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このように華やかな世界の舞台裏で、熾烈な生存競争が行われているのは想像に難くない。
花姫たちは着飾り、美を競い、寵を争い、血で血を拭う恐ろしい過酷な日々を送っている。
月に一度、年に十二度しかない機会を掴むために、側用人や護衛に賂を配って覚えをよくし、神官に文を贈り、美しい姫がいると聞けば手段を選ばず蹴落とそうとする。
なぜならば、一年間一度もお渡りがなかった者や、逃亡を図った者、お渡りを拒んだ者や、病気や老いによって使い物にならないと判断された者は、即座に斬り捨てられるからだ。
処女区に入れば生家はもちろん、二度とその狭い箱庭の外に出ることは許されない。
彼女らが再び門をくぐるのは、死ぬ時である。
殺されない立場まで這い上がる方法はただ一つ、神官の子を成して浄母と認められることであった。
命がかかった恋の駆け引きに挑む少女たちは、死にもの狂いで神官の寵を得ようとする。
しかも神官は、必ずしも浄罪日に処女区を訪れる義務はない。立場に圧倒的な隔たりがあるのだった。
美しくない者、愛されない者、病む者、弱い者から先に死んでいく。
処女区に入る少女は例年引きもきらず、百名入ればそのうち七十名以上が一年も経たずに命を落としていた。
そのような凄惨な場所と承知の上で、なぜ少女たちは処女区に入るのか。
それはほとんどが彼女らの意志でなく、親に売られて入るのであった。
花姫たちの元の身分は、平民と賤民が大半を占める。
それもそのはず、臣民の娘はそのようなことをせずとも、しかるべき身分の相手に嫁ぐことができる。
神官は規則上妻子を持てないため、神官の子女たちは神区で育ち、成人後は神官となるか、身分を金で売って臣民となった。
一両という目にしたことすらない大金と引き換えに、親は子供を処女区に入れる。
かつかつの暮らしをする貧農や、借金で首が回らない商人にとって、一両は喉から手が出るほど欲しい金だった。
その上、もし花姫が処女区で浄母にまで登りつめれば、月々に安定した給付金がもらえ、一生働かなくて良い身分になれる。
したがって、貧家に生まれた娘は息子よりも格段に優遇され、万が一にも死なせないよう、飢えないようきちんと飯を与えられ、ちやほやともてはやされ、厳重に貞操を守られる。
しかるべき時まで。
娘たちは何も知ることなく育ち、ある日突然残酷な事実を目の当たりにする。
しかし、その時には、父親が娘を担保に借りた金や、田畑の開墾のため重ねた借財で、もはや身動きが取れなくなっている。
逃げ場をなくした少女は、処女区に入れなければそのまま間引かれる。
命がけの戦いは、生まれた時から始まっているのだった。
貧乏な家の娘は、一度は必ず「言うことを聞かないと処女区に入れるよ」と言って脅される。
縁談の相手がいかに気に入らなくとも、それでも処女区に入るよりはましだと自分を慰め、泣く泣く嫁いでいく。
そして知るのだ。あの歌の意味を。




