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第十三場(街道)
登場人物
魔左衛門
お菊
喜平
〇街道
夕方、魔左衛門、お菊、喜平が街道を歩いている。
街道の両脇は麦畑。
魔左衛門「もうすぐ五料宿だ」
喜平「腹減ったよ。もう歩けない」
お菊「がまんなさい。五料宿につけば、食べ物はいくらでもあるわ」
トキが「クゥー」と鳴きながら夕日に向かって飛んでいく。
喜平「トキだ。トキなんか見るとひさしぶりだ」
お菊「幸先のいい旅ね」
喜平「どうして」
お菊「なんとなくそんな気がするの」
夕日を浴びて、麦畑が黄金色に輝き、風をうけて幾重にも黄金色の波ができる映像。
魔左衛門、お菊の頬から涙が伝っているのに気づく。
魔左衛門「お菊、どうした」
お菊「なんでもない。なんでもないってば」
街道を旅する三人の後姿。
ナレーター「お菊はなぜ涙を流したのか。
夕日を浴びた麦畑が美しかったからか、
それとも生まれ育った上州の地を離れる寂しさから。
はたまた、これから魔左衛門と喜平の三人で旅をすることへの心もとなさからか。
それはお菊自身にもわからなかった」
街道をパン。暗転。
(了)




