表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
花月演義 ~~花月の乱~~  作者: のわ〜るRion
第2章 焼け崩れる山砦
10/138

9.四人の女子と四人の女子

若干グロい描写あるかもです。 ニガテな方はかる~く読み流して頂ければ…

若干エロい描写あるかもです。 え、毎回あります? そうでした!

拐われた村娘が囚われた部屋、それぞれが山賊と一緒にいると思われる…。

四人はそれぞれの扉の前に立ち、救出作戦を開始する…。


フローレンは扉をそっと開く。

少し開いた戸の隙間から部屋をのぞく。

そこにいるのは…

ベッドの側に立っている下着姿の女の子と、その隣に野暮そうな太めの男。

扉が開いたことには気づかれていない様子だ。


男が女の子を押さえつけようとした。

その気の強そうな女の子が男を殴り返した。

殴られた山賊のほうも逆上し、女の子の下着を掴んで強引に引き寄せる。

抵抗しようとした女の子が、突き飛ばされた。引っ張られた布地が避け散らばる。

男がさらに歩み寄って、上の下着を失って床に倒れた女の子を見下ろし、襲いかかろうととした、その時、


「やめなさい!」

フローレンがその手を、後ろから絞り上げるようにして掴んだ。

ぐぎ、っと変な音と共に、その小汚い腕はあらぬ方向に曲がった。

フローレンはそのままこちらを向かせるように男の体を回し、醜い腹に高速で膝を叩き込む。小太い腹に蹴りが大きくめり込み「ぐぶっ」と鈍い声を上げ、小汚い男が床に崩れた。


「大丈夫?」

フローレンは胸を隠すようにしてへたりこんでいる女の子に手を差し伸べた。


透明化(インビジビリティ)静音化(サイレンス)は山賊をシメる時点で自動的に解除された。だから女の子は、文字通り突然現れた、自分よりちょっとマシな程度の薄着な女戦士の姿に驚き、信じられない感じで見つめている。そしてしばらくは、胸を押さえたまま呆然と座り込んでいた。今のこの状況を理解し頭がついてくるまでに、少しかかるのは仕方がないだろう。


「…ありがとう」

少し待ったあと、女の子はやっと、フローレンの手を取って立ち上がった。


「助けに着たわよ。村の子ね?」

「ええ…」

ちょっと目を伏せた感じに女の子は(うなづ)く。

単純に、助かった事への安堵感を見せている感じではなかった。


この子はフローレンと背丈が同じくらいでかなり力も強そうな感じだ。そして気も強そうな感じが表情にも現れている。


我に返ると、目を怒らせ、自分に手を上げた小汚い男の脇腹に蹴りをいれた。

相当気の強い子らしく、そのまま転がってる醜いものを、金色の髪を振り乱しながら、気の済むまで何度も踏み、さらに憎しみを込めて踏み、最後に怒りを込めて踏んづけた。

「ぐへぇ!」と奇声を上げて気を失う小汚いものを横目に、その子は涙の滲んだか弱い目で、今度はフローレンのほうを見つめてきた。


「そのくらいにして。大丈夫? 村に戻れるからね」

その子は、ちょっと寂しそうに目を逸した。

(助かった、って…嬉しくないのかな…?)

女の子の様子に、何かひっかかるものを感じるが、とりあえず無事に村に帰す事だ。


その子が拾っている脱がされた衣服は、何箇所も引きちぎられていた。ここに連れてこられてから、何度も今みたいな事をされているのだろう。あるいは相手を殴るくらいに抵抗するので、お返しに乱暴に扱われるのかもしれない。

その破かれた服を身にまとう間、部屋の外の様子を警戒する。


その子の服はかなり破損していて、一方の肩が露出し、そこから細いヒモに支えられたわりとふくよかな胸の丸みの形が見えてしまっている。

だけど、そういう格好でもわりと気丈な雰囲気を崩さない子だった。


その気の強い村娘は部屋を出る前に、最後にもう一発、いい蹴りをお見舞いしてから立ち去った。



向いの部屋から、ちょうどアルテミシアが出てきた。

中で小汚い山賊男が、気を失ったのか、命を失ったのか、わからない状態で転がっているのが見える。

こちらも金髪の背の高い、気が強そうな女の子が一緒だった。

靴だけ履いた下着姿で、脱がされた衣服をゆっくり身につけている。

この子も、蹴りの一発くらい食らわせたんだろうな、と何となくわかる。


奥の部屋からレイリアとユーミも出てきた。

レイリアはシーツで(くる)まれた小柄な子を、お姫様だっこで抱えていて、

ユーミは自分より背の高い、大人っぽい印象の子を、何も着てない姿のままで手を引いてきている。

小柄な子は気を失っていて、大人っぽい子はちょっと怯えている感じが見える。


おそらく予想では…

ユーミとレイリアは賊共に容赦なく…実に容赦なく対応した、それを目撃した女の子たちには、刺激が強すぎた、と思われる…

で、気を失ったり、怯えたりしている、といった様子だ。





…時間はちょっと前。


…アルテミシアの場合。


アルテミシアがゆっくり扉を開くと、中で男女が(あらそ)っていた。

小汚い男が襲いかかり、ほぼ裸の女の子はそれを機敏に躱し、狭い部屋の中で追いかけっこをしている。

女の子はその展開をひたすら嫌がり、男の方は「抵抗されたほうが燃える」ような感じで楽しんで追い回している。

その男がいきなり倒れて眠り込んだので、女の子は不思議がっていた。


「あ…」

女の子は、攻撃的な魔法を使った事で隠密化が解けたアルテミシアに気が付いた。

そしてその姿をまじまじと見つめ、助けが来た事を悟ったようだった。


すると次の瞬間、その気の強そうな女の子は、床で寝ている男を、おもいっきり踏みつけた。その子は下着姿だけど靴は履いたままだったので、けっこう強い一撃が入った感じだ。

ちょうど首のあたりだ。ゴギっと変な音がした。


「あららー…♭」

その子は一瞬、「やりすぎたかな?」みたいな驚いた感じの顔をして山高帽の女性を見つめ、目があったアルテミシアも「ま、仕方ないわね♪」という感じに両手を上に広げて見せる。


「行くわよ♪ お洋服、着て頂戴♪」

女の子は我に返り、脱がされた衣服を手に取ると、ゆっくりと身につけはじめる。




…ちなみに、レイリアの場合。


レイリアが遠慮なく戸を開けると、中では、その寸前な感じだった。

ベッドのほうから、女の子が可愛らしい声で嫌がっているのが聞こえてくる。

小柄な女の子の姿が、縦横合計で倍ほどもある男に組み伏せられている下に、見え隠れしている。

泣き叫びながら必死に抵抗しているが、体格差は如何ともしたがい。


レイリアは手を炎で包み、

「おい!」

と、まだ気づいていない男の背後から、軽く炎を浴びせる。

「あっぢぃ!」と驚いた男が、憐れな女の子を離して、ベッドから跳ねて飛び出す。

そこにレイリアが長い脚で思いっきり蹴りを食らわせ、壁際までふっ飛ばした、

追い打ちに、手元で増幅した特大の圧縮炎を叩き込む。

こうして見た目も中身も醜い賊の男は、一瞬でもっと醜いクロコゲになった訳だが…


助け出された小柄な女の子。

先程まで自分を襲っていた男の、既にケシズミになった残骸を見て、気を失ってしまった。

ので、レイリアは困惑した感じで、とりあえずその小柄なわりに胸の大きな裸の村娘をシーツでくるんで、

お姫様抱っこで連れてきた、という経緯だった。




…そして、ユーミの場合。


ユーミが何も考えず派手に戸を開けると、中では、その…既に事後だった。

ベッドの上には、ヤり終わったガタイのいい男が腰掛け、その横で向こうを向いて女の子が涙を流して寝そべっている。

ユーミに気づいた男は立ち上がろうとするが、一瞬で距離を詰めたユーミに軽々投げ飛ばされ、空中に浮いている間に、大斧で撫で斬りにされ、少しして落ちる音が二回聞こえた。

こうして見た目は屈強そうだった賊は、一瞬で真ん中から分かれて身体が二つになった訳だが…


その泣いていた女の子も突然の事に驚いて跳ね起きた感じだが、先程自分の身体にキメたばかりの男がマップタツになっているのを見ると、口元を抑えて怯えるしかできなかっただろう。

で、ユーミはどうしたらいいかわからず、その震えている手をひいて、服もまとわせないまま連れてきた、という経緯である。



…とまあ、お互い見たわけではないけれど、レイリアとユーミはド派手に救出劇をやってのけた…

という事は、フローレンにもアルテミシアにも、なんとなく想像できた。いや、はじめから予想していたはずだ…。


「…一部屋ずつ眠らせてまわったほうが良かったかしら?♭」

「あー、でもその場合、透明化とか消えちゃうよね? 最初で

 四人とも怪我もなかったから、まあいいんじゃない?」

ユーミとレイリアは、物事を大人しく処理するのが苦手だけど、女の子に怪我をさせる事だけは避けようとするから、大事には至らないのもわかっていた。


ユーミとレイリアがそれぞれの子の服を取りに部屋に戻っている間、フローレンとアルテミシアは通路を見張りながら、女の子たちの様子にも目を配る。


気を失っていた小さい子も、いつの間にか気がついていた。

村娘たちは互いに身体を寄せて、気の強い子も揃って四人とも泣きじゃくっていた。

助けられた安堵感と同時に、酷いことをされた実感も湧き上がってきたかのようだ。


四人とも歳は相応、年長な子はフローレンたちと同じくらい、気の強そうな二人は少し下くらい、に見える。小柄な子はもう少し年下くらいか、胸の発育状態の異常な良さからすれば子供ではないだろう。


「あなたたち、四人だけ? 他にはいない?」

フローレンが女の子たちに、優しく諭すように語りかけた。

「はい…」

ユーミが救出した、ちょっと大人っぽい雰囲気の村娘が答えた。

レイリアが救出した小柄な子を抱きしめながら、

「私達、四人だけです…」

と、このような状況でのしっかりした受け答えは、見た目通りこの中で年長者である感じの印象だ。

村で聞いていた若い未亡人がこの子で、小柄な子が継母に捨てられた子だろう。


「とりあえず服を着て。ここを出るわよ」

ユーミとレイリアがそれぞれ対処した部屋から衣類を取ってきた。

気の強い二人は自分で服を着て、髪もまとめて結んだのでさらに活発な印象になった。

年嵩の子と小さな子は髪を結う暇はなかった。ちなみに四人とも長い金髪だ。


こうしてみるとこの四人はどこか似ていて、四人姉妹とか言われても違和感がない。

年嵩の子が他の子たちをあやしているので、母親と三人の娘、という見方すらある感じがする…歳はちょっと近すぎるようだけど…。

四人の雰囲気がなんとなく似ているのは、小さな同じ村の娘たちなので、血縁の近い親戚かなにかに当たるのかもしれない。


フローレンが助けた、ローポニーテールにした力も気も強そうな子が、ディアン

アルテミシアが助けた、ハイポニーテールにした背の高い敏捷な子が、ネージェ

ユーミが手を引いてきた、年嵩の落ちつた雰囲気の子が、ウェーベル

レイリアがお姫様抱っこしてきた、小柄で慌てやすそうな子が、アーシャ

フローレンたちは、とりあえず四人の名前を聞いておいた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ