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「まずお話する前に、


 わたくしの名は052番管狐。真名は『鐘鳴子かねならしのむすこ』と言います。


 ──えぇえぇ、これが真名ですとも。


 助けたいものの名前は046番管狐、『鶉飼子うずらかいのむすめ』です。


 あなたの担当管狐でもあったはず。覚えておりますか?

狐になってもタレ目の可愛い子。


 ……名前について変に思われるかもしれませんが、元服もまだのわれわれには、名などなかったのです。」


 そう悲しそうに笑った。


 元服前に先程言っていた、「不幸な事故」で狐になったのかもしれない。


「その、先程のは不幸な事故と申しましたが、実は違うのです。


 ──わたくしも『鶉飼子』も、大きな屋敷にて従事をしている父や母がいましたので、それに習い、わたくしたちも屋敷に足を運ぶことが多かった。


 ──その時に、随分良くしてくださった方がおりまして、「すすむさま」といいますが、比較的高い地位におりました。


 ですがある日、「すすむさま」は殺されてしまったのです。


 その時に罪を着せられたのが、まだ5歳であった『鶉飼子』でした。その場にいたからです。


 ──もちろんあの子にそんなこと出来るはずがありません。


 その子がその日、そこに居たのは、とても高貴なお方、「ようさま」といいますが、それに頼まれ、ウズラの世話をしに行っただけなのです。


 ──その子が小さな声で縋るのを見ぬ振りをし、「ようさま」を含む全ての人の手により、「鶉飼子」は死にました。正確には、死んだと思っておりました。」


 ここで1度、ズズっと管狐が鼻をすする音が聞こえる。


「思っていた…?」


 クロカゲが探るように呟くと、管狐は顔を上げ、言葉を繋げる。


「そのままの意味です。烏天狗。『鶉飼子』は死んではいなかった。


 でも最早死んでいた方が良かったのかもしれない。


 ──彼女は、呪いの媒体にされたんだ。そして、わたくしも。」


 ここまで管狐が言い終えると、共に居た妖2人の顔がきゅっと険しくなる。


「呪いの話をしに来たのか。」


 クロカゲが羽根を広げ、ツグミがユエの前に手足をつけ大きくなる。


 管狐は慌てたのか、拍子抜けしたのか、目をぱちくりとさせる。


「……!申し訳ありません!


 その、呪いというのはわたくしが使っている言葉というだけでございます。


 陰陽師共はそれを、使役するための媒体、と言っておりました!御容赦を。」


 少しの間を経て失言に気が付いたのか慌てて言葉を正す。まだ2人の不快感は消えていないようだ。


「……うん。それで?」


 間が空くのが苦手なユエが空気を割くように続きを促す。


「ありがとうございます!


 その、それで彼女は、陰陽師共によってイズナの方を改めたもので管狐となったのです。」


(イズナ……)


 聞き覚えの無い言葉にユエは大きく頭を傾げた。


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