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花月演義 ~~花月の乱~~  作者: のわ〜るRion
第9章 花と月と天の契り
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98.蒼穹と花園の剣撃


麗将軍ファリスは、フローレンとの立合いを求めた。



フローレンにしてみれば…


相手は、国内有数の貴族の令嬢…

しかも将軍位まで持つ女性である…

そんな稀有な女性と立合いなんて…


と、思ったフローレンは…



「ええ、喜んで!」



滅多とない機会を、喜々として受けた!



実のところ…フローレンも、ファリスと手合わせをしたいと思っていた。

だけれど…友人になったとは言え…相手が高貴極まりない令嬢であるから、

「ちょっと手合わせしない?」とか言うのは躊躇(ためら)われた訳だ。


でも、むこうから誘ってくれるなら、何の気兼ねもない。



そうやって二人並んで嬉しそうに歩いていく姿を見ながら、アルテミシアも…


「もう…貴女達、こういうの好きねぇ…♭」


(あき)れ気味に言い放ちつつも、止める気はない。


お姉さんなクレージュも何も言わない。

やんちゃな妹たちがこういう喧嘩ともつかない勝負ごとをするのを、これまで何度も見ている訳だし。

怪我さえしなければ「なんでも好きにしなさい」って感じだ。





エヴェリエの城は、小高い丘の上に建っている。

その三階にある北側の外周廊下からは、裾野に広がるエヴェリエの城下町が一望できた。


「綺麗な景色…♪」

「いいわねえ…」


北側に向かって、やや楕円形な三角形状に広がる、青と白の町…

その町の壁の周囲に広がる、浅緑色の広大な畑…その遠く周りには深緑の森がどこまでも広がっている…

町並と、田畑と、森林が彩る、三段階調の色合い…

昼下がりの柔らかな日差しに照らされ、どこまでものどかな雰囲気を醸し出している…



その城下の景色を眺めながら廊下を少し歩くと、執務室の窓から見えた、その広々としたバルコニーに出た。

植え込みや飾りはまったくない、白い石畳の床が広がっているだけだ。

それでも、ちょっとした庭のような広さがある。


その南側を見上げると、お城のさらに上層の階が見える。

その向こうには、雲を貫くほど高い岩壁が、天に向かって(そび)えている。その岩壁の陰に入らないぎりぎりの場所に、エヴェリエのお城は建てられているのだ。


上の階層にある見張り塔や城壁の上にも各所に、青白三段階調の兵装の見張りが立っているのが見えた。この広いバルコニーの離れた場所にも何人もの姿が見える。隙のない配置はさすがだ。

警備中ではない兵士たちが、ゆったりと過ごしている姿も見える。





「アルテミシア…この魔法、使ってもらえるかしら?」


ファリスが長身の侍女に用意させたのは、魔法の記された巻物(スクロール)だ。

学術魔法の呪文が、薄褐色の羊皮紙に記載されている。


「ふ~ん…ざっと見たところ…結界魔法のようね♪」


「少し見ただけでわかるの…? 流石(さすが)ね」


「呪文名称…プラクティス・モード…?

 …この魔法は…私の持ってないモノね…?♪」


記述された呪文を使ってくれ、という事は、この魔法をくれる、ということだ。

しかも、アルテミシアでも知らない、一般流通していないレアな魔法のようだ。



一般に流通している学術魔法に関しては、書物に(まと)められている事が多い。

それも、何冊にも及ぶ魔法大全みたいなものから、よく使う魔法だけを抜粋した厳選書、魔法の初歩のものを集めた入門書まで、様々な書物が存在する。

生活魔法を纏めた一冊や、戦闘魔法に特化した一冊、はてには七大元素や九大属性のうち一つに特化した一冊、など多岐に及ぶ。


だが、ヴェルサリア時代やその前時代に記された学術魔法の中には、世間に流通していないようなものもある。


ルルメラルア王国は魔法後進国なので、魔法使いが少なく、学術魔法はそれほど盛んではない。

ヴェルサリア時代には各地に存在したという、学術魔法を教えるような機関、学校組織は今は無く、魔法は師匠から弟子に継承されるのが一般である。


ただ、一部の貴族や裕福な家庭では、子女に魔法教育を施す家もある。

ちなみに…男子でも幼少から魔法に馴染めば、女子のような魔奈(マナ)回路を身につける、つまり魔法使い男子になる事も可能だという…が、この魔法後進国ではそういった男子は滅多にいない…貴族男子は武人としての修練を行うからだ。


ルルメラルアでは、女子を戦いの場に赴かせる事を是としない。

この女性を丁寧に遇する風潮が、時代と共に男尊女卑の傾向を強める事になってしまっているのだが…

女性兵士が戦場に出ることはほとんどない。一部の例外として、貴族の侍女や、治癒魔法を使う衛生兵、または精鋭部隊所属の女兵士が少々いるくらいだ。


王都オーシェや商業都市アングローシャ他いくつかの町では女子の兵士もいるが、町中の治安維持部隊であり、外征に出る訳では無い。

最西部の町トルティの拠点防衛軍に、支援を目的とした女子徴兵があるが、名目上は兵士だが彼女たちも昼や“夜”の雑役が仕事であり戦闘員ではない。


だから、戦闘魔法を学ぶ女子がいても、対外戦争を目的とした女子による魔法部隊が編成される事もない。

戦場に出る可能性としては、せいぜい治癒魔法を用いる衛生兵や、生活魔法を用いる侍女兵が、護身用に戦闘魔法も使える程度だ。

ルルメラルア王国では、戦闘魔法を主に習得した女子兵は、王都を守る紫微兵団や、王宮を守る金護兵団に所属し、王都や宮中の警護に勤しむ事になる。

または魔法文官として魔法書類の作成をしたり、魔法技士として武具の呪紋強化などの仕事につく事が多い。


そういうお国柄である以上、魔法を使う女子は戦場に出ず、従って戦闘魔法はいつまでも発達しない…結果として魔法後進国となっている訳だ。


失われた魔法を探すには、魔法の専門店を巡るのが手っ取り早い。

だが国内でまともな魔法関連の販売店があるのは、商業都市アングローシャと、王都オーシェ、魔物との遭遇がある東北端の城塞都市エクレール、あとは国内自治区だがエルロンド大聖堂十二村の叡智神ジュリアーク村、くらいだろう。


つまり…魔法文化が盛んでないルルメラルア王国において…

こういったヴェルサリア時代に構築された魔法で、一般に継承されていないものが手に入る機会は少ないのだ。

アルテミシアはそういった未知の魔法をひとつ、ファリスからもらった事になる。


アルテミシアは、その羊皮紙に書かれた呪文を、唱えるのではなく読み上げる…

空中に…その呪文が光の文字となって描かれ…それが光の枠に囲まれ、縮んでアルテミシアの掲げた手の平に吸い込まれるように消えた。


アルテミシアほどの魔法使いは、自分の“中”に魔法書を持っている。

その中に、新たな魔法が記載された訳だ。

羊皮紙の呪文書は侍女のルドラに返し、アルテミシアは自分の“中”にある魔法書に記述されたばかりの新しい魔法を読み解く…


「えと…これは…互いの同意を得て…結界内に入ってもらう呪文…

 結界の範囲は…球状に十(メートル)が基本…サイズ変更は可能…

 結界内では、負傷や破損は擬似的なものとなる…

 つまり…結界内で作られたルールに基づいて…勝負を行う…?

 成程♪ 要は、訓練用の空間を作り出す魔法、って訳ね♪」


「そう。怪我や破損がなくなるから、模擬戦を行う時に重宝する結界魔法よ。

 エヴェリエの術法で同じものもあるんだけど」


エヴェリエの神官たちが使うのは、他の宗派では「神の奇跡」と呼ばれるような、独自の伝承術だから学術魔法ではない…

この魔法と同じ効果の術が存在する、という訳だ…

どちらがオリジナルかはわからないけれど、他系統の技や術の模倣、そして取り込みは、魔法史上よく行われる事だ。そこからそれぞれが別々の発展を見せたりするから面白い。


「じゃあ早速…♪

 えっと…とりあえず基本の大きさでいいかしら…?」



 <<練習様式>> プラクティスモード



庭並の広さのあるバルコニーの空間に、中範囲の半円型結界が張られた。

外から見れば、(ほの)かな光を返す薄い透明の壁…のようなものが、薄ーく見えるだけ、なのだけれど、結界の内側にいるフローレンとファリスには、ややピンク色のついた半透明のあきらかな壁がそこに生まれたように見えている。



この魔法は、両者の合意がなければ発動しないので、戦いの場において強制的に敵を弱らせるような使い方はできない。

あくまで模擬戦や立合いのための空間結界魔法なのだ。


「あまり広範囲の技はダメよ#」


技の勢い余っても、結界の外には漏れ出ない、はずではある…

けれど…初めて使う魔法だから、アルテミシアもちょっと自信ない部分がある…


フローレンがこちらを見て頷いたので、声は中まで届いているようだ。



アルテミシアとクレージュの他には、二人の侍女、小柄なレーナと長身のルドラ、その四人だけが見守る中での立合いとなる。



最近古代時計を手に入れたクレージュが、この立会の時間管理を行う事になった。


クレージュが左手に着けている、綺麗な青紫の銀のブレスレッドの事だ。

昨日、あのダンジョンで見つけたお宝のひとつだ。

入手したした時には、青緑から空色っぽい色だったけれど、一週間かけて毎日色が変わるものらしい。

七色が好きなクレージュに、フローレンとアルテミシアが普段の労をねぎらって贈ったのだった。

細かい鎖のような、装飾の美しい細かい金属を組み合わせた腕輪で、所々に宝石が飾られている。この宝石も鎖の色に合わせて変色するところが、いかにもクレージュの好みだ。

そして手首に当たる部分が、鏡面のように滑らかに少し平たくなっていて、そこにいくつもの古代の数字が浮かんでいる。その六桁並んだ数字の右端が一呼吸ごとに変化している。


「制限時間は、十分…」


この時計を手にして古代の時間間隔を理解したクレージュがそう告げる。

けれど、フローレンやファリスが「十分」という古代の時間感覚を理解しているかどうかはわからない。


クレージュは手首を返して、その移り変わる古代数字…刻まれた時刻を確認した。

古代時計をじっと見つめ、開始のタイミングを見計らっている…



ファリスが、蒼穹の剣(オートクレール)を両手で高く横一線に構える。


フローレンも、花園の剣(シャンゼリーゼ)を両手持ちに斜めに構えた。




古代時計の右二桁の数値が一周し、右から三桁目の数字が変化したタイミング…

クレージュがかけ声とともに手を振り下ろした。


「始め!」



その声は、結界内の二人の耳に、届いている。

だけれど、二人は構えのまま、身動き一つ取ることはなかった。


互いに、相手を計っている…



フローレンは、構えた剣の向こうのファリスをじっと見据えている…


先日の冒険で見てきた通り、ファリスの技は、天に基づく技だ。

あの蒼穹の剣は、彼女の天の剣技を増幅する。

自分にとっての花園の剣(シャンゼリーゼ)の使い方と似ている…


雨、雷、雪、または霧などか…

いや…晴天、つまり陽光もまた、警戒の範疇だ…


昨日のダンジョンで手に入れた九大属性に守りのお守り(アミュレット)も持っている。

それ以上に、特定の属性を吸収する技も持っていた。

それを踏まえると、下手に剣技に頼る技は、吸収され、お返しが来る危険がある…。

攻めの技は、最後の決め技にだけ。

おそらくそうなる予感がある…




向かい合うファリスも、じっと花の剣士を見つめながら、考えを巡らせている…


フローレンは、自分の技を天にまつわる剣技だと理解している…

そして、この剣を中心とした強力な防御手段があることも、既に冒険の中で見せている…


属性防御のお守りの事も、頭にあるから、属性による技を繰り出してくる事はない…


そして、フローレンに対して有効な技も、わからない…

花の技使いだから、属性は“樹”の系統だろう…だとすれば火に弱い可能性はある。

だけれどもファリスの天の剣技には、炎を発する技は無い。


フローレンの技は、何処(いずこ)からか花の力を召喚し、剣技に上乗せする独特な技だ…

花の術なんて、他に類がない…つまり、手の内がわからない…




お互いがお互いを計りかねている…

向かい合ったまま、時が止まったような…そんな時間が流れる…



しかし…


動く時は同時だった。


駆け寄るのは、一瞬…

いきなり、蒼穹と花園…二振りの剣が、空間の中央で激しく()つかり合った。


打ち合う剣から、太陽のような激しい光が弾け、花の幻が舞い散る。

陽光と幻花…“日花”を散らす、とでも言うのか…普通の鉄の剣では見られない光景だ。


激しくぶつかった初手の剣撃…

二人ともが相手を強く押し、押され、

同時に離れ、後ろに体勢を小さく崩す…


互いに体勢を直し、同時に繰り出された剣…また激しく打ち合った。

一合い、二合い、

そして三合い目…剣が激しく競り合う…


二振りの剣が、ひときわ(まばゆ)い“日花”を放ち、そして左右にほどけた。


そこを先に仕掛けたファリス、上段から斬り下ろす青、

フローレンは真横に(かわ)し、その横合いから花で斬りつける…

その一撃も、軽い動きで避けられる…。


また互いに躱し、躱し、そして受け止め、競り合う…

それを繰り返す…


技に頼らない、単純な剣のぶつかり合いになっている…


また激しい競り合い…

そこからまた、陽光と幻花が散り、

どちらから、ともなく、離れた。



距離が開く…


双方共に攻め手が見えない。

だからお互い、ただ押し合うだけだ…


青の騎士と赤の剣士…

二人の麗人が、片手に剣を構えたまま、遠く向かい合っていた…


フローレンは、汗で張り付いた髪を少し指で払う、

ファリスは、頬を流れる汗を手の甲で軽く拭った。


ふたりは、再び向かい合ったまま、その構えを続ける…

先程と違うのは、ふたりとも、少し息を乱しているところか…



クレージュは手首の時計に目を遣った。

「ここまでで…五分(ごふん)…」


「そして、五分(ごぶ)、ね…♪」

結界を作ったアルテミシアには、両者の優劣が数値でわかるようになっている。

ここまで両者には、ほんの誤差程度の数値の差しか無い。


二人の侍女も、興奮を隠せない様子で見つめている…

いつの間にか、周囲にはエヴェリエの兵たちが集まってきていた。

だが彼らも、固唾をのんで、この立合いを見守るだけだ…。




静はやがて動へと移ろう…

二人の次の動きも、ほぼ同時だった。


またぶつかり合う…

空と花の剣が、何度も激しく、

それも先程よりも激しい“日花”を散らしはじめた…


二合い、三合い…

だが今度は、そこで引いた。

互いにまた、距離を取る。


そして次に展開される技も、また同時だった。


 <<朝靄之剣・霧隠>>

 <<桜花旋風>> チェリー・ストーム


霧が立ち込め、青の騎士の姿を隠す…

同時に、桜花の旋風(つむじかぜ)と共に、赤の剣士の姿もまた、紛れた…



勝負を見守る、アルテミシアの、クレージュの、二人の侍女の、集った兵士たちの、全員の視界から、二人の姿が掻き消された…


結界空間内にはただ、霧が立ち込め、桜吹雪が舞い散るだけだ…


その桜吹雪の中に、僅かな赤が光った。

冷徹な青の瞳が、その僅かな色を見逃す事はない…!


「そこ…!」


桜吹雪を縦に切り裂くように、空色の一閃が光った。


だが…

そこに手応えはない…

もちろん、赤の剣士の姿も…


そこに隙ができていた。

その横合いから、霧を外に払うように、幻花の一閃が舞った。


「!!」


そこに、フローレンが仕掛けた!


 <<孤高乃純白>> エーデル・ヴァイス


花園の剣(シャンゼリーゼ)の孤高の白き一振りが、青の騎士を捉えた…!


青い影は、縦に斬り降ろされ…真っ二つに…

だが…


(?? 手応えが…ない?)


「残像…!?」


 <<曇雲之御鏡・残影>>


青の騎士の姿は、雲のように散り、消えてゆく…

フローレンの大技は、巧みに(かわ)されたのだ…


そして…

その技の後の死角…

ファリスの決めの技が、そこを襲った…!


 <<晴天之剣・陽光>>


蒼穹の剣(オートクレール)が、晴天の剣身に太陽を宿したように、(まばゆ)い光を放つ…!

その光輝の剣が、赤の剣士に向かって振り下ろされた…!


これで、勝負が決まった…

通常なら、そうだろう。


だが…


この追い込まれた状況でこそ、この花は強く咲き誇るのだ。

フローレンは咄嗟(とっさ)に、それに対する花の技を繰り出していた。


 <<陽光之剣・向日葵>> トゥルヌソル・サンブレード


「な…!」


陽光の斬り下ろしを、向日葵(ヒマワリ)の剣技が受け止めた。


激しい陽光が、ぶつかり合う…

その光のあまりの強さに、周囲で見ている者たちまでも、思わず目を伏せ、閉じてしまう程…


当の二人も、重なる陽光を直視できずに、目を逸らしたまま、再び距離を開いた。





「そこまで!」


手首の時計に再び目をやりながら、クレージュが声高く告げた。

光で目をそらしている間に、十分が経ってしまっている…



二人が、闘気を解いた。

ファリスも、フローレンも、かなり大きく息を弾ませていた。



「どうかしら…? 引き分け…?」

クレージュが、側にいるアルテミシアを見返って尋ねた。


術者であるアルテミシアには、数値化された評価が示されていた。

50.0… 対 49.9… と、一応の優劣評価はでている。

それをどちらが、と告げるつもりはなかった。

ほんの誤差程度だ。ほぼ50:50の均衡評価と言っても問題ない。


「そうね♪ どちらも決定打を凌ぎきっているし…互角、って感じの評価よね♪」


高みの花の剣を、天の雲の技で躱し、

陽光の一撃を、日を仰ぐ花の技で受け止める…


大きな歓声が、周囲で、城壁の各所で巻き起こる。

あまりに高度な立合いに、二人の侍女も、エヴェリエの兵士たちも、もの凄い盛り上がりようを見せていた。



勝ってもおかしくない…

負けてもおかしくない…


二人共、そう思っていた。


だから、引き分けでも、当然おかしくない。


実際、この二人の実力は、拮抗していると言って良いだろう。

状況や、ほんの僅かな要素が、勝敗を分かつ可能性となる…



先程まで激しく剣を交えてた赤と青の二人が、軽く抱き合い、

互いの技を讃えるように、肩を合わせながら、みんなのところへ戻ってきた。



上の階のテラスや このバルコニーを取り巻くように、見張りや非番の兵士たちが集まってきている…いつの間にか大勢の見守る中での立合いになっていた事に…

令嬢ファリスはやっと気がついた。


「あ…ちょ…! あ、貴方達…!

 な、何やってるの! 早く、持ち場に戻りなさいー!」


(っていうより…見ないでよ…!)


ファリスは…この青の鎧姿…露出度はそれほどでもない、にしても…仮にもビキニアーマーである姿…を、兵士たちに見られてる事に、やっと気がついたようだった…。


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