山頂
三回目です。
今日も彼らの登山は続きます。
さっきの出来事に驚きつつも、X、F、Zは山を登っていた。いつだったか雨が降ったので、足を滑らせてこけそうに(何度も)なったが、見事なチームワークで着実に距離を稼ぐ(といってもそれほどの距離はなかったが)。
Xは重い足取りで登っていく。Fは考え事をしながら木の枝をつかんで登る。Zは携帯(GPS機能搭載のタブレット端末だ)の画面を見ながら登る。
「もう天気も悪いし、登りきったら車で帰らね?」
Zは提案した。
「車って誰の?」
とFは苦笑しながら聞いた。
「俺のさ。大学を一発で合格、進学、卒業までしたから、買ってもらった」
Zは自慢げに言う。
「金持ちはいいよなぁ」
Xは笑いながら言った。
「俺の叔父さんに車乗ってきてもらってさ、乗って帰ろ」
Zは続ける。
「叔父さんも一緒に、だよな」
もちろん、という返答を期待してFは聞いた。
「当たり前だろ」
Fはほっとした。たまにZは恐ろしいことを言うのだ。
彼らは赤いオープンカーの中、しゃべりながら帰った。深山の頂から望む絶景、底が一直線になった雲。
何をとっても美しかった。
Xは次の日、腰を痛めた。
腰痛は恐ろしかった。
次回のサブタイトルは”腰痛”だろう。
ちょっと短めです。まあ息抜きで。
本当に次のサブタイトルは”腰痛”にしようかな……。