2章:吸血鬼:――TYPEⅡ――
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僕は「ふぅ」と一息つき、今まで読んでいた本を本棚に戻す。
そして、他に何か良い本はないかと、ぐるりと見渡す。
ここは、僕の通う学校からやや座標を南側に移した、駅前の大きな古本屋だ。学校に近いこともあり、今のような下校時間と重なると、多くの中高生が訪れる。
とくにめぼしい本も見つからなかったため、本屋を出てすぐ近くの大型スーパーに入る。僕は今、独り暮らしをしているため、すべて自炊しなくてはならず、しかもここ最近、居候も出来たため当分の食費を気にしながらの買い物だった。
今日の夕飯は何が良いだろうか? チキンカツなどが良いかもしれない。と思考しながらも、頭の隅っこで別のことを考えていた。何てことはない。さっきの本の内容だ。
さっきの本にも書いてあった通り、“死”と言うものは常に身の回りにあるものだ。例えば、今すぐにこのスーパーがテロにでもあえば、僕は今すぐに死ねるだろう。
いや、別にそんな大げさなものじゃなくても良い。床を滑って、思いっきり頭を打ち付ければ、すぐに極楽浄土行き決定だ。
しかし、それは当分ないだろう。
何故かって?
それはあの本には書いてないことだし、僕も信じていなかった者が居たからだ。
その答えは今、僕のアパートに居候と化している少女の事だった。
彼女は“死神”だと言う――