ、脅迫の電話な、こっからかけることになったから」

 よろしくな、と軽く左肩を叩く相方に目を見開く。計画変更って、こういうことか!?

「は!?俺の仕事は終わったんじゃ」

「元はといえば、お前がヘマしたからだろ。眠らせんのに時間かけて、しかも変なオッサンまで連れて来るはめにしやがって」

「そ、それはお前があのオッサン殴って気絶させたから…」

「だったら見られたまんま、ほっとくのかよ!あのオッサン、絶対警察にチクる気だったぜ」

 もっともな事を話され、言葉につまりギュッとハンドルを握りしめる。

 ハンドル?これだ…!俺は目の前の切り札を使う。

「でも俺、運転してるし…」

「この渋滞まだ時間かかんだろ。この通りに電話すりゃいいだけだ。10分もかからねーよ」

 それさえあっさり破られた。

 さっき書き込んだメモを俺にたたき付けると、相方は勝ち誇ったように口元を緩める。

 しぶしぶメモを見れば、頭がクラクラしそうな程の言葉が書いてある。

 お、俺、上手くやれるかな…そういえば、あのオッサンはどうするんだろう。さっきの電話では言ってなかったよな?

「オッサンの事、報告しなかったけど良かったのか?」

「いいよ別に。着いたら説明する。先に話すと、ネチネチ嫌味言われるだけだしな」

 シートに頭を預け、相方は眠りにつくようだ。とりあえず、練習…しとこう。


 すっかり暗闇に慣れた目は、オジサマと私以外に物があることに気付く。奥にはいくつかの荷物が積まれていて、どうやら倉庫みたいです。

「…止まったか」

 パチン

 壁に耳を寄せていたオジサマは、指を鳴らす。

「何をなさるんですの」

 帽子、コートを脱ぎ、本格的に動き出したオジサマに尋ねる。

「来るか分からない助けをジッと待つっていう性分じゃないんでな。ちょっと仕掛けさせてもらう」

「仕掛け…ですか?」

「まぁ賭けに近いがな…何もやらないよりかはマシだ。これ、使い切って大丈夫か?」

 オジサマは私の持ち物のポケットティッシュを指している。特に入り用ではないですし、私は頷いた。

「えぇ構いません。どうぞ」

「ありがとな」

 そんなやり取りの後、オジサマはティッシュを1枚抜き取り、端を摘むとそれを掲げられた。ユラユラとソレはまるで旗のように宙を泳ぐ。

「やっぱり空気穴はあったか。毒殺でもなく、窒息死を防ぐ準備も万端…やっぱりな、頭がキレるやつが2人に指示だしてるか」

「毒殺!?窒息死!?」

「落ち着けよ、お嬢様。それは免れたんだから。さて、穴は上か下か」 

 オジサマは落ち着けとおっしゃいますが、やはり怖いものは怖いのです。

 …仕掛けって一体何をなさるんでしょう。オジサマは壁に向かってしゃがんだり立ったり…その行動が分かりかねます。

「上、か。腕伸ばせば届くな。流石に外を見ることは出来ないが…十分だな。さてお嬢様にもちょっと手伝ってもらうぞ」

「私に出来ることなら是非!!」

 振り返ったオジサマの言葉に強く頷く。なんだか私、ワクワクしてまいりましたわ。

「じゃあ、そこのティッシュ、一枚残して他全部ちぎっていってくれ。余り細かくならないようにな」

「分かりましたわ」

 ティッシュをちぎるのが、一体どう仕掛けに関わるのでしょうか…ですが、今は他に何もすることもないですし、私はオジサマの言葉どおりにティッシュをちぎり続ける。

 やわらかいティッシュは、力を加えなくとも簡単にちぎれて、そう時間もかからずに、フワフワした山ができました。そういえば、ティッシュをちぎるなんて生まれて初めてしましたの。

「これでよろしいでしょうか」

「完璧だ」

 オジサマに白い山を見て頂くと、口元を緩ませて賛辞を頂きました。満足して頂いたみたいでよかったです。

 次にオジサマは、自身の持ち物である、瓶の蓋を開ける。なんだか甘い香り…初めて嗅ぎます。

「車の芳香剤だ。コイツだけコートのポケットに入れてて助かったな」

 鼻をヒクヒクさせる私に、オジサマは説明してくださいました。

 芳香剤でしたのね。爺の車は薔薇の香りなので、気付きませんでしたわ。こんな甘い香りもありますのね。

 でも、車の芳香剤って持ち歩く物なのかしら?違いますわよね?どうなのでしょう?

「持ち歩いていたのですか?」

「そんなわけないだろ。買い物帰りに駐車場に寄る予定だったから、先にポケットに入れておいたんだ。袋から探し出してってのは面倒だからな」

 なるほど。やはり持ち歩くものではないのですね。

 呆れさせてしまいましたが、オジサマが買い物帰りに巻き込まれたのだと知ることができました。信じてなかったわけではありませんが、彼は本当に巻き込まれた被害者なのですね…私のせいで。

「また変な事、考えてるのかお嬢様」

 かけられた声にパッと顔を上げる。

「さっきも言ったが、別にアンタのせいで俺がこんな目にあったわけじゃない。悪いのは昼間に堂々と下手な誘拐を行った犯人。それから、それに気を緩めて仲間がいるっていう可能性に気付かなかった俺自身のせいだ」

 彼は言葉を続けながら、ちぎったティッシュを染み込ませる作業をこなす。

「それに俺は巻き込まれる事に慣れてしまってな、誘拐ごときじゃ被害、感じないよ」

 そうおっしゃると最後に目尻のシワが深く刻んで笑った。

 ドキリと胸が高鳴る。ぶっきらぼうですが私を慰めてくださる言葉、そして、あの笑顔。もっと明るい所で見ることが出来たらよかったですのに…。

「それでも気にするんなら、また手伝ってくれるか。俺一人じゃどうも時間かかってしまうんだ」

「はい、私に出来ることなら是非!」

「じゃ、これを染み込ませてくれ」

 オジサマが先程されていた作業を任され、ティッシュに芳香剤の液体を染み込ませる。指先とティッシュに強い甘い香りが残り、思わずしかめてしまいます。これがどう仕掛けに関わるのでしょう?

「これはどういう仕掛けなんですの?」

「あぁ、これはこうやって…外に俺達がいる合図を送る為だ」

 オジサマは立ち上がり壁に向かうと、腕を伸ばしティッシュを押し出していく。なるほど、この香りのティッシュが合図ということですのね。

「もともと臭い消しの為の強い香りだからな。ちょっとやそっとじゃ、消えやしない」

「凄いですわ!オジサマ!!…ですが、気付いてもらえるんでしょうか。ここ、人通りの少ない場所かもしれませんよ。それに、この香りで誘拐されたなんて分かるのでしょうか」

 芳香剤の香りがするティッシュが、誘拐された私達からの助けを求める声に繋がると、世間一般では思わないのではないでしょうか?

「人通りの問題は大丈夫だが…気付く可能性は少ないな」

 あっさりと言ってのけるオジサマに目の前が霞む。

「そんな…」

「賭けに近いって言っただろ…期待するな。まぁ安心しろ、お嬢様を死なせはしない。これが駄目でもどうにかしてやる」

「オジサマ…」

 そうですわね、諦めてはいけません。物語のヒロインはいつだって、健気に王子様を信じて待っているのです。私が諦めては王子様だって助けにきていただけないわ!

 今はとにかくオジサマのお手伝いをしなくてはいけませんね!



工事現場で1番キツイのは俺ら警備員だ。

 現場の騒音に、運転手達からの苦情や、脅迫なんてものを受ける精神的苦痛、立ちっぱなしに足腰を痛める肉体的苦痛に耐え、割に合わない時給で今日も俺は誘導棒を降る。あーあ、とっとと交代の時間になんねぇかな。

 今回は大通りの為か、車が多く、ひどい渋滞だ。乗用車からトラックまで、様々な車が遠くから二列に並んでゆっくりせまってくる。

「すいません」

「はい?」

 かけられた声に振り返れば、女の子が傍に立っていた。

「さるかに運送の貨物自動車は通過しましたか」

「さぁ、どうでしょうね。いちいち通る車を覚えてないので」

 今まででこんな事を尋ねてくる子なんて初めてだ。車を眺める暇な仕事に見えるのかねぇ?

「わかりました」

 俺の前を通過し、車と車の間を走っていく。

「オイオイ君!歩道を歩きなさい!」

 まさかの行動におもわず引き止める。

 しかも彼女の右手に握ってるのってスパナじゃないか?そんなもん持ち歩かないだろ、普通。こんな女の子が。さるかに運送に何する気なんだ…。

「こちらの方が効率がいいので」

「いやいや危ないだろ!死ぬ気か!?」

「平気です。まだ私にはお仕事が残ってますので死ぬ気ありません」

「平気じゃないから!死ぬ気なくても事故って起きるんだからな!」

 車と車の間、細い通路に立ってこちらを向く女の子はまったく焦りもしない。むしろ俺が焦る。

 事故とか起こってみろ、確実にクビを言い渡される…割に合わない仕事でも、職を失うわけにはいかない。

 必死に説得する俺に、向かい風が白い紙クズを運んできた。

「うわ!なんだこれ…」

 ゴミか何かか?一体どこから…ポイ捨てか?

「所長の車の匂い」

「あ、ちょっとおい!!」

 女の子が前を向いたと同時に走り去っていった。声をかけても、もう遅かった。



 ちぎったティッシュを半分外に投げた後、残っていた一枚のティッシュを同じように染み込ませ、外壁に垂らして仕掛けはとりあえず完成されました。

 私とオジサマは荷物にもたれてじっと待つ。この倉庫…息苦しい上になんだか暑いんですの。

「大丈夫か?お嬢様」

自然に荒くなる息に気付いたのか、オジサマは私の顔を覗き込む。距離が一気に近付き、真剣なオジサマの眼差しと、私にはない男性の香りに顔がカアッと熱くなる。私、今、絶対、顔、真っ赤、ですわ!!

「へ、平気ですの…オジサマ、その、お顔が近くて…」

 悟られないように距離をとろうと後ずさる。

 ガタン

 丁度同じ頃に、頭上から音がしたと気付いたら、上から何か落ちてきていて

「あ…」

「危ない!」

 乾いた音が響く中、予想した痛みはなく、予想していなかった熱さに包まれていて…

「っ、大丈夫か?」

 耳元で囁かれた掠れた声。おそるおそる両手から顔を離すと、シャツに包まれた肩が視界に入ってきました。

「悪かったな、抱きしめたのがオウジサマじゃなくてオジサマで」

 抱きしめた?私…今、オジサマに抱きしめられているんですの!?

 意識してしまえば胸の高鳴りが速くて、オジサマの腕とか胸とか逞しさとか熱さとか…私、私、どうすれば。

「…おい、そこまでショックだったのか?帰ってこいお嬢様」

 ペチペチと頬を叩かれている気がしますが、私の脳内容量と心拍数は限界ですの!今まで夢みてきた事はあれど…実際、男性に抱きしめられるなんて体験…初めてですから。

 運命の相手は意外と近くに存在するという言葉…。今ならよくわかりますわ!神様!!

「オジサマが、私の王子様でしたのね…」

「守りきったつもりだったが…頭、打ったのか」

 心配して下さるんですね。大丈夫ですわオジサマ!頭は打っておりませんの!!


「ふわぁあ、よく寝た…お、どうだ?電話終わったか?」

 ボーッとする頭を起こす為に、体を伸ばし、隣に声をかける。

「い、いや…まだ」

「はぁ?何やってんだよ」

 情けない声で返ってきた言葉に、カチンとくる。俺、結構寝てたんだけど…何やってたんだよコイツは。

「それより今、後ろで音したんだけど…大丈夫か?目、覚めたとか」

 あぁ、コイツはまた逃げる気だな。話すり替えやがって。いつまでたっても臆病者だ。心配しすぎだっての。

「大丈夫だろ。目的地までグッスリだってアイツも言ってたし、起きた所で逃げられねぇよ」

「でもよ、なんか揺れただろ?もしかして、警察とか乗り込んできたりして」

 どんどん有り得ない話になってきて、呆れを通り越して笑えてくる。お前の被害妄想でなんか話、書けんじゃね?

「は?んなわけねぇだろ。大体、警察なら乗り込むより取り囲むっつーの」

 ドンッ

 後ろからの衝撃に、車体と俺達がゆれる。

「い、今のなんだ…後ろから衝突された…とかか?」

「この渋滞の中、動くかよ。こっちはトラックだぞ。動かない限り向こうも動かないだろ」

 また隣でうろたえる姿に、俺は話してやる。確かにちょっとはビビったが、隣の情けないコイツ見てたらなんか…ビビってる暇ないよな。まぁ、揺れはすぐに止まったし、自分の車じゃねぇから慌てなくてもいいし。

「でも周りも俺らを見てないか?ど、どうするんだよ…本当に事故だったら警察来てバレるぞ!」

「うるせぇな!言われなくても分かってるよ!!俺が電話するからお前行って見てこい」

「え、な、なんで俺が…」

睨みつけてやればヒィ!と悲鳴をあげて顔を下に向け、ポツポツ話し出す。

「わ、わかった…行ってくる」

 ゆっくり開いたドアから、泣きそうな顔をして下りていった。

「ったく…面倒くせぇけど、アイツ使いやすいよな」


 ドンッ

 大きな物音が響き、暗闇に光が差し込まれ、中の二人は目を細める。

「随分探しました。所長」

 光の中に立つ少女の片手には、スパナと扉だった鉄の塊。

 光に慣れた男、所長は少女を確認し、顔を歪ませる。

「お前は普通の助け方ができないのか」

「私にとって、これはごくありふれた助け方の一つです」

 淡々と少女は返し、塊を公道に落とす。そんな少女の姿に、所長は咎める。

「車道のど真ん中で、トラックの開閉扉ぶっ壊す17歳なんて、ありふれた光景じゃないぞ。…人目につく時は、もうちょっと控えめにしろ」

「わかりました。次回からの参考にします。もっとも、所長がヘマをしなければいいだけの事だと思いますが」

「…最近、口が過ぎるんじゃないか?助手」

「私は正しく確かな事実を口にしただけです。所長」

「オジサマ…オウジサマ…オニイサマ?」

 終わりの見えないやり取りの中、ブツブツと呟くお嬢様に所長は溜め息をもらす。

「またか…お嬢様」

「お嬢様」

「あぁ。このお嬢様が誘拐されてるところを目撃してな、おかげで巻き込まれたわけだ」

 二人の傍まで来た助手に、所長は事のあらましを話す。

 頷く助手に突然、ガバリと抱き着いたお嬢様が、瞳をキラキラさせて助手の顔を見上げる。

「オニイサマが、オジサマの王子様だったのですね!!」

 叫ぶお嬢様に、助手はパチパチと瞬きを繰り返すと、口を開く。

「所長、この子の言ってることが理解できません」

「理解しなくていいよ…大体俺に王子様はいらないだろ」

 ゆるゆると、首を左右に振る所長に、助手は首を傾げる中、抱き着いたお嬢様は、クンクンと鼻を働かすと、眉を下げ、首を傾げる。

「あら?オニイサマはなんだか、良い匂いがします。それに柔らかい膨らみが…」

「一応訂正しておきます。私は性別上、女性です」

 グッと胸に体を押し付けるお嬢様に、助手は冷静に訂正をいれた。

「まぁそうでしたの!私ったら、早とちりしてしまいましたわ…。失礼いたしました」

 顔をあげたお嬢様は、早口に捲し立てると、助手の頭から足先までを眺める。

 色素の薄い茶髪は耳と眉が隠れるボブショート。男性用のシャツを五分になるまで捲った袖から、伸びる白く細い腕には、黒の手袋がはめられている。サスペンダーで留められた少し長めの黒のショートパンツからは、黒のタイツに包まれたしなやかな脚が、黒のショートブーツに収まっている。

 助手のボーイッシュな格好を確認し、お嬢様は息をもらす。

「そうですわね、男装の麗人という言葉もありますし、王子様が男性とは限りませんわね!細腕で私達をお救いになるオネエサマ…素敵ですの!!」

「はぁ」

「助手…あまり真剣に話聞かなくていいからな」

「わかりました。所長、携帯です」

 抱き着くお嬢様をそのままに、助手はショートパンツのポケットから、傷がついた携帯を取り出すと、所長に渡す。

 受けとった所長は、それを眺め、目を丸くした。

「なんだ、あいつら確保してなかったのか。公園か?」

「公園のごみ箱の中でした」

「な、なんだこれ…!?」

 情けない悲鳴に、所長と助手はトラックの外に視線をやる。

 トラックの外からこちらを眺めるツナギの男が、小刻みに震えながら立っていた。

 目の色が変わった助手に、所長は右手で制す。

「お前は出なくてもいい。今度は目撃者が大勢いるからなぁ…流石に全員誘拐するなんて、馬鹿な考えは起こさないだろ?誘拐犯さん」

「う、うぅ…」

 所長の言葉に、男は狼狽え、辺りを見回す。歩行者から渋滞待ちの運転手まで、沢山の野次馬がトラックを囲んでいる。

「警察はこっちで呼んでやるから。自首しろ」

「わ、わかりました。すみません…」

 吃りながらも素直に頭を下ろす男に、所長は携帯の通話ボタンを押した。



「お帰りー。随分長い買い物だったね。あれ?手ぶらなんだ」

鎌江(かまえ)さん…待たせた上、大変申し訳ないんですが、帰ってもらえますか?ちょっと今日は、アンタの話相手にはなれないんで」

 笑顔で出迎えた男に、所長は言葉と行動で疲れを訴えると、男は頷き、立ち上がる。

「うん、いいよ。僕もいい加減、帰らないと麻里亜(まりあ)に叱られるし。じゃあまたね、考助君、雨子ちゃん。たまには、うちにも遊びにおいでよ」

 軽い調子のまま、扉は閉じられた。それを横目に、重い息を吐きだした所長は、中央にある応接セットのソファーに、仰向けに寝転ぶ。その勢いで、帽子がズレて落ちた。

「はぁ…疲れた。ったく今日は散々だったな」

「所長、刑事と一緒に行かなくてよかったんですか?刑事、困ってましたが」

「いいよ…長い時間、閉じ込められるのはもうごめんだ」

 ソファーからはみ出した足をブラブラさせながら、落ちた帽子を拾い自身の顔を覆うように乗せる。

「ラジオ、忘れてます」

 所長が占領したソファーの向かいに、腰を下ろした助手は、目の前のテーブルに置かれた小さな箱に気付く。

「しょうがないな。明日また渡すか」

 所長はそれを、見もせずに言うと、助手は小さな箱に手を伸ばす。キュルキュルと音をたて、ラジオが起動する。

「先程、都内の大通りの道路で誘拐未遂事件が発生致しました」

 流れた女性の声に、助手は手の中の箱を見つめながら口を開く。

「これ、さっきの事件です」

「…助手、今日はよく気付いたな」

 所長は格好はそのままに話しをふる。助手もラジオを見つめたまま返答する。

「スパナにさるかに運送と彫られていました。それに、所長の車の匂いがしましたから」

「あのトラックに俺が乗っていなかったら、どうしてたんだ」

「その時は、また別の貨物自動車を探すだけです」

「そうか…相変わらず、お前は仕事熱心だな」

 淡々と続くやり取りに、所長は言葉に小さく笑いを混めた。

「放っておくってのは考えなかったのか」

 次に出た言葉に、助手はラジオから所長に視線を移す。所長は変わらずソファーに体を預け、顔に帽子を乗せている。じっと所長を観察しながら、助手は口を開く。

「助手は、所長を助けるもの、ですから」

「…そうだな。お前は本当に、仕事熱心なやつだ…今日は助かった。ありがとな雨子」

 帽子を顔から右手に移動させながら、所長は口元を緩ませ、言葉を紡ぐ。

「いえ」

 助手は短く言うと、視線をまたラジオに向けた。

「今回の被害者、横井 麻奈美(よこい まなみ)さんは横井グループ代表、横井 伸造(よこい しんぞう)氏の御息女であり、今回の事件について…」

「横井グループ!?」

 静かになった部屋で、流れたままの女性アナウンサーの声に、所長は上半身を上げ、大きく開いた目で、ラジオを見て叫ぶ。

「横井グループ」

 突然の行動に助手は、所長の顔を見て、首を傾げる。

「貿易会社をいくつも持っている国内の有名企業の一つだ。あのお嬢様…とんでもないとは思っていたが、まさか横井グループとはな」

 ガシガシと頭を掻きむしると、音をたてて、またソファーに横になる。

「こんなことなら、もっと恩を売っとくべきだったな…惜しい事したよ、まったく」

「そうですか」

「犯人の二人が共に、供述した共犯者の男について、警察は引き続き調査を進めています」

 ぼやく所長に、助手は短く返すと、女性アナウンサーの言葉に耳を澄ました。

 最後までお読みいただきありがとうございます。

 なんちゃってハードボイルド第二話ですが、初めましての方も、一話に続いて読んでくださった方も…いかがでしたでしょうか?この話に、少しでも興味をもっていただけたら幸いです。


 今回のお話でジワっと意味深な雰囲気を醸し出したつもりですが、次回はジワワっと出していく予定です。個人的に所長と助手の2人のやりとりが書きたいので、事件うんぬんより2人のやりとりが多めになり、徐々に文字数が多くなっていきそうですが…お暇な時にでも次回も読んでくださると嬉しいです。


 次回、所長と助手 第三話 保護者と庇護者

 どうぞよろしくお願いします。


※この物語はフィクションです。実在の人物、団体名とはいっさい関係ありません。誘拐も貨物自動車軟禁、破壊もくれぐれも真似をしないようにお願いします。

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