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花月演義 ~~花月の乱~~  作者: のわ〜るRion
第8章 花月兵団
73/138

72.巡る旅、大樹、公国、自店、商都


今回、クレージュ自らラクロア大樹に赴いた事で、エルフ村の状況を見ることができた。


砂糖が主力商品になるのは間違いない。

けれど、それ以外にも量は少ないけれど、価値の高そうな作物は見られる。


例えば、なぜか胡椒が群生してる場所がある。

しかも、半ば放置されている感じだったりする。

森妖精たちはこの香辛料を使用する習慣がなかったのがその原因だ。


以前に誰かがこの胡椒を少し持ち帰った事がある。

それをアングローシャの商会で卸し、良い値がついた記憶がある。

だから、しっかり栽培すれば、価値の高い商品にする事ができる。




この村の情報をまとめ、クレージュは一旦、フルマーシュへの帰路についた。

馬車の中で今後の計画を立てたいので、愛馬“ローラン”はエルフ村に残した。

今回こちらに残るユーミに世話を任してある。


相方のレイリアもこちらに残留だ。

レイリアはここに鍛冶工房のような場所を作ろうとしている。

力の強いユーミはその建築の手伝いだ。


代わりにフルマーシュに帰還するのは、フローレンとアルテミシア、

そして、エルフ村の長である森妖精(ドライアード)ロロリアと、その相方の銀妖精(シルバーミネラリアン)アルジェーンが一緒だった。


二人は以前、フルマーシュに一度だけ来たことがある。

…食器にハマったのは、その時だったのだけど…

町に来て見聞を広めたい、という事だった。

食器以外にも興味のある物を探してもらえばいい、とクレージュも思っている。


ロロリアと同様の考えで、二人の森妖精(ドライアード)が同行している。

マラーカは、深緑と明るい緑の絡むウェーブヘアの大人っぽい森妖精(ドライアード)で、エルフ村ではものづくりや修理を担当している。

翡翠(ヒスイ)色の編み込み髪の大人しいジェーディーは、エルフ村でもともと料理を担当していた。


二人とも、人間の町を見てまわり、道具や食について学びたい考えのようだ。

ロロリアはすぐに帰還するが、この二人はしばらくクレージュの店に滞在する事になる。

…閑散とした今のフルマーシュを見て、少しでも参考になればいいけれど…


そして、女兵士のチアノ“部長”が今回一緒にフルマーシュに戻る。

今回の入れ替え帰還メンバーは彼女だけだ。




特に問題もない帰還行軍…

のはずだったのだけど…


エヴェリエ公領で、また兵隊さんたちに聞き取り調査を受けた。


今度はクレージュも証書を提示した。

特に何を聞かれ、何をされる訳でもなく…

荷を検められることもなく…

最高の料理を提供され、丁重に遇された感じではある…


「今回、行き道もこんな感じで止められたのよね…」

「それで合流が一日遅れた訳ね…納得」


まあそれでも、この宿でも最高級の料理が、しかも無償で提供されてくるのだから、まんざら悪いものでもない。行きしには、ユーミが最高級の肉料理を、レイリアが最高のお酒を、おかわりしまくっていた…。


アルテミシアも、絶品スィーツ食べ放題で、満面の笑顔だ。

お土産にエヴェリエ銘菓三色団子まで注文して、大箱で受け取っている…


森妖精(ドライアード)のロロリア、マラーカ、ジェディーも、初めて食べる人間界の高級スィーツ…それも次々に違うものが出てくる…のを、驚きと喜びを持って楽しんでいる…。


銀妖精(シルバーミネラリアン)のアルジェーンも、小柄な割に、よく食べる。

無口で無表情な割に…食べるのが早い…。

ユーミには敵わないけれど…かなり食べる。

まあ、背は低く顔立ちも少女っぽいけれど、胸部(おむね)臀部(おしり)は、飛び出したように丸っこく大きいので…その辺りに集中的に栄養が行くのだろう…。


「…人間の世界って、いきなり多くの人が来て…、ご馳走を用意してくださるのね…」

「いいところだねー」「いいところですね~」


「いや…こういう事って、めったにないから…」

「普通じゃない事だから、誤解しないように、ね♪」


さっそく、ロロリアたち森妖精(ドライアード)に変な認識を与えてしまったかもしれない…。



「これって、何の取り調べかしら? 何か事件でもあったのかしら?」

クレージュは、兵隊長らしい人物にたずねてみた。


「いえ、事件はありません。我々は、助爵のクレージュ様、フローレン様、アルテミシア様を確認し、お手数をおかけするので、お持て成しするよう仰せつかっております」

兵隊長を名乗る人物が答えた。


「守備隊長さんか誰かからの命令? それとも、お役人の誰か?」

エヴェリエ公領の治安や内政についてまでは、クレージュは良くは知らない。

役人に知り合いもいないし、心当たりもない。


「いえ、領主様よりの命、と窺っております!」

兵隊長は(かしこ)まって、そう返答した。


(領主…? エヴェリエ公…?)


領主直々の命令だとしたら、事は小さくない。



クレージュは、時事情勢の一環として、貴族の勢力図などは頭に入れている。

アングローシャを訪れた際には、必ず情報屋から話を聞くようにしている。

商売は、政治によって左右されることが多々ある。

彼女たちの町フルマーシュが閑散としてきているのも、その影響が大きいのだ。


クレージュは、国内の今の政治勢力図を今一度、頭の中で整理した…

その中からエヴェリエ公国の位置付けを分析し、今回の行動について予想する…


現在のルルメラルア王国の政情は…

まず、白の王子と呼ばれる第一王子リチャードと、王弟ガランド公の対立が大きい。


病床の国王に代わって、宰相として民政を行うリチャード王子。

それに対し、国内の経済の多くを手中にするガランド公が、自らの派閥勢力を率いて好き勝手をしている、というのが今の国内の政治情勢である。


北の反乱のお陰でリチャード王子は当地に駐留し、軍政を行っている。

実際に国内の政務を行うのは、王子の側近であるメディウス公爵だ。


大将軍である第二王子、黒の王子エドワードは、軍人気質で権力抗争には興味がなさそうだ。

ただその軍事力の高さと人望から、図らずとも第三の勢力になっている。

エドワード王子とその軍は、旧ブロスナムの西方にある旧王都チェリオに駐留し、こちらでも軍政のような形になっている。だが、宮廷から遠い事もあり、政争には増々無関係だろう。


三人の公爵の最後の一人、エヴェリエ公爵。

派閥で言えば一応は中立、あるいは小さいが第四の勢力に当たる。

が、日増しに大きくなるガランド公爵の勢力を警戒している向きはあり、現在ではリチャード王子の側に肩入れしているようである。


クレージュたちに助爵位を授与したのは、第一王子リチャード派閥の筆頭、メディウス公爵である。



こういった経緯と、現在の政情をあわせて鑑みれば…


「私達の事を自派閥に取り込むか、あるいは既に派閥の末端と見て、構ってくれている、ということでしょうね…おそらく…」


一言で言えば、そうなる…

だけど…

「でもね…なんか引っかかるのよね…」

「そうね、ヘンな感じよね♪」


こんな、聞き取って調べるだけ、というのは、変な感じだ…。

領主筋の命令であることを口外しても良い、という事も含めて、だ。

懇意にしたいなら、お城に招く、という手もある。

第2位の公爵と第9位の助爵で、格が違いすぎる事を考慮するなら、中間くらいの階級の者…第5位の伯爵位を持つ者か、もっと下位の者に、接触させる事もできるだろう。


「なんかね…悪く言うと、政治に不向きな人が、遇し方がわからないから、その場の思いつきで接待しているみたいな感じ、なのよね…」

クレージュの物言いは、もちろん、兵隊長たちには聞こえてはいない。


「女子だけの勢力が珍しいから?」

フローレンの言う通り、そういう理由で興味を持った、という事もありえる。

女性で助爵位を持つ者も、珍しいといえばそうだ。

ルルメラルアでは総じて女性の地位が低い。


「女性だから扱いに苦慮している?…そんなことあるのかしら♪」

いいつつアルテミシアは、スィーツを満喫できて満足乙女(オトメ)の表情だった。


「まあ、用心はしましょう。下手に政治に巻き込まれると、厄介だからね」

クレージュの警戒するのは、そこだった。

多少の面倒ならともかく、全てを失う危険すら付きまとうのだ…。


実力者の後ろ盾があると、心強くはある。

だけど同時に、敵対勢力から睨まれる事にもなる。

貴族との関わりは諸刃の剣なのだ…。

助爵の地位くらいで止めておくのがちょうど良い…





そんな訳で…エヴェリエ公国で足止めを受けたお陰で、行軍が一日遅れになったけれど、その分、温泉の村クレフに早い時間について、みんなで温泉を心ゆくまで満喫した…。


ロロリアたち森妖精(ドライアード)はこの温泉というものに、とても興味を示し…

「…わたしたちの村にも作れないかしら…?」


と言い出す始末…。


「これは、地の熱で温められた地下水が吹き出してできる物だから…」

と、クレージュが説明をするけれど、

森妖精(ドライアード)たちは、大樹の幹を通る水を一部お湯に変える事はできる、みたいな話になって…、その話にアルテミシアも加わって、魔法装置を作れば可能、とかそういう話になって…


大樹のエルフ村にも、温泉を作ろう!


という話になってしまった…。

…ロロリアはおっとりしてそうで、言い出したら聞かないようなところもあるのだ…



ところで…

ロロリアもアルジェーンも、二人の森妖精も、そちらのほうはかなりの大きさで…


ロロリアは、豊穣感のある森妖精の乙女?、なので胸もふっくらである…

普段は若草色の長衣(ローブ)姿でわかりにくいけれど、脱げばフローレンと同じくらいはある…つまり“爆”レベル…。


アルジェーンは、背丈や顔立ちは子供のような幼い感じなのに…

こちらは細かいなめらかな銀鎖を編んだドレス、だけど身体のラインが出るので、胸部(おむね)臀部(おしり)も大きいのがまるわかりだ…。

だいたい道行く男性が振り返るのは、魅力もあるけど、違和感もすごいからだろう…。

支えてなくても重力に負けず、丸いおっきいのが二つ、真ん前に突き出す感じの…“爆+”か“超-”レベル…


森妖精(ドライアード)の二人も、“巨”以上という感じ…


「あれ? アルテミシアさん? のぼせましたか…? 大丈夫…?」

そうやって気遣ってくれるのは、古残のチアノだけ…

…と思ったら、

チアノもけっこうかなり大きい!

“巨+”か“爆-”はあるレベル…

そういえば…この子も海歌族(セイレーン)なのだ。


アルテミシアはまた、「自分だって“豊+”なんだからっ!#」と叫びたい気持ちを我慢する…






そうして七日目に、フルマーシュに帰還した。


カリラとセリーヌは、娘たちが無事に大樹の村に着いたと聞いて安心し、

チアノは海歌族(セイレーン)仲間の三人と、久しぶりの再会を喜んでいる。


森妖精(ドライアード)の二人は、次回までここに留まる事になる。

物作り担当のマラーカは、色々な道具などを使って学び、エルフ村に持ち帰りたいと考えている。

料理担当のジェーディーは、ここで料理長のセリーヌという一流の料理人から、町の料理を学ぶつもりだ。



店の裏手では…


不良三人娘が今日も、二人の教官、ネージェとディアンに(しご)かれていた。


「あ、おかえりー!」「おひさしでーす!」


ネージェとディアンは相変わらずだ。

ただここでゆっくり修行して、また戦士としての腕を上げた雰囲気がある。


へばっていた三人が、フローレンとアルテミシアの姿を認めると、跳ね起きるように立ち上がった。


「あー! 大姉御ぉ! お疲れさまです!」

「花の姐さん、お元気そうで~!」

「月の姐さんも、ご健勝で何よりです!」


大姉御。花の姐さん。月の姐さん。

聞き慣れないが全部、フローレンとアルテミシアの事、のようだ…。


「あ、馬さんのお手入れ、ですね!」

「わたしたちに、おまかせくださ~い!」

「さ、姐さんたちは、ゆっくりして…!」


三人娘は、はりきって喜々として、馬たちの世話を始めた…。

この三人のフローレンやアルテミシアの敬い方は、並外れている…。

自分たちを拾ってくれた恩人だから、なのか…。

…ちなみに、クレージュの事は女将(オカミ)と呼んでいるのだとか…。



フローレンたちはお店に入って、久しぶりの女子専用席で食事をいただく。


「どう? あの子たち…? がんばってる?」


ネージェとディアンを呼んで、あの三人の評価を聞いた。


「やっと体力、ついてきた感じです」

「剣のほうは、まだまだですねー」


というのが“教官”ふたりの評価だった。

この二人は村の不良とは言っても、親がいない分、しっかり他所(よそ)様の家の畑仕事をして、自分で食い扶持を稼いでいた。だから体力もあるし、性格もしっかりしてる。


あの三人娘は、悪い男どもに寄生し、まともに仕事もしていないので、つまり長年楽をして生きてきたので、体力的にも精神的にもまだまだ至らない…。

一応、三人とも、ネージェ、ディアンとは同年齢、なのだけど…。


「けっこう時間かかるかもね、あの子たち…」


それでも、物にならない事はないだろう、とフローレンは見ていた。


「でも、料理のほうは上手になったわよ。三人とも」


ちょうど料理を運んできたウェーベルが口を挟んだ。

年長者で未亡人のウェーベルは、後輩の女の子が増えたおかげで、すっかり

みんなのお姉さん、といった貫禄がある。


「あの子たち、お洗濯もお掃除も上手になったよ!」


続けて料理を持ってきた、ちっちゃなアーシャもそう付け加えた。

あの子たち、とか言っているけど、アーシャのほうが歳下だ…。

…まだアーシャより弱いし、体力でも負けているので、無理もない…



「ウェーベルとアーシャも、頑張ってるよ」

「かなり体力ついたよね」


ネージェとディアンが、さらっとこの二人の事も評価した。

この四人はやっぱり仲がいい。

同じ村の四人というだけでなく、四人とも同じ金髪で一体感がある。

他の子が増えてきた中にいると、今では実の四姉妹のような雰囲気が漂っていた。



「アーシャ、ころばなくなったよ!」

姉のようなネージェとディアンに褒められて、アーシャは嬉しかったのか、子供のように喜んで跳ね回った。

すると…


ばたーん!

転んだ…。言ってる端から…。

そこにあったスライムバケツをひっくり返しそうになった…。


「こういう事は、口に出したらダメなのよ♭

 古い言葉ではね、(フラグ)が立つ、っていうのよ♭」

アルテミシアが気にして見に来た。


でも、守りアクセサリの、一点未満のダメージ無効、効果のおかげで怪我はしていない…。

いや、ちょっと膝をすりむいている…


「アーシャ、自分で治せる♪ 教えて上げたやつで♪」

「できるよ! 見てて、先生!」


アーシャが小声で何かを唱えている…

すると…

アーシャのちっちゃな手が光を伴って…それを傷に当てると…

光とともに傷が消えた…。


「はい、よくできました♪」

「えへへっ!」


アーシャは頑張って覚えて、治癒魔法を使えるようになっていた。


「ウェーベルお姉ちゃんも、魔法、つかえるよ!」

と言って、アーシャは「みせてあげて!」という感じに、ウェーベルのエプロンドレスを引っ張った。


弟子たちは自分で成長している。

アルテミシアが離れていて見てあげられなくても、この子達はしっかり頑張っているのだ。





お店の方は、また客入りが減っていた。

それは仕方のない事で、お客さんがこの町から他所へいってしまっているのだ。

主に、北の開拓だ。




いずれ北の戦乱が終わったら、また戻ってきたお客さんたちを迎えたい…

クレージュはそんな思いを抱えながら、今は細々とでも店を開け続ける事を、ここに残っているセリーヌやクロエにお願いしている。


「ただいま~…あ、みんな帰ってるじゃない!」

レメンティが戻ってきた。

彼女はまだこの町で占いを続けている。

生活に困り悩んだ人が占いにすがりに来るのだ…。


だけど…

彼女が占いをした相手も、この町を離れるべき、という結果が出ることが大半なのだ…

皮肉なことに…この町はますます閑散としていく…。



お店の端の席で、踊り子のラシュナスが、ここに来た森妖精(ドライアード)の二人と話をしていた。


「ここではね~…ぁたしみたいなぁ、ぇろぇろのふくを着るのが、はやりなのぉ~」

ラシュナスは早くも酔っ払っていて、訳の分からない事を口走るのだが…


「へー…そうなんだー!」

「どうしましょう…そういうの持ってないわ…」

森妖精(ドライアード)のマラーカとジェディーは、ラシュナスの妄言を信じてしまっている…


「こら! ラシュナス! ヘンな事、教えないの!

 この子の言ってること、デタラメ! デタラメだからねっ!」


レメンティがすぐ気づいて止めた、ので被害は出なかった…

止めれなかった日には、実際に信じ込んで、お客の前で薄ーい格好してしまった子もいるのだ…

火竜族(サラマンド)の陽と陰の二人とか…。


でもこのひらひらえろえろ衣装のおかげで、ラシュナスは男客にモテモテだ…。

彼女の言っている事も、満更ウソってわけでも…ない、のだ。






二日後、また新たにここからエルフ村へ旅立つ日がやってきた。


クレージュと、ロロリア、アルジェーン

フローレンと、アルテミシア、


院長先生の葬儀を終えた、孤児組の、リマヴェラ、エスター、トーニャ、ベルノ、の四人と、小さな二人、ミウとブルーベリ。


そして、長らくこの店にいたアヴェリ村出身の四人、

ネージェ、ディアン、ウェーベル、アーシャ。


泣いている子もいる。

子供の頃から住んでいるフルマーシュの町を、山賊から救われて迎え入れてもらったクレージュの店を、離れる事になる、

そして、いままで親しくしてくれたカリラやセリーヌとも別れる事になるのだ。


それでも彼女たちは、軽い鎧を身につけた女性兵士の出で立ちで、換装したアクセサリ“花と月”の紋を、鎧に着けたり、髪飾りにしたり、イアリングやペンダントにして、全員がお揃いの紋で統一されている…

新天地への移住や行商に赴くというより、それは、兵士たちの出陣、といった感じだった。





今回は二輌の馬車で、全員でアングローシャへ立ち寄った。

かなり商売が順調なので、宿泊費くらいは惜しまなくてもよくなった。


今回は色々と買い揃えるものがある。

村での生活に必要な道具、村で作れない資材、植物の苗、植物の栽培に関する本…

そして、エルフ村へのお土産だ。


大都市アングローシャへ来るのが始めて、という子がほとんどだ。

田舎町フルマーシュや農村のアヴェリ村しか知らない子たちだ…。

街の大きさや人の多さに驚いている…。


正規兵として街に立つお尻丸出しの女兵士や、自分たちより薄い格好をした妖艶な女兵士の集団が町を練り歩くのを見て、戸惑う子もいれば、じっと興味深く見つめる子もいて、中には華やかさに感激している子もいた…。


あまりエルフ村を出ることのないロロリアもアルジェーンも、国内最大の商業都市の、あまりの人の多さに驚いていた。

ロロリアは町の小鳥を代わる代わる肩に乗せて、聞こえない耳の代わりに、音をもらっていた。

アルジェーンは、人が多くて音の情報が多すぎる為、その音を聞き分けるのにだいぶ苦労していた感じだ。


ロロリアは、あれも、これも、と、けっこう欲しい物が多くあった。

もちろん予算的には、全部買うという訳にはいかない…。


通貨、という概念がまだあまり理解できていないので、価格を見ずに欲しがる感じなのだ…

彼女が欲しがるものを全部買ったら、村ごと売らなきゃいけないくらい…。

桁が二つ三つ違うものを、同じように並べて欲しがるので…、なぜこっちが買えて、あっちが買えないか、なんて事も説明が必要…


…で、一緒についていったフローレンは、彼女に納得してもらうのが、とても大変だった…。



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