7
管狐が、
「では!」
と今日1番のご機嫌で帰ったあと3人は、
大きすぎる屋敷の一室で向かい合っていた。
「戦闘要員って、何と戦うのかしら。」
サチが、ユエをぐりぐりと撫でながら黒影に尋ねる。
ユエはその拘束から逃れると、誇らしげに懐から紙をさっと取り出した。
「僕ね、勅命を頂いたんだ。」
その紙にすりすりと頬擦りをすると中を開いたが、その中身をみて、げぇっと顔を顰めて、クロカゲにすっと渡した。
クロカゲが頭を捻りながらその紙を見ると、小さな文字で、たくさんの漢字が連なっていたのだった。
はあ、と溜息をつきながらもクロカゲはそれをしっかりと読み込む。
読み終わるとユエを指さして、
「簡単に言うと、お前には妖を従える力があるから、それを使って英雄になれ。という事だ。」
と言って、紙を放り投げてしまった。
それをサチが受け止め、ふむふむと読み、なるほど!といった顔をして、紙をユエに戻した。
「敵は、南蛮、かしら。詳しくは書いてないけど、国内に残ってるのを倒すみたい。」
ユエは紙を受け取ると首を捻った。
「2人はなんの妖なのさ。」
サチがふふっと優しく笑う。
「私は座敷童子。幸せを運ぶのよ。クロカゲはきっと、烏天狗ね。」
そういうやいなやクロカゲの羽根をひとつ毟った。
毟られた羽は包丁のようになり、鋭く、黒く輝く。
「これ、すごいでしょ。烏天狗でも、つよーい奴しか持ってないのよ。クロカゲ、強いのね。」
クロカゲが信じられないものを見るように、ぎゅっと縮こまる。
サチはくすくすと笑いながら包丁になった羽を、
「このまま、お料理にも使えそうね」
なんて言いながら指で弄んでいた。
ユエはそれを見て、狐に案内された部屋を思い出した。
そしてそれを伝えようとしたが、やめた。
廊下から大きな音がしたのだ。
「これ、電話だわ。」
サチがそういって音の方へ走り出す。
ユエはわけも分からずその背を追いかけて行った。
サチの足は思っていたよりうんと早くて、
ユエが追いつく頃には、サチは、その電話というものの一部を、耳に当てていた。
そこで、ひとりで喋っている。
ユエが横にいるクロカゲに、
「あれ、知ってる電話と違うみたい。」
と囁くが、クロカゲは何も言わなかった。
暫くしてサチが電話の一部を置くと、
こほん、と咳払いをした。
「さっそく、戦があるみたいよ。」




