54.冒険者たち
クレージュたちが、メディウス公爵より、助爵の地位を賜ってから二日後…。
クレージュの店ではちょっとした宴会が行われていた。
最近は不景気のお陰で来客がめっきり減ってきている。
そんなお店の、昼の営業の後の事だ。
四人の冒険者がクレージュの店を訪れた。
四人とも、男性だ。
当然のことだが…
冒険者は男性のほうが遥かに多い。
この店に屯しているのが女性冒険者ばかりなので、ここではそれが当たり前になっているが、普通に考えれば、女性冒険者のほうが数は遥かに少ないのだ。
彼らのパーティは“黄金の門”という。
ある物語における、伝説上の財宝へのゲート、から名付けているという話だ。
あるいは、別の者の解釈では、その門は、高貴なる者の住まう宮殿の門の事を言うらしい。
高貴な人の居城には財産があるはずなので、ある意味間違ってはいないのだが…教養に裏付けされた名称ではなく、富と幸運を求める冒険者の好みそうな名である感じは否めない。
彼らは、北の商業都市アングローシャを拠点とするパーティである。
南方面の依頼がある時にこのフルマーシュまで来ることもある。
クレージュの店の何人かとは面識があり、かつては一緒に冒険したこともあるくらいだ。
だけど、男どもはこのクレージュの店に寝泊まりできないので、フルマーシュに来た時は町の反対側の宿つきの酒場で寝泊まりをしているのだ。
「あら!? お久しぶりね!」
ちょうど店のカウンターにいたクレージュが、その四人の来訪に気づいた。
クレージュは、そこにいた海歌族のウェイトレス、アジュールとセレステに、フローレンたちをここにを呼んでくるように言った。彼らと面識のある者をだ。
「いよぉ! フローレン!」
「ファルコン! 久しぶりじゃない!」
フローレンがカウンターの内側から声をかけた。
椅子を持ってきて、アルテミシア、クレージュと並んで座った。
リーダーのファルコンは隻眼の剣士だ。
上半身のみの板金鎧姿の、よくいる感じの傭兵風、
それほど体格も大きくない。だが大振りな剣を遣う。
そして非常に俊敏だ。
「オーフェは? 元気にしてる?」
彼の姉のオーフェも優れた傭兵で、元はルクレチアの戦巫女だった。
フローレンの友人でもあるけれど、元々はフローレンの両親の知人である。
戦士としての腕はフローレンのほうが上だったけれど、実戦での心得や冒険で必要な知識を教えてくれた先輩でもある。
「聞くまでもなく、元気でしょうけど…オーフェ、今どうしてるの?」
クレージュも同じく彼女の安否を気遣った。
同年代のクレージュは冒険者仲間でもあるのだ。
「ああ。メチャクチャ元気だ。元気すぎて力を持て余してるよ…
子供が大きくなって、手が離せなくなったからなあ…
料理とか覚えて、服とか縫ってやったり…柄にも無えだろ!?」
「あらあら。それはあんまり想像できない姿ね!」
言いつつクレージュは、旧友の息災な感じを喜んでいる。
子供が小さかった時はオーフェはまだ現役で、幼い娘二人を知り合いに預けて、一緒に冒険に行ったりしていたものだ。
「すっかりお母ちゃんだよ…。二人もいるからなあ。
姪っ子たちもな、母親のような強い戦士になりたい、って毎日剣の稽古だ」
ファルコンは姉の娘、その双子の話をはじめた。
フローレンもその子たちには五年ほども前に一度だけ会った事がある。
今は十歳を過ぎたくらいになるだろうか。
その頃の姿しか知らないけれど、その小さな双子が揃って剣を振っていたのを覚えている。
彼女たちの父親、つまり女戦士オーフェの夫は、既に故人だ。
ファルコンの戦友で傭兵仲間であったが、ある戦いの中で命を落とした。
「そっかー、娘さんたちも頑張ってるのね…」
フローレンは、自分も母に鍛えてもらった、幼い頃の事を思い出していた。
もっともフローレンが剣技を叩き込まれたのは剣豪だった父からで、
母のソニアから教わったのは、剣ではなく花の術だったけれど…。
でも母もルクレチアの戦巫女だったくらいには剣の達人だ。
「オーフェは? 今でも修行してる? 剣の腕は落ちてない?」
「ああ。ヒマさえありゃあ、剣、振ってらあ。
でもまあ、いくら姉貴が頑張っても、お前には勝てねえよ、フローレン」
「いやいや、フローレンには、おめぇだって勝てないだろうが」
横から突っ込みが入った。
「違いねえ!」
ファルコンは悪びれもなく高笑いした。
その突っ込みを入れたのは、魔術師のような出で立ちの男だ。
魔法後進国のルルメラルアでは、魔術師自体が珍しいが、男性の魔術師は本当に珍しい。
この男魔術師、ショーは行商人上がりの冒険者だ。
クレージュの商売助手カリラの亡き夫とは商売仲間に当たる。
ただショーとカリラ、当の二人には全く馴染みはない。
カリラに教えても、亡き夫の事を思い出させるだけだろう。
だからここに呼んではいない。
「あいつの嫁さんと娘さん、面倒見てくれてるんだってな…
ありがとよ、クレージュ…」
「貴方の方は? あの子とはどうなの? 私もしばらく会ってないけど…」
ショーにはケイトという、商人仲間の恋人がいたはずだ。
クレージュの後輩の行商人でもある。
「ああ、ケイトも元気だぜ。うん。相変わらず、北で行商やってるよ。
いや、今は駐留軍相手の商売だ。いっつも駐留地とアングローシャとを往復してる…お陰で、たまーに家に行ってもよ、いないことが多い訳だ…」
と言って、ショーはちょっと不満気味にグラスを呷った。
互いに旅をする仕事をしていると、会えない事も多く、不満も不安も募るのだろう…。
「貴方の魔法の系統、珍しいわよね。ジュリアーク教団の古式魔術だっけ♪」
商売系の話が止まったので、アルテミシアが口を挟んだ。
ショーは、魔術師というよりは、魔法も使う戦士、という感じだ。
体得していくタイプの魔法的技術で、正確には技に分類されるはずだ。
技に分類されるというのは、その体得の課程は、アルテミシアのような学術魔法ではなく、フローレンの花術や、レイリアの炎術と似ている、という意味だ。
「面白い系統よね♪ 貴方から教わって、私もちょっとだけ齧ってみたけど、なかなか興味深い発見もあったわよ♪」
「へえ…発見って、どんな? 聞かせてよ?」
「うん、まずね…その説明の前に、学術魔法との違いなんだけど…♪」
ちなみにアルテミシアの用いる学術魔法は、個々の魔法を生み出す単語を構文としてつなぎ合わせ、効果を導くものである。
ある一つの事象(その多くは攻撃系魔法)について学術的に研究されつくした、その最も効率の良い構文を丸暗記し、呪文として唱えるのが主流である。
上級者はその完成された構文を弄って、独自のアレンジを加え、威力や効果範囲・効果時間を変更したりできる。
呪文の構成に体内の魔奈循環を活用するため、魔奈循環回路を体内に持たない男性には難しい系統なのだ。
これは、論理魔法装備を男性が使えない事とも同義である。論理魔法装備とは、この魔法の単語の構文(こちらは主に防御系魔法)を付与している装備だからだ。
「体内の魔奈回路じゃなくって、空間の、つまり大気や大地や木や水や火、その場にある魔奈を活用する術系統だから…♪」
と言ってアルテミシアはまた細かい説明をはじめた。
「…成る程! つまり起こしたい魔法の事象によって、魔法を完成させる位置を高くしたり低くしたり、すれば、多少なり威力が上がる…て事か…試してみる価値あるなあ…
…やっぱ魔法に関しては、何やってもアンタには敵わないよ、アルテミシア」
というショーに対して、
「いやあ、魔法だけかあ? 敵わねえの?」
と、ファルコンから、さっきの仕返しが飛んできた。
「あ? 俺は元々商人だからさ! 魔法は副業! 俺が商売しながら冒険してるお陰で、パーティの資金繰りも助かってんだろ? 俺も役に立つ男なんだぜ?」
「それだって、クレージュ姉さんと比べたら、足元にも及ばねえだろうが!」
「あ、そいつぁ…痛いとこ、くるなあ…!」
と言いつつ、同僚の攻撃には、ショーも大笑いしている。
端の方で一人静かに酒を嗜んでいる男。
頭にキレイな柄の布を巻き付けている。
そしてその横顔は、かなり端正だ。
「ヴァールったら、また一人で飲んでるじゃない」
フローレンがその静かな男のグラスにお酒を注ぐ。
西方のオノア出身のヴァールは一見優男風だが、その曲刀の捌きは凄まじい。
オノアは西の大国として警戒されているが、実のところ一つの大きな国というわけではなく、
百を数える諸部族が乱立し、合流したり、分離したりを繰り返している広大な地域である。
ヴァールはそのうちの小さな部族の出で、遊牧を生業とする一族の戦士だ。
「妹さんは? また協演できないかな?♪」
ヴァールには、一緒に国を出てきた笛吹きの妹がいる。
国を出たことに何か事情はありそうだけど、そういう理由は聞いてはいけないものなのだ。親しくなれば心を開いて、自然に話してくれる。人の関係は、それでいい、とアルテミシアは思っている。
「…元気だ。…。
演奏は喜んでいた…また誘ってやってくれ…。…。」
「…もう、無口ねえ♪」
「いいんじゃない? 男は口数少ないほうがミステリアスよ?」
言いながらクレージュは、この二人の異性を見る目について考えた。
この二人は色恋沙汰には縁がない。本当にない。
アルテミシアはまだ男性を知っている感じだけど、フローレンは男性とのそういう関わりが全くない。…本当に無い。
ヴァールは口数が少ない。
彼のような顔立ちが端正で無口な男は、女心を惹くものがあるのだろう…
だがそれにしても、ちょっと取っつきにくい感じはあるかも…。敷居が高い感じだ。
ばーーん!
「きたよー!!!」
いきなり、
激しく戸を開けて、ユーミが飛び込んできた。
ユーミは今日は狩りに行かず、寝て過ごしていたような感じだった。
起きたのでちょうど退屈しのぎに、この近所の家々の薪割りをこなしてきたところだった。裏庭に隣接する家の薪を割り尽くしたので、戻ってきた。
「おう、ひめ~~!」
「おう、アニキ~~!」
このパーティの最後の一人、
トースルは縦にも横にも大きい、筋骨隆々とした豪快な巨漢の戦士だ。
遥か北方の出身で、どうやら獣人族の末裔らしい。
そういえば…どことなくクマっぽい。
そして、ユーミとは旧知の仲だ。
歳も背丈も離れているが、同じ出自らしい事もあり、ユーミとはものすごく気が合うようだ。
髪をほとんど剃ってる厳つい巨漢と、小柄で可愛い雑ツインテールな小娘。
向かい合って、リズムを取りながら足踏みし、拳を合わせ、二人の動きの合った変な踊りを踊る感じの、よくわからないが北方蛮族特有の挨拶を二人でしている。
ちなみに…こんななりだけど、ユーミのほうが強く、トースルはその強さに戦士として感服しているという…。
「俺たちは、北に行くことにしてな」
「だから今日は、別れの挨拶、って訳だ」
そういう訳だった。
つまり、ここにはしばらく来なくなる。そういう事だ。
尤も、クレージュがここに店を構えてからも、彼らがここを訪れたことは数えるほどしかないけれど…。
「北って? ヴァルハガルド?」
フローレンが尋ねた。ヴァルハガルドはユーミたちの出身地、蛮勇の地だ。
危険な生き物も多いし、好戦的な種族も多い…。その上、環境も過酷だ…。
「「いやいや…」」
彼らは否定する。
「じゃあ、もっと北?」
さらに北は、さらに未開の地だ。
まだ知られていない地に、まだ未知の種族や未知の魔物がいるであろう。
そして、未知のお宝も。冒険者としては危険を冒す価値もありえるのだ。
「いやいやいや!」
「ブロスナムだよ、リブナ地方だ。ルルメラルア軍が軍政してる区域だよ」
北の内戦の地に行く、という事だった。
「傭兵団を立ち上げるんだ」
「さらに仲間を集めて、ひと稼ぎ、ってとこだ」
「なるほどね…」
「そういう事、か…」
北の内乱は収まる兆しを見せない。
数ヶ月前からルルメラルア第一王子リチャードが自ら赴き、軍政を行っている。
白の王子と呼ばれるリチャード殿下は、勇敢でかつ温和な人物で、まずは当地の民に対しても、反乱を咎めることよりも、まずは慈悲を示しす事から始めた。
その結果、軍政の届く範囲の民はルルメラルアに帰順し、その統治に従い始めている。
そのおかげで戦線は後退し、やや押し込められた形になった反乱軍の抵抗は、密度が厚くなった分、やや激しさを増している。
当地の復興やあるいは開拓のために、人力が必要な状態であり、国内各地から有志を募っているところである。
彼らは、傭兵として北の地へ向かう、という事だ。
「北に行く人、増えたわよね…」
この町を出て、北に稼ぎに行く人が増えてきている。
クレージュの店のお客も、北へ行く人が多かった。
わざわざお別れを言いに来るお客もいるくらいだ。
職にあぶれ、ただ作業を求める者もいる。
林業の関係者や、手に職を持つ者も、多くが北へ行った。
レイリアの勤める鍛冶屋の連中もそうだ。
鍛冶屋を閉め、数日後には男たちは北へ向かうらしい。
そこで務めていた二人の火竜族ガーネッタとネリアンは既に辞めているし、レイリアもやり残した仕事の片付けで、働きに行くのもあと一両日くらいだ。
「でも、どういう訳か、北に行く人が異常に多いのよね…」
男一人で出稼ぎに行く者も多いが、家族ごと移住する者もいる。
クレージュの見たところ、その数がかなり多いと実感している。
家財をまとめ家族連れを乗せた馬車が、連日のように北に向かって出ていくのだ。
「この町にも通達が出てるんじゃないか?
フルマーシュからは大量の民を北に移すとか、大体的に言ってやがるからなあ」
「なっ…! それって…!」
クレージュは思わず立ち上がりそうな勢いだった。
「アングローシャ領主、大貴族のダンナからの通達だよ」
「北の開拓地で土地を貰える、って話が出ているからなあ…」
商業都市アングローシャのような裕福な町から見れば、ここフルマーシュは発展性のない田舎町で、
つまりお偉い方々からすれば、大して価値のない、なくなっても困らない町、と見られている、という訳だ。
だからこの町ごと、労働力を北に持っていこう、という、開拓移民的な発想だ。
土地を貰える者以外にも、商業や工業でそこで居を構える者もでてくるだろう。
レイリアのところの鍛冶屋たちも、戻ってこない可能性もある訳だ。
「勝手な事してくれるわねえ…」
クレージュは呆れとも怒りともつかないような口調でつぶやいた。
最近、この店や自分たちの事ばかり考えていて、世の中の情勢に気を配っていられなかった。
クレージュにとって、この情報収集を怠っていた事は、行商人として痛恨の極みであった。
確かに…この町の領主アンベール伯爵も、アングローシャの大貴族には頭が上がらない感じではある…。自分の町の民を引き抜かれても、文句も言えないのだろう…。
民を移すことでその地での生産は安定していく。
二国の民も融和し、やがては全部ルルメラルアに統一されていく。
そんな長期的視野をもって、今回の移住を推し進めている、としたら、これは高度な政治の問題であり、いわば国策とも言えるのだ。
今は国の大事であり、そのような対応が取られるのも致し方ないところはある。
だがそのせいで、この町でも商売を続けることができなくなり、職を失う者も出始めている。
このお店の女の子たちも、無関係ではない。
先の鍛冶屋もそうだ。
ラピリスとベルノの働いていたパン屋も、失職した身内を養うために、結果的にこの二人が辞めることになった。二人はここで毎日パンを焼いている。
厨房が混雑するのを避けるために、夜遅くまで、または朝早くに起きて二人で粉を練ったりしているし、釜が充分にないので、手間がかかったりで大変な思いをさせている。
トーニャの務めていた仕立て屋も、フルマーシュ店は閉店だ。
フローレンとリマヴェラが務めていた花屋も閉店になった。
クレージュの知り合いが務めていた料理屋を出されて、先日からその母娘三人をこの店に受け入れていた。
そして、この店も閉店とまではいかなくとも、お客の入りは日に日に少なくなってきている。
全員をここの収益で養う事はもともと不可能な人数になっている。
アルテミシアの事前交渉によって、エルフ村で女の子たちを受け入れてくれる事が決まっているので、そのあたりはクレージュは気が楽だった。
「まあ、仕方ないところはあるのかしらね…」
それが国の方針、国家存亡に関わる事、だとすれば…
「いや…これはウワサなんだがよ…
アングローシャの領主がよ、その新しい地域での商売の権益から徴税権まで持ってるってウワサでよ、だから自分の懐に挿れるモン増やすために、こっちの職人とか、ついでに働き手を持っていこうとしてる、ってよ…」
「なんですって!?」
同じ商人であるショーからの発言だっただけに、それはほぼ間違いない、とクレージュは確信していた。
強欲の権化のようなアングローシャ公の、いかにもやりそうな事ではある。
自身の財産を増やすことに関しては、天才的な人物だ。
「まあでもよ、悪ぃ事ばっかでもないんだ」
北への支援通達のお陰で、野盗の類も最近はあまり活発ではなくなった。
当たり前だが、盗賊になるより、仕事が約束されている北の地に行ったほうが遥かに良い。
土地まで貰えるのだ。
そして罪を労働で贖わせるという通達が出されていた。
罪が許される、ということだから、これによって帰順する山賊が多くいたようだ。
だからここのところ、ルルメラルア各地で、山賊の大きな組織はみられていない。
残っているのは、フローレンたちが倒した、北の勢力の陰がちらつくような連中だけ、という事になるのかもしれない。
「ま、俺たちも、片付ける山賊がいなくなった、って訳よ」
山賊が討伐されてしまえば、冒険者にしてみれば、商売あがったりである。
だから彼らのように、北に行く、という事になるわけだ。
だが、山賊討伐で稼いでいた冒険者や傭兵が北の戦線に行ってしまえば、逆に山賊や野盗の類が幅を利かせやすくなる、という矛盾がここに生じる…。
その備えが、残されたこの町に、近隣の村々にあるのか…。
「北の戦乱を、早く終わらせる事よね」
クレージュが冷静に、そう言った。
それが結論だろう。
ファルコンたち四人の判断は、間違っていないのだ。
「じゃ、飲み直すか!」
「あ、お代はちゃんと頂くわよ」
クレージュは抜け目ない。
「え~? クレージュ姉さんのオゴりじゃなかったのかよ…」
「…ったりまえだろ! 商品には、必ず、代価が要るんだよ!」
ファルコンとショーがクレージュたちと話している間、ヴァールは端の席で静かに飲み、トースルはユーミと二人で肉を食べながら、じゃれ合うように語り合っていた。
ここれお別れだけど、彼らとはまたどこかで遭う事もあるだろう…。
そして…
北の反乱が早期に収束しない限り、いずれ自分たちも何らかの形で巻き込まれることになるだろう…
クレージュもフローレンも、そういう予感のような物を持っていた…。




