23.花の乙女が全部脱いじゃうのに理由なんて(略
今回ちょっと微エロ要素多いかも…
べ、別に理由はないんです! 書きたかっただけです! 多目に見てくださいまし…。
いや、前だけです! 後ろ半分は普通です。至ってフツーです…。
レイリアのやりすぎ火力は、逃げ出そうとしたカシラ(低)を爆発させた。
…坑道の入り口と共に。
入り口の崩れ落ちる音と響きに唖然とする、四人と三人の女子たち…。
しばらくの間、口が塞がらず、呆然と光が音に変わった入り口のほうを見つめているだけだ…
で…
最初に立ち直ったのは、やらかしてしまった本人だった…。
「ま、気にするな…。他に出口はあるから…
…その…鉱山ってのは、そういう作りなんだよ!」
まあつまり、完全にやらかしだった訳ですが、その炎の人は絶対にそれを認める性格ではない。追求しても逆ギレされるだけだ…。
それを知っている仲間三人も「うん」「まあ…」「そうね♭」というように、自分を納得させるしかない、訳である…。
でもやっぱり「火力が強過ぎたか…」みたいなことを小声で言ってるあたり、本人にはやらかした自覚はある、のだろう…。
賊のカシラから着れるものを取り上げるつもりだったけれど、誰かさんと誰かさんのお陰で、そして不可抗力からの反撃のおかげで、着れるものは、着れなくなったり物理的に無くなったりした。
「結局、着るものは見当たらないわね…」
「これだけ探して何も無いなんて…♭」
ここの連中はいったいどんな暮らしをしていたのか…山賊とは言え、生活水準がすこぶる低そうだ…。
「じゃあ、しょうがない、わね…」
と、フローレンは目を閉じた。
「わたしの服、あげるわ…」
そして何かを念じるような仕草を見せる。
すると…
突然、フローレンの身体が、輝く赤い花びらの螺旋に包まれた。
赤い花びら形の光が、周囲を舞っているのだ。
その光が一瞬、激しく光る…。
そして徐々に消えてゆく…。
光が消え去った時、露出度の高い赤い花びら鎧ではなく、普段着の、町娘のような姿のフローレンがそこにいた。
この変身に、女の子たちが驚いている。
が、そこから更に驚いた。
フローレンは、いきなり服を脱ぎ始たのだ。
薄いカーデガンを脱いで…、
その内着のキャミソールも…、
巻いてるスカートもほどいて…、順々に脱いでいく…。
そして上と下の紐下着も…順番に…。
最後に靴とソックスまで脱いで…
ポニーテールをまとめるシュシュ以外、完全に何も着けていない姿になった…。
「これ、三人で分けて着て…」
と、ちょっと明るさがたりないのではっきりは見えないけれど、おそらく確かに何も着ていないフローレンが、ふくよかな胸を手で支えながら、もう一方の手で、着ていた衣類を三人に差し出していた。
こころなしかちょっと顔を赤らめて、ちょっぴり恥ずかしそうな感じ、だった。
一糸もまとわぬ姿のフローレンは、また先程のように、何かを念じるような感じで目を閉じる。
するとさっきと同じように、また赤い花びらの光が彼女の身体の周りを回りだし、そしてそれが消えた時、花びら鎧姿のフローレンに戻っていた。
フローレンにとっての、この花びら鎧は、換装可能な防具なのだ。
つまり、普段着から変身するように、花びら鎧をまとうことができる。
今の一連の流れは、一旦換装を解いて、“中”に着ていた服を脱いで、女の子たちに渡したのだ。
「アルテミシアのは? あげられない?」
「ゴメン、私、中に着てるの、あの仕事着だから、この状況じゃあね…♭」
「あー、あれかー。ちょっとムリだよね。…って、ドレスとその魔女衣装しか持ってないわけ!?」
「まあ、私の場合、この衣装が普段着みたいなものだから♪」
アルテミシアの月影ボディスーツも、フローレンの花びら鎧同様に換装防具だけれど、“中”に着ているのは、歌姫の時の衣装だ。あげられないのではなく、身体に密着したドレスは彼女以外誰もサイズがあわないし、ピンヒールは洞窟では歩きにくい。
ちなみに、身体の線がくっきりと出てしまう衣装なので、歌姫の時のアルテミシアは、余計なものは…つまり、“はいてない”
「着るものはないけど… 変わりに何かないか探してみるね♪」
アルテミシアは目を閉じて何かを考えているような仕草をした。異空間ポーチを探っているのだ。
「あなたたち、三人だけ? 村の子?」
フローレンは、彼女の普段着を分け合った三人の女の子たちに話しかけた。
「わたしたち、一緒の馬車に乗ってて、一緒に攫われたけど、みんな村とか別々で…」
赤茶色の髪が豊かな、微ぽっちゃり系体型の子が答えた。
ミミア、と自分の名を名乗った。
フローレンと胸のサイズは合うので、内着の紐ブラが丁度合っていて、上はそれだけの格好。
下はパレオタイプのミニスカートを、少し腰の高い位置から巻いている。
足は素足なので、このままでは岩の洞窟を歩くのは厳しいだろう。
体型もふくよかだけど、細い紐ブラに支えられた おむねはかなり大きな谷間を形成している…。
「私達三人だけ、です」
褐色混じりの金髪の、痩せ型の子が答えた。
メメリ、と自己紹介をした。
上は素肌に薄いカーデガンだけ羽織っていて、下は紐ショーツだけという格好だ。
足にはソックスだけを履いている、という格好だが、洞窟歩きには向かないだろう。
ほっそり体型の割に、紐ショーツが完全に食込んだおしりは大きめで、後ろ姿では隠すものがない…。
「ほかには…いない…はず…」
前髪ぱっつんな黒髪の、小柄な子も続けて答えた。
キューチェ…、と静かに自分の名を告げた。
胸サイズが全然合っていないキャミソールだけもらっていて、下は何も履いていない状態だけど、キャミソールがだぶだぶ気味なので、下の方もギリギリ何とかなる、か、という微妙な危険なラインだ。
ちょっとサイズが大きめな感じだけど、靴をもらって履いている。
「こんなものならあるけど、使える?♪」
アルテミシアの、通称「亜空間バッグ」から出てきたのは雑品の数々。
エルフの村で預かった物資を除くと、
魔法的な液体の入った小瓶がいくつか…
魔法の治療薬、魔法の洗剤、魔法の硬化剤、溶解用スライム、夜用スライム…
魔法じゃない物品…
傷に巻くための包帯、革ひも、筆記の用具、岩塩のカタマリに調味料…
髪留めとかリボンとか、手鏡に、何かの薬のビン…
あとは…出てくるわ出てくるわ、蜂蜜の飴玉、乾燥果実、干し芋、乾まんじゅう…等々、多彩な駄菓子スィーツが。
「何持ってきてるのよ…おやつばっかり…」
「だって、小腹がすいたら、いるじゃない?♪」
とてもスィーツ女子らしい回答が返ってきた。
フローレンはそう言ったけれど、女の子たちが一番喜んだのは、その駄菓子だったかもしれない。
十分な食事も与えられてなかったのか、分け合って必死な感じで食べている。
「ね♪ 必要だったでしょ♪」
「確かに…」
非常食と考えれば、アルテミシアの考えはあながち間違いではない。
ちなみにその子たちの囚われていた木の寝床には、食べれる物は一切なかった。
食料や物資はあの入り口と一緒に崩れた横道の倉庫にあったのだろうと思われる。
魔法の洗剤でカシラ(太)靴とカシラ(長)…の残したサンダル、を洗浄する。
洗剤の残りは少ない、けれど、二人分の履き物をキレイにする分には足りそうだ。
山賊の履いていた靴に抵抗はあるだろうけど、裸足で坑道なんて歩けない。
赤茶色髪のぽっちゃりの子、ミミアは靴がなかったので、ちょっと大きいけどカシラ(太)の履いていた皮の靴を履いてもらう。魔法の洗剤水を流したので、靴の中は真新しい清潔な感じになってはいた。
…気分的には履くのは嫌だろうけど…汚れと一緒にニオイも消し去っているので…ここを出て町につくまでは、なんとか我慢してもらいたい…。
金褐色髪のほっそりの子、メメリもソックスだけで靴がないので、賊の履いてたサンダルを奪った。炭化の魔法がちょうど足の部分で止まって、偶然にもサンダルだけが残った。
やはり洗浄してキレイになっている。
…嫌な気はするだろう…けれど、ソックスもはいているし、町に着くまでの我慢だ。
黒髪のちっちゃい子は…靴は「履いている」のだけど、その上の、交わる部分は「はいてない」ので、傷の治療に使う包帯布を、とりあえず巻き付けて下着代わりにしている。
町に着くまでの我慢だが、町に着いたら着いたで、ちょっと…恥ずかしい思いをするかもしれない。歩くたびに、巻いた包帯が食込んだカワイイおしりが、だぶだぶキャミソールからちょっぴり見え隠れする…。やっぱり街中だとかなり恥ずかしい、かも…まあ、本人が気づいてなさそうなところが、良いのか悪いのか…。
あと三人とも、気の毒なことに何日も洗ってなさそうな、ばさばさな髪の毛だった。そこでアルテミシアが、持っていたリボンやヘアピンを使って、三人の髪をまとめ上げた。
すっきりさせると、三人ともかなり可愛らしい感じになった。
「あ、いい感じじゃあない?」
すっかりカワイくなった三人を見て、フローレンは嬉しそうに微笑んだ。
「そりゃあそうよ♪ すべての女の子は、カワイくなる資格があるのよ♪」
女の子たちも喜んでいる。こころなしか気持ちが軽くなったようだ。
女の子はカワイくなる事で気分も明るくなるのだ。
「ほら、言うでしょ? オシャレとスィーツは、オトメの嗜みって♪」
と、アルテミシアは、女の子たちのほうを手で示すようなポーズを取る。
(言うかなー…?)
と思いつつフローレンは、可愛らしくなった女の子たちの姿を見ると、ちょっと納得。
まあ「そうね」と同意しておいた。
「あなた達もついてきて。ここから出なきゃ」
フローレンの声掛けに、三人の女の子たちが頷いた。
こころなしか糖分を摂った女の子たちは、少し元気を取り戻した感じだ。
三人の女の子は歩くことには問題はないようだ。
さて、入り口が派手に壊され…壊れたので、他の道を行かなければならない。
レイリアが言う通り、この手の鉱山は、いくつか外に通じている道はあるはずだ。通路が埋まって、鉱夫が出られなくなる危険を回避するために、そういう作りになっているはずだ。
広間から伸びる二本の坑道がある。
女の子たちが身支度している間、ユーミとレイリアが先にこの坑道を調べていた。
「ユーミ、どっち?」
フローレンは判断をユーミに委ねた。
先程、ユーミは目を閉じて静かに鼻を働かせていた…。
感覚の鋭いユーミは風の匂いを嗅いでいるのだ。
片方が終わったら歩いて行って、もう片方で同じように風を嗅ぐ。
それをもう一回、繰り返していた。
その結果…
「こっち!」
ユーミが言うには、右側のほうが外部からの匂いが強い、つまり外に近い、という事だ。
ユーミが選んだ右の坑道を歩いて行く。
横に二人並ぶ隊形で、
先頭をユーミと、横にレイリア。
真ん中にアルテミシアと三人の女の子が固まって。
そしてフローレンが最後尾を歩いている。
ここがかつて光石の鉱山であったというのは本当だろう。
光石とは、光を放つ天然石である。
明るい場所ではあまり光を出さない。周囲が暗くなると、光を放つのだ。
光を出している時は、周囲の魔奈が使用されている状態である。
石によって差があり、少ない魔奈で強い光を出せるのが、良い石という事になる。
光の強い石は、良い値で取引される。
永久照明として使えるので、どこででも需要はあるのだ。
フルマーシュのような田舎町でも、町の中央広場などにはこの光石の街燈が何本か据え付けられている。
アングローシャのような大きな町では、中央通りに光石の街燈が並んでいて、夜でも人が歩けるくらいに明るいのだ。
女子七人、坑道を進む。
「さっきのところより、明るくない…?」
「うん、私達のいた場所より、光が強い感じ…」
「…眩しい…」
女の子たちが言う通り、壁や天井の光が強く、明るくなってきている。
光石の質が良くなっているという訳だ。
「ええ、そうね♪ でもまだこの程度じゃあ、売り物にはならないわよ…♪」
アルテミシアの説明に、女の子たちは「へぇ~」と興味を示している。
こういう状況じゃなければ、三人とも、色々話を聞きたそうな好奇心が感じられる。
先に進むと、徐々に道が細く、ふたり並ぶのがギリギリな感じになってきた。
歩くには問題は無いけれど、天井も低くなってきている。もう真上に跳ねれば手がつきそうなくらいの高さだ。
そして…
「おろ? いきどまりだー」
通路は終点。塞ぐように板が打ち付けてある。
一応、その重なるように並んだ横板の間から風が漏れてくる感じである。
つまり、外へつながっている可能性が
「おーし!」
ユーミが走り寄って斧を出した。ぶった斬るつもりなのは見ての通りだ。
「どりゃーー!」
ユーミの掛け声を伴った一撃で、木の板は全部真っ二つだ。
だが…。
この天然破壊娘は、基本的にやりすぎる。
今回も、やりすぎた。
つまり…
岩の天井をも斬ってしまっていた…!
石壁でも斬れるユーミの大斧の一撃は、岩の天井でもお構いなしに砕いてしまうのだ…。
「あ! バカ! 何やって…!」
そして…
崩れる。
砕かれた天井の岩が、次々に振ってくる…!
「引いて!」
フローレンが指示を出し、急いで駆け戻る。
女の子たちを庇うように、さっきの広間まで、走る。
幸い、転びそうな子はいなかった。
響いていた崩落の音は、はある程度のところで止まったようだ。
でも、今進んだ道のかなりの距離が、崩落で通れなくなってしまっていた。
つまり、入り口に続き、ここも埋まってしまって、その通路は使えなくなった。
「あれま」
「オマエなぁ…ちょっとは考えて行動しろよ!」
レイリアが呆れたように言い放った。
まあ…、先程火力の加減ができなかった爆発系女子が言っても説得力に欠けるのだが…。
「なによぉ! いりぐちバクハツさせるよりマシでしょ!」
ユーミもその件を持ち出して逆ギレする。
「んだと! こうなったの、アタシのせいだって言いたいのかぁ!」
「そーだ! レイリがワルい! レイリのセイだ!」
「やるかぁ! この! あと、レイリ言うな!」
「ショーブよ! かかってきなさい!」
「いいだろう! のぞむ、ところ…」
「や・め・な・さ・い!!」
フローレンが暴走する二人を叱りつける。
「女の子たちの前でしょ!」という感じに、二人に対して目配せをした。
二人は、無言で引き下がる。
謝罪もなければ、悪びれる事もない。
もちろん反省も、ない。そういう奴らだ。
「ごめんね。気にしないで♪」
びっくりしてる女の子たちをアルテミシアが気遣っている。
三人の女の子たちは、レイリアとユーミの遣り取りに、驚いて目を丸くしていた。
の、だけど…
「…うふふっ」「…あはは!」「ちょっとぉ…!」
意外にも、女の子たちはその二人の様子を見て、嬉しそうに微笑んでいた。
この反応には四人とも意外な感じだった。
「なんて言うか、その…余裕、なんですね!」
「あなたたちって、すごい冒険者って、見ていてわかります!」
「うん…すごく安心…」
そもそもレイリアとユーミの掛け合いには殺気がない。
激しく言い合っているようで、それは仲良し喧嘩なのだ。
この子達もそれを感じて「仲がいい」って感じに捉え、そこに余裕があるのを見て取ったようだ。
そしてそう思えるのは、この子達が四人に対してかなりの親近感を感じているからだ。助けてもらった事も含め、それ以上に…。
そしてフローレンも、この状況で揃いも揃って笑えるなんて、この子たちの余裕の中に、わりと見どころがあるかも、と思っている。
女の子たちのお陰で、雰囲気が一気に明るくなった。
「まあ…ここから出る方法はいくつかあるからね♪」
「そうそう。より安全で効率のいい方法が、先に進む、って選択肢なだけよ。まだ他の出口がある可能性が高いからね」
あの崩れてきた入り口の防いでる岩を取り除く手段だって、あるにはある。
魔奈効率を考えると、休み休み魔法で除去する事になるから、アルテミシアはあまりやりたくないだけで…。
「先に進む方が早そう、って事ね」
レイリアとユーミの対決もお預け…というか、恐らく…もうすっかり二人共忘れている…。熱くなるのも早いが、冷メるのも早い。
周りの方が気を使ったり振り回されたりする…この二人はそういう連中だ…。
さて、こうなると、残り一方の坑道を行くことになる。




