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 管狐が、


「では!」


 と今日1番のご機嫌で帰ったあと3人は、

 大きすぎる屋敷の一室で向かい合っていた。


「戦闘要員って、何と戦うのかしら。」


 サチが、ユエをぐりぐりと撫でながら黒影に尋ねる。


 ユエはその拘束から逃れると、誇らしげに懐から紙をさっと取り出した。


「僕ね、勅命を頂いたんだ。」


 その紙にすりすりと頬擦りをすると中を開いたが、その中身をみて、げぇっと顔を顰めて、クロカゲにすっと渡した。


 クロカゲが頭を捻りながらその紙を見ると、小さな文字で、たくさんの漢字が連なっていたのだった。


 はあ、と溜息をつきながらもクロカゲはそれをしっかりと読み込む。

 読み終わるとユエを指さして、


「簡単に言うと、お前には妖を従える力があるから、それを使って英雄になれ。という事だ。」


 と言って、紙を放り投げてしまった。

 それをサチが受け止め、ふむふむと読み、なるほど!といった顔をして、紙をユエに戻した。


「敵は、南蛮、かしら。詳しくは書いてないけど、国内に残ってるのを倒すみたい。」


 ユエは紙を受け取ると首を捻った。


「2人はなんの妖なのさ。」


 サチがふふっと優しく笑う。


「私は座敷童子。幸せを運ぶのよ。クロカゲはきっと、烏天狗ね。」


 そういうやいなやクロカゲの羽根をひとつ毟った。

 毟られた羽は包丁のようになり、鋭く、黒く輝く。


「これ、すごいでしょ。烏天狗でも、つよーい奴しか持ってないのよ。クロカゲ、強いのね。」


 クロカゲが信じられないものを見るように、ぎゅっと縮こまる。

 サチはくすくすと笑いながら包丁になった羽を、


「このまま、お料理にも使えそうね」


 なんて言いながら指で弄んでいた。


 ユエはそれを見て、狐に案内された部屋を思い出した。


 そしてそれを伝えようとしたが、やめた。

 廊下から大きな音がしたのだ。


「これ、電話だわ。」


 サチがそういって音の方へ走り出す。

 ユエはわけも分からずその背を追いかけて行った。


 サチの足は思っていたよりうんと早くて、

 ユエが追いつく頃には、サチは、その電話というものの一部を、耳に当てていた。


 そこで、ひとりで喋っている。


 ユエが横にいるクロカゲに、


「あれ、知ってる電話と違うみたい。」


 と囁くが、クロカゲは何も言わなかった。


 暫くしてサチが電話の一部を置くと、

 こほん、と咳払いをした。


「さっそく、戦があるみたいよ。」

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