爆走
X、F、Zの三人は、車の免許を持ってはいた。しかし、運転は全然しておらず、みんなで練習することにした。
Xは、セダン車で、Fは軽トラに乗ってきた。
しかしZは、なんと前の車ではなく、ベンツでやってきた。
Xは唖然として、
「お前の家って、どんだけ金持ちなんだよ」
と言った。
Zは、
「ああ、まだ家にコルベットもポルシェもカマロも、ドゥカティにハーレーや特注デザインの車がある。まあ全然乗らねえんだけどな。ついでに、テニスコートにプールに……」
XとFはほとんど聞き流した。
「じゃあ、今からストリートレースをしよう」
Xは言った。
「はぁ!? 犯罪だろ!?」
Fが大声で怒鳴る。
しかしZは、
「大丈夫。ここら一帯は、全部俺ん家の土地」
Fは、すでにZの家に入っていることに気付いていなかった。
XとFは、車を選びに行ったZを待った。
「ベンツじゃねえのかよ」
Fは言った。
「ベンツで来なきゃ、ベンツは見せびらかしただけって話になるな」
Xも言った。
すると、二人の背後から『おい!』という声がして、振り向くと彼らの頭上を、一台のベンツが飛び越えていった。
Zはそのドアから身を乗り出し、
「早くやるぞ! 何モタモタしてんだ!」
と言った。
二人は、それにニヤニヤして答えると、スタート地点に車を止めた。
数分後、ベンツの上に座ってニヤけているZの姿と、そのそばで車の運転の練習をしているFとXの姿があった。