表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
星が還る場所  作者: 凪子
3/100

食堂では、中年の女性三、四人が食事の配膳を整えて彼らを待っていた。


「おはよう、マザー」


口ぐちに彼らは挨拶をし、年齢順に決められた所定の席につく。


マザーと呼ばれた女性の名は帚木(ははきぎ)、齢は四十代半ばほどだろうか、ふくふくとした豊満な体形とゆったりとした物柔らかな雰囲気、笑うと口元にさざ波のように寄る皺が、彼女の人柄の好さを伝えていた。


全員が揃ったところで、上座の帚木が口を開いた。


「皆さん、おはようございます」


「おはようございます」


声を揃えて一斉に全員が唱和する。


「いいお天気ですね。今日は白露と言って、秋の深まりを天照神(てんしょうしん)様がお教えくださる日です。どうか皆さんも大地の実りに感謝し、天照神様の恵みに喜びながら、今日という一日を素晴らしいものにしてください」


帚木の話の最中、何気なく人と自分の膳をすり替える天凪の手際は見事なものである。


皆が敬虔に目を伏せ、頭を垂れている隙をついて、横の風牙の小皿から卵焼きを一つ拝借するのも忘れない。


「それでは、ご一緒に。いただきます」


「いただきまーす」

フライング気味に叫んだ天凪は、両手を合わせるなり凄まじい勢いで朝食を頬張り始めた。


その鮮やかな箸捌きたるや、周りの大人たちも呆れるやら感心するやら複雑な気分になるほどである。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ