01 出会い1
ぷかぷか浮いてる。浮く。なんて心地いいんだろう。綺麗な青空だ。眼鏡かけてなくてもこんなに綺麗に見えるんだ。眼鏡かけたらもっと綺麗に見えるだろう。青い空と白い雲、そして水の香り、土の香り、草の香り。そして、周りを見渡すと、俺は見渡す限りの草原の中の池にいた。はぁ、綺麗だなぁ。最高の目覚めだ。
起きるか。おいしょっと。あれ?手足の感覚がないぞ。ん?手が動かない。どうなってんだ?はぁ?!て、手がない。足もないぞ!ややややぁやばい。
は、ははは。俺夢見てるんだ。そうだこれは夢だ。手で叩いたって痛くないに決まってるさ。まあ、手がないし確かめられないけど。
目の前に、さっきの自分みたいにバケツが浮かんでいた。心地よさそうに、ぷかぷか浮いているなあ。
うぉっ。そ、空から火、火が降ってきた。火の玉だ。夢ってなんでもありだな。あれ何で燃えてるんだ?空中に燃えるものもないまま、火だけ燃えてるぞ。うおっ。落ちてきた。
ドカーーン!!!
いや、原爆かよ、音だけは、そこら辺のミサイルに負けないぞ。音だけはな。加害範囲は小さいぜ。軍事マニアの俺が言ってるんだから、絶対にあってる。いや、そういう問題じゃなくて…
やべえ、花や葉っぱに燃え移ってんじゃん。やばい、やばいって。ここまで燃えてきたらどうしよう。あの火、荒れ狂ったように草原を燃やしているぜ。
は?
なんだって?t…土が燃える?夢だ…よな?ああ、夢だ。夢だ。夢だ夢だ夢だああああああ。
草原はたった3分で灰の山に変わっちまったぜ。モノクロの世界だ。この世界は地獄だ。いつの間にか空は曇ってる。地獄?地獄?地獄。地獄、ジゴク、じ、ご、く。
ああ、そうだ。俺は死んだんだった。
隕石が落ちてきたんだ。俺の働いてた石油会社に。そして、石油に燃え移って…ああ、もう考えたくもない。やめよう。やめにしよう。うん、それがいい。
本当に色がないな。色があるのはバケツだけじゃん。水色のバケツだけ。
このバケツ、なんか特別な力があったりして…
うっ、はぁ、胸が痛え。はぁ、ついに成仏か。ははは。
また、ここか。さっきと同じ景色だ。
青い空と白い雲、そして水の香り、土の香り、草の香り。青いバケツは?ない。つまりこの世界が本当にモノクロに…?は、っはははははは。今回も手がないのかと思ったら、俺バケツじゃんか。はぁ、なんなんだよこれ、潔く死なせてくれよ。
なんでこうなったんだ?昨日まで、そこらへんにいそうなただのサラリーマンだったはずだ。他人に比べてちょっとイケメンだったが。なんでそう思うかだって?それは事実だからだ。決して自己満足ではないんだぞ?
はぁ、俺は誰と話しているんだ。よくわからない。こんな状況に陥って、ついに頭でもおかしくしたか?まあいい。それで何かが変わるってわけでもないんだから。
とりあえず、自分の状況を確認しよう。まず、俺はバケツだ。どこにでもありそうな、100均で売ってそうな青いバケツだ。次、ここはどこだ?これはわからない。まあ、とりあえず、元々自分の住んでいた世界ではないのは明らかだ。だって、俺バケツになってんだぞ。多分異世界だ。つまり、異世界転生ってわけだ。………マジで?異世界転生って本当にあるのかよ。フィクションの中だけだと思っていたぜ。まあ、気にしていても仕方ない。気がついたからって、状況が変わるわけじゃないんだから。
はい、次。俺の持ち物はなんだ?中は空だろう。ん?なぜそうおもった?そうだ、夢の中では、空だったのだ。夢の中では。じゃあ、今はどうだ?そうだ、俺は中が見たい。
え?中、見れるの?俺の目は、バケツの表面のどこにでも行けるらしい。じゃあ、遊ぶしかないじゃないですかぁ。
ははは、中も見れる、外も見れる。そして、目が触れていたら、そこの表面の、温度、状態がわかるんだ。感覚?みたいなので。持つところまでいけるのか。でも、細い分、目も細くなるんだな。目を閉じたらどうなるんだろう?何も見えないぞ。目の存在がバケツ上から…消えた?なるほど、これで普通のバケツになれるんだな。
おお、裏も見える。あははは…
疲れた。ははは、遊びすぎた。2時間(体感時間)も遊んでしまったぜ。疲れたなぁ。
てか、目が動かせるなら、体も動かせるくね?動けぇ〜動けぇ〜。
は?あえ?お、おお?
う、うごい…た?
うおぉー。ヒヤッホー。楽しいーっ。くるくるくるくるうううううう。ぴゅーくるくるどーん。ぴゅー…
また、2時間(体感時間)も遊んでしまった。




