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烏、鼠の必死の争い

作者: 小兎イチ
掲載日:2025/12/07


 昼間、喉が渇き自動販売機に飲み物を買いに出かけた。幾ら服を着込んだからといってやはりサンダルでは足が冷えてしまった。寒い寒い。寒いというよりか、冷たい。日は出ているのに少したりとも暖かくならない。さっさと済ませようと駆け足になると、冷えた空気は風になり更に足を冷やす。

 自動販売機までは少し遠く、私の嫌いなゴミ捨て場の横を通らなければならない。そのゴミ捨て場は生ゴミをテキトウに捨てる輩がいるせいで鼠が大量に繁殖してしまっている。そのせいでトラックに踏み潰されたのか何なのか、よく内臓のバラ撒かれた道ができていた。今日は、烏と乱闘をしているようだ。

 「ああ、ああ、ああ」

 この前は猫の声が聞こえるようになってしまい、今度は鼠。動物の声が聞こえるお姫様なんてメルヘンチックなものではなく、私の頭がイカれてしまっただけだ。胸が痛むので、どうか黙って死んでほしい。

 「ああ、ああ、ああ」

 私は段々と良心が痛み、自然の摂理に反していると理解しながらも烏を追い払ってしまった。

 烏はガアガアと鳴き、

 「よくも私を救ってくれたな」

 と言った。

 私はその言葉の意味を考える前に、遂に烏までもかと頭が痛くなった。

 チュウと鼠が逃げたのを見、歩を進め寒さで震えながらやっと飲み物を買えるところまで来た。

 最初は好きな炭酸飲料を買おうとしたがこうも寒くては敵わない。すぐにミルクがたっぷりと入った珈琲を購入し足を動かす。再びゴミ捨て場を通る。

 「やあ!さっきの!私は死ぬ!」

 烏は勝ち誇ったように鼠の死骸の上で跳ね、私にそう言った。殺されたのはさっきの鼠なのだろうか。さっきの鼠だったら良いな。私が悪くなくなる。

 尻目に見た烏は飛び立ち、またガアガアと鳴いた。


 多分、それから三日が経った。この前と同じように喉が渇き、ゴミ捨て場の前を通る。道路の脇には烏の死骸が寄せられていた。

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