136.花月女子の妖精族鑑定
今回は物語というより…
設定についてアルテミシアに喋らせてる、みたいな流れです…
アルテミシアは講釈しながらも、相変わらずいつものスィーツ乙女っぷりですが。
アルテミシアによる即席ライブも一旦おひらき。続きは夕方からの晩餐の時だ。
フローレンはアルテミシアの隣りに腰掛け、広場とその辺りを見渡した。
「金色の、光の流れみたい… キレイ…」
先程まで集まっていた村人たちが、それぞれの仕事や生活に戻ってゆく。
彼らの金髪の髪は、それぞれ輝くように光を返し、陽光に煌めいている。
「この村の人たちが、光妖精の末裔、ってお話、
ウソではなさそうね♪」
アルテミシアは装備換装で、いつもの黒っぽい月影色ボディスーツの“魔女”姿に戻っていた。魔女の象徴のような、つば広の三角帽も一緒だ。あわせて月色の長い髪も、ツインテールからストレートに自動的に戻っている。
「光の妖精ってあんまり聞かないけど…?」
「そうね♪ 私も、ほとんど会ったことないわね♪
そもそも、原初の妖精族って、あまり見かけない存在だから♪」
二人並んで座っているところに、カフェ馬車のほうからミミアとメメリが、気を利かせて飲み物を運んできた。
「おうた、おつかれさまで~す!
あ、これ? この村のおミカンを絞ったジュースで~す!」
「ここのお蜜柑、すっごく甘いですよー!
お日様の恵みたっぷり、って感じです!」
甘~いおひさまミカンの果実水。お歌の後の一杯、ってところだ。
ま、フローレンは歌ってないから、ついでに、だけど。
「妖精族ってね、ひとまとめに“妖精”って呼ばれてるけど…
その根源は様々なの♪
特に原初の妖精って、成り立ちからしてナゾが多いの♪」
ちょっと甘み水で口を潤し…
「うわ♪ メチャあま~い♪」
と、スィーツ乙女の表情を見せながら… アルテミシアの講釈はつづく。
超太古の哲学理論によると、土、水、火、風、この四つを元素としていたようだ。
魔法的な学説では、そこに光と闇が加わり、その六つを元素とする説が、長い間根強かった。
この時代の魔法学上、その六つが「原初の元素」とされ、それを司どるのが「原初の妖精」とされている。
さらには土が樹と鉱に分離され、現在主流である七大元素の概念へと続いている。
これは、六元素の時代からすると、新しい元素の概念、という事になる。
もっとも、すべての存在や事象がその七つに集約できる訳では無いので、元素理論という呼称にはやや違和が残る。それに、理論的に説明できない、存在が確認できないだけで「すべては元素に帰依する」という意見もあるので、このあたりは魔法学問の識者の間でも論争が絶えないところだ。
その原初の元素が人の形をとったもの、元素の力が強い地において元素が人に宿ったもの、など、その始まりについては様々な説があるけれど…
どちらにしても、妖精と呼ばれる存在が、人に近い、人と交わり子を成す事ができる存在、なのは確かだ。
「それで、その原初の妖精について、だけど…♪」
時代や学説により呼び名は変わるけれど、原初の妖精のうち四つは、
火妖精、水妖精、風妖精、そして土妖精、とされている。
残る二つ… 闇の妖精に関しては一応、黒い肌の森の妖精族がその末裔であるとされ、闇妖精と呼ばれている。けれど、彼らはどちらかと言うと森妖精に近い存在だから、原初の妖精に位置づけるには違和感があるという説も根強い。
その学説では、黒いエルフの事は「闇森族」と呼び、本当の意味での“闇の妖精”はまた別のモノだとしている、が… はっきりと判明はしていない。闇、だけに、その実態はナゾに包まれている、と言える。
一方で、光の妖精とされているのが、ルミーナだ。
「光妖精はその存在があまりに少ないのもあって、
天翼族と同一視される… っていうか、間違われるコトもよくあるらしいわ♪
魔奈の流れや色が似てるから、同一視されちゃう感じね♪」
天翼族は、西の神聖王国ラナに多い。
彼の地の住民の多くが、天翼族の末裔である、とされる。
彼の地を出ている者も多く、アングローシャでもそれらしい人をよく見かけるし、花月兵団でも弐番隊のマリエが天翼族だし、ファリスの従者だったイセリナもそうだ。
「天翼族も、光妖精も、もともと同じだった、とか…?」
フローレンはあまり難しいことは理解しない。
けど、時々こうした率直な意見を出す。
「いいトコついてるわね♪
一般に天翼族は天から降り立った人たち、と信じられてるけど、実はそういう、原初の光妖精から派生した、って説もあるのよ♪
そもそも、海歌族とか空歌族も、水妖精や風妖精みたいな原初の妖精から派生した、って説もあるしね♪
…まあ、詳しいことは不明…♭ はるか古代の、自然と人種のありかた、その元素的な進化とか融合について、なんて… 証明できる手段もないでしょうから♪」
たとえば、海歌族のその根源は、半人半魚の人魚の妖精である事は、一般に知れ渡っている。
けれど、水妖精自体は、サカナは関係なく、自然界の水の存在である。
その人魚とやらが、原初の存在である水妖精の派生であるかどうかなんて、長い時間を遡って調べる術などなく、よって誰にもわからない。
海という地形が水に満ち溢れているので、結果的に海歌族のほうが数多い存在になったのは事実だし、多い方に間違われるのは仕方ない。
その海歌族のチアノとラピリスがカフェ馬車を出て、ちょうど出来上がった氷のスィーツを二人に運んできた。
「これ、晩餐で出す分の試作、です! どうぞ、ご賞味あれー!」
「この果汁~、削り氷にピッタリの甘みですよ~!」
ふわふわ削り氷にかかっているシロップは、この村特産の松毬のような形をした大きな果物の液らしい。実はラクロア大樹村の果樹園にも、この果実はちょっとだけ実ったりしているのだけど… フローレンもアルテミシアもその事は知らない。
アルテミシアはまたまた「あま~いわね♪ 氷によく合う感じ♪」とスィーツ乙女顔でご満悦になりながら、話を続ける。
「昔はもっと、妖精族には外見的な特性も現れていたらしいしわ♪
旧ヴェルサリア時代の文献に書かれているもの♪
あの子たちみたいな海歌族の中には、人魚化できる子もいたらしいわ♪」
「外見に特徴、ね…。昔は、獣人族はネコミミがあった、ってやつ?」
「そう♪ …ネコとは限らないけど♪」
獣人族はネコっぽいのとイヌっぽいのが多いけど、イノシシや、クマの獣人族も多い。他にもウマ、ウシ、ヒツジなど、他にもレアな種族もいたりする。
「あ、そういえば… あなただって、“耳”生やせるじゃない?」
フローレンは知っているけれど…
実は月兎族であるアルテミシアは、ウサミミを生やす技を持っている。
フローレンは一度だけ、ウサ耳アルテミシアを目にしたことがあるのだ。
「あれは、一時的よ♪ 私の中の妖精の血を引き出す感じ♪
…メチャ疲れるからメッタに使わないけど♭
でも、昔の妖精族は、そういうミミとかが普通に生えてたらしいわ♪
外見から今とは違っていた、って事になるわね♪」
そうした妖精の特徴が現れていたのが普通だった、というのは昔の話。
今のこの時代、妖精の血を引く者たちは、そうでない普通の人とも外見的に変わらない。
外見で大きく妖精の血の特徴が現れやすいのが、髪の色、そして瞳の色、種族によっては背丈や体格など… そのくらいだ。
見てくれは普通の人と変わらなくなったけれど、それでもその妖精族に応じた特性は先天的に保たれている。
花月兵団に多い妖精族を例に上げると…
炎龍族は火を扱うのが得意だし、火傷を負わない。
森妖精は魔法でも技でも、植物の扱いが得意で、森の中では感覚や力が強くなる。
海歌族は水を扱い、泳ぎが上手いし、水に潜っていられる時間がかなり長く、そして歌がうまくて… ついでに男好きだ。
他にも、空歌族のイーナは身軽で素早く、そしてこちらも… 歌がうまくて、ついでに男好き…
獣人族のユーミやエスターたちは、視覚、聴覚、嗅覚ともに、常人よりはるかに優れている。
その妖精本来の属性に馴染み、その系統の技や術が得意、という特性は活かすべきである。
アルテミシアは、ただの興味本位で妖精の血の事を突き詰めているわけではなく、自分の弟子たちの血統による潜在能力を見極め、それによって効率的に魔法を教えてあげようと考えている。
中には存在そのものが少ないものもいる。
このフローレンやアルテミシアも、同族が少ない希少な妖精族である。
フローレンは花妖精。
お肌からはいい香りがしたり、一部の体液が密のように甘かったりと、お花の特性が身体のあらゆるところに現れる。
本来の花妖精は背に透明の羽を持ち宙を舞っていたとも言われるけれど…
フローレンにそういった特性が現れた事はない。
フローレンの髪色は薄い紅金色、淡い紅色と輝く金色のいいとこ取りのような色。
お花には通常、緑色は入ってこない。
だからすべてのお花の色をかけ合わせると、対照色の赤が強く現れるのだ。
フローレンは、自分の髪色が無数の花の色のかけ合わせである事を、なんとなくわかっている。
だから、クレージュの髪色が虹の色のかけ合わせで青が強く出る事の説明も、なんとなく理解していた。
アルテミシアは相変わらず月色の髪だ。
単なる銀色じゃなくて、月色。
彼女たち月兎族の力が強くなるのは、月の光の満ち満ちている時だ。
夜空に輝く月明かりの下では、髪の輝きだけじゃなく、その心身の能力が倍増する。これは月兎族としての特性だ。
本来の月兎族には、頭の上にウサギの長い耳があり、おしりの上あたりに丸い尻尾があるという。
今、アルテミシアの頭にあるのは、長い耳ではなく、魔女の山高帽だ。
つばの広い黒の…ではなく、月影色の帽子からこぼれるような月色の髪も、太陽の光を受け、さらに輝きを増しているように見えた。
同じ陽の光を浴びているといっても… この村の人たちは、光妖精の末裔…
輝く金色の髪に、それが現れている…
「見事な金髪ね♪ 太陽の光で輝いてる…♪」
「ええ、でも、これって… わりと見慣れた色じゃない…?
ほら、あの子たちと同じ…」
フローレンのその言葉を受け… アルテミシアは、ある事に気がついた。
あちらで今晩の宴会の準備に勤しんでいるアヴェリ村の四人娘…
ウェーベル、ネージェ、ディアン、アーシャの四人も、この村の人たちと同じ髪色… 輝くような金色なのだ。
(もしかして… この四人も… 光妖精…?)
という疑問がここに湧いてくる。
四人のうち、ネージェとディアンは、魔法がからっきし… 根っからの武闘派だ。
この二人は戦闘力を上げるために、占い師レメンティから気功の術を学んでいる。
師匠であるレメンティも、
「この二人はね、すごく才能あるわよ!
一緒に修行してる他の子と比べて、並外れて習得が早いんだから!」
と絶賛。
その九大属性で言うところの「気」属性と、七大元素「光」元素は関連が深いとされている。
この子たちが光妖精だとしたら…
気の扱いに関しても、先天的な才を持っている事になる。
(じゃあ… ウェーベルとアーシャにも、
重点的に光系統の魔法を教えてみようかしら…?♪)
とアルテミシアは、当然のように考え始めていた…
この仮説通り、彼女たち四人娘が光妖精の血を引いているとしたら、
ウェーベルとアーシャは光系統を重点的に学ぶことで、魔法力が飛躍的に上がることが見込める。
ウェーベルは家庭的な女性だけど、壱番隊の隊長だし、魔法にも剣技にも才能がある。
アーシャは出るトコ出て女っぽい身体なのに小柄で可愛らしくて… よくコケるという特技?はあるけれど、魔法についてはアルテミシアの弟子として、五本の指に入るくらい優秀。
アルテミシアは七大元素も九大属性も苦手な系統はない。
ただし、あまり使わない系統はある。
月の力を宿す光魔法という、ちょっと主流から外れた光系統しか使わないので、今まで光系の魔法を弟子に教える事はしなかったのだけど… 教育方針を修正する事になりそうだ。
他の妖精の魔奈からの、気付き。
こういう事は以前にもあった。
今ここにはいないけど、弐番隊の遊び人娘イーナ。
アルテミシアの歌と魔法の弟子の一人だから、身近で接する事も多い。
アルテミシアは彼女の空歌族の特性を、その魔奈の流れを見て取っていた。
そしたら、別の弟子であるアジュールやセレステについて、彼女たちは海歌族ではあるけれど、イーナと同じ魔奈の流れが読めた…
この子たちにも、空歌族の血も引いている事に気がついたのだ。
よく話を聞いてみると、彼女たちの生まれ故郷は、ショコール王国の中でも水と風が交わる島… そこは海歌族と共に風歌族も住まう地でもあったのだ。
ショコール王国で徴兵された女兵士だったから、自然と海歌族だと思いこんでいたところがあり、その思い込みが気付きの邪魔をしていたところはある。
アルテミシアほど魔奈の流れや色の見極めに精通していると、その違いも認識できるようになる。そのサンプルを見れば、妖精族の特色を見分けられるようになる、といった感じだ。
アルテミシアは花月兵団の他の女子たちとの関わりの中で、こうした個々の魔奈の流れを読む能力が洗練されてきている事に気付いている。
魔奈を見分ける力が培われた、とでもいうのか… それは魔法使いとしての成長でもある。
弟子や関わる人たちから学ばせてもらった事、ということになる。
人というものは、意外なところで意外な成長ができるものなのだ。
今日、このルミナリス村を訪れ、光妖精の持つ雰囲気をよ~く観察し、魔奈の流れに馴染むことで…
身近にいて気づかなかった仲間たちの特性に気づく事ができ始めている…
アルテミシアのその妖精鑑定ともいうべき能力は、さらに飛躍的に伸びようとしていた…
そして…
~~ ここに来たことが切っ掛けで、アルテミシアの妖精鑑定力が上がり…
女子それぞれの適正に合わせた技や魔法を推奨してゆく事で…
結果的にこの先、花月兵団の戦力向上に繋がる結果となってゆく… ~~
アルテミシアは、カフェ馬車の近くに移動した。
花月女子たちをしっかりと観察するため、なのだけれど…
「アルテミシアさん、おやつどうぞ!」
「紅茶も、冷めないうちにー!」
すぐに中からネージェとディアンが軽いスィーツと紅茶を持ってきてくれた。
アルテミシアが厨房の近くに来て座れば「スィーツを求めている」と気付かなければ、花月女子失格である。
けど、今日のアルテミシアは、そっちが目的じゃあなかった…
まあ、スィーツも紅茶も頂くけれど… おいしいけれど…
ちなみにこのスィーツは、芒果とかいうレアな果実の切り身…
本来はもっと温暖な地域にしか育たない果実だけれど、日の強いこの村ではそういった南国果実も数多く育っているらしい… そしてこの村は王室の直轄地だから、通常は王侯の口にしか入らない。
まあそのレアフルーツを「なにこれ!?♪ めちゃオイシイ♪♪」
と、彼女の甘み手帳にちゃんと記録する事も忘れず…
カフェ馬車の中や外で作業をしている、ウェーベル、ネージェ、ディアン、アーシャ、このアヴェリ村四人娘の観察を続ける…
そして、この村の人達の観察も続け、その魔奈の流れや色彩を見極める…
その観察の結果…
彼女たちが運んできたスィーツを食べ終わる頃には…
(この子たち、光妖精で間違いないわね♪)
と、確信を持てるようになっていた。
「アルテミシアさん? どうかされましたか?」
古代時間でいうところの15:00、つまりおやつ時。
ちょうどウェーベルができたてのフルーツケーキを、おかわりに運んできた。
「あ♪ ええ♪ 貴女達の新しい魔法のカリキュラムについて、考えてた♪」
その答えにウェーベルは、
「いつもありがとうございます…」
魔法の師匠に対して、深々と心から頭を下げた。
花月兵団の女子たちは「強くなりたい」という思いが強い。
弱く、虐げられる立場だった子が多いから、その意識は当然ではある。
このウェーベルはおっとりした家庭的な女性、なのに… 特にその意識が強い。
そして、そんなウェーベルは…
今回の北の地での活動をラクロア大樹村で告げた時…
誰よりも真っ先に北行きメンバーを志願した。
彼女の亡き夫は、北の地で命を落とした。
思うところが無いわけがないのだ…。
北行きを熱望していたと言えば、もう一人…
先日、ラクロア大樹での、北行きの人選会議の場で…
なぜか森妖精の長、ロロリアが名乗りを上げた…
そのロロリアは弐番隊のうちの六人と一緒に、第二陣で参加する予定だ。
昼下がりのスィーツ時…
なんかスィーツ食べてばっかりだけど…
ラクロア大樹村にいる時も、わりとこんな感じ…
アルテミシアが研究室や広場や個浴浴室や… どこにいても彼女の弟子たちが代わり番こにスィーツを運んでくるのである。
(これは… あっちの畑に成ってた、スモモを使ったケーキね♪ イケる♪)
クレージュが交渉して、この村の特産品を買い込んでいた。
太陽の恵みたっぷりの果物や木の実が、カフェ馬車のほうに運びこまれていた。
て、その採れたての材料で、さっそくスィーツを作っている。
アルテミシアはスモモのケーキを切っては口に運ぶ作業を自然体で続けつつ…
じっくりと花月女子たちの観察を行う。
光妖精以外にも、女子それぞれの持つ魔奈の流れを… じっくりと…
広場の一角、今晩の演目を披露する舞台が仮設され、フローレンは親友のリマヴェラと一緒にお花を飾っていた。
アルテミシアには、そのリマヴェラにも…
フローレンと同じ花妖精の血を引いているのが見て取れた。
フローレンに比べれば、お花の魔奈は微弱ではあるけれど。
(リマヴェラが花術をすぐに使えるようになったのは、お花屋さんをしていた、って理由だけじゃなかったわね♪)
むしろこれまでナゼ気付かなかったのか… と思うくらいだ。
リマヴェラの孤児仲間、針子のトーニャが一緒に、こちらは色とりどりの布で飾り付けをしている。
このトーニャから読み取れるようになったのは…
微弱だけれど、なんと自分と同じ、希少な月兎族の血統だった。
(トーニャには… 歌も魔法も、なんだか自分に教えているような、ヘンな感覚があったのよね…♪)
自分と同じだと、その魔奈の流れにも気付きにくいものだ。
ここで感性を研ぎ澄ます事で、自分も含めて客観視できた結果かもしれない…
そう。アルテミシアはここでただ座ってぼーっとスィーツを食べているだけのように見えて…
個々の持つ先天的な妖精族の魔奈を見抜く力を、急激に成長させている…。
いや、彼女にとってもちろんスィーツは必要だけど。大好きだけど。
「たいりょーだー!」
ユーミが森に行って、仕留めたケモノを背に抱えて戻ってきた。
それも、大きなシカやイノシシを、一本の棒に締めて担いでいる… アリエナイ光景に金髪村人たちもびっくり。
「お肉いっぱいです! みなさーん! 今夜は、お肉マツリですよー!」
獣人族の妹分、エスターが一緒だ。
エスターは猟師が職業だし、ユーミも狩りが趣味だ。
この二人が狩りをする、まあこれは見慣れた風景。
だけど今日のアルテミシアが見ているのは、そこじゃあなかった。
(エスターは… ユーミと同じ猫獣人だけど… 何かが違う…♭
一般的な獣人族、って感じじゃないのよね…♭
ちがう種族なのか… 別の血が混じってるのか…♭)
ただ、それが何であるかまでは、今のアルテミシアにはわからない…
見知らぬモノについては、定めようもない、のだ。
それはユーミについても同じだ。
猫獣人には違いない… けれど… あきらかに普通じゃない。
まあユーミが普通じゃないのは、みんな知ってる。
こうして大きなケモノを吊るして軽々持ち歩いている姿… 大の男の五倍くらいある馬鹿力ってだけでも、フツーじゃないし…
おそらくユーミは、獣人族の希少種か上位種であるところの、何かだ。
これは、アルテミシアがユーミと出会った時からの疑問だ… 未だに答えはでないけれど。
あまりに長くなったので途中で切りました。
本来は2回も引っ張るような話でもないのですが、長すぎると読んでて疲れるので…
後半はそれほどかからずUPできると思ます…




