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水平線上ノ煌星  作者: 猫屋敷 凪音
ファミリー編
36/48

エイプリルフール特別イベント 【嘘っこ合戦】

【ログインボーナス】 ジュエル30個+ノゾミ「嘘です」スタンプ+ミラ「!?」スタンプ獲得

『プロローグ』


【明日は毒虎一家どっこファミリーに討ち入りしなければならない。】


【日本人とは縁遠い命懸けの戦いを前に、ノゾミは緊張して眠れなかった。】


【リビングでちょうど手を冷やしていたミラさんは、それならと、こんな提案をした。】


ミラ「ノゾミのいた世界について教えてよ」


ノゾミ「私のいた世界の話と言われても、何から話せば良いのか……」


ミラ「例えば、攻撃力が無くても物が壊れるんでしょ?そういう小さな事でも良いよ。」


ミラ「あとは……。ノゾミの世界の偉人の話は面白かった」


ノゾミ「そんな話、しましたっけ?」


ミラ「ペンは剣よりも強しと教えてくれたじゃん」


【ノゾミは軽い気持ちで吐いた冗談で、挙動不審になったミラを思い出した。】


ノゾミ「うぅ……」


ノゾミ(ここであれは嘘だったと言った所で、それが正しいとは限らないしな……)


【正しい行動が正しい結果を招くというのは、大きな間違いである。】


ノゾミ(ここはもう振り切って、自分の理想の世界を語ってみようかな……?)


【ノゾミのクリエイター魂が、自分の嘘がどこまで現実味を引き出せるのか燃えてしまった。】


ノゾミ「それでは、私のお気に入りの偉人の話をしますね」





『死の画家 メメント・モリ』


ノゾミ「その人は“死の画家”と呼ばれていていまにた。彼の絵のモデルになった女性は、絵が完成して1年以内に不可解な死を遂げたらしいです」


ミラ「それは恐ろしい話だね。その画家は、捕まったのか?」


ミラ「自分の能力で女性ばかり殺すなんて、物騒な奴だね」


ノゾミ「あ、そういう能力の持ち主とかじゃないです。あくまで諸説ありな噂です」


ミラ「どういう事?」


【ノゾミは世界間のギャップに四苦八苦しながら、自分の世界には能力が無いことを説明した。】


ミラ「能力が与えられないって事は、神は存在しないの?」


ノゾミ「その質問は何かの規制に引っかかりそうなので、ノーコメントでいきます」


【ミラは納得していないようだったけれど、ノゾミは死の画家の話を再開した。】


ノゾミ「その画家の名前は、メメント・モリ。ルネサンス前期にオランダで生まれた画家です」


ミラ「ルネサンスは時代で、オランダは国?」


ノゾミ「そうです」


【ノゾミは前提知識がそもそも無さすぎる人間を、騙さない方が難しいかもなと思った。】


ノゾミ「彼は商人の家に生まれましたが、フェルメールの工房に入り弟子として数枚の絵を完成させました。」


ミラ「その時のモデルは……?」


ノゾミ「特に資料が残っていないので、なんとも」


ノゾミ(全部詳しく説明すると怪しいと思ったけど、工房に依頼した絵のモデルが消息不明な方が怪しいかも。)


ノゾミ(いや、現代でもフェルメールの『真珠の耳飾りの少女』のようにモデルの分からない絵は存在する。たぶん、大丈夫なはず……?)


【ノゾミはミラの反応を窺ってみたが、特に疑う素振りはない。】


ミラ「それで、メメント・モリは弟子入りした後にどうなったんだ?」


ノゾミ「はい。最初はモデルを頼めるほど裕福じゃなかったので、恋人や母親を描いていました」


ミラ「ひゅっ!?」


【ミラは死の画家が恋人や母親を描いたと聞いて、息を詰まらせた。】


ノゾミ(画家あるあるのつもりが、ハードな話になっちゃった!)


ノゾミ(殺すべきか殺さないべきか……。)


ノゾミ(うん、殺そう!)


【ノゾミは悲しい話をする前に浮かべてしまった笑みを慌てて消して、辛そうな顔をした。】


ノゾミ「こほんっ。それでメメント・モリのモデルになった母親は病気により死亡。彼の恋人は、遺書を残して自殺してしまいました」


ミラ「…………。大切な人を描きたかっただけなのに死んでしまうなんて……画家として、これほど悲しい事は無いよな」


ノゾミ「ぅっ……!確かにそれは辛過ぎる!そこまで考えてませんでした」


ノゾミ(話の成り行きで、1人の画家を不幸にしてしまった……。)


ノゾミ(せめて彼に画家としての幸せを贈ろう)


ノゾミ「母と恋人を失って悲嘆に暮れていたメメント・モリでしたが、彼が遺影の代わりに飾った絵を見た画商が、彼に専属契約を持ちかけてくれました」


ノゾミ「それから彼は、画商を通じて教会に飾る絵や貴族の自画像などを描いていきました」


ミラ「本人の意思では無いにしろ、貴族を殺すのはマズいだろ……」


ノゾミ(確かに……!彼のモデルになった貴族が次々と死んだら殺されてもおかしくない!)


ノゾミ「彼が売れ始めて絶好調であったその年、大きな流行病により国中の人間が死にました」


ノゾミ(これなら大丈夫でしょ!)


ミラ「メメント・モリの顧客は大量に消えてしまったのか。例え家族や彼自身が無事でも、生活は苦しいだろうな……」


ノゾミ(私はまた、話の成り行きで人を不幸にしてしまった……!)


ノゾミ「でも、大丈夫です!」


【ノゾミは物語をハッピーにするべく、なんとか知恵を絞った。】


ノゾミ「流行り病は家に絵を飾る事で解決するようになったので、みんな元気になりました!絵の注文も増えました!」


ミラ「どうして絵を飾ると病気が治るの?」


ノゾミ「なんか、神様の絵だったからです!!詳しい資料は残っていません!」


ミラ「そうか。神の絵を飾る事により、家が簡易的な教会の役割を持って加護を強めたのかもしれないね」


【ミラは自分なりの解釈で、流行病が治る理由に納得した。】


ノゾミ「たぶん、そうです!それです!次の話に行きましょう!」






『嘘だろ』


ノゾミ「それからメメント・モリはたくさんの神の絵を描いた経験により、神々しい女性を描く事で有名になりました。」


ノゾミ「彼の描く絵は『アルカイック・スマイル』と呼ばれ、現代でも高い価値を持ちます。」


ミラ「そっちの世界にも『アルカイック・スマイル』はあるのか。」


ノゾミ(げげっ……!!)


ノゾミ「ここでは、『アルカイック・スマイル』ってどんな意味ですか?」


ミラ「別に詳しくはないけど……。うーん……。」


【ミラは腕組みをして左上を見た。】


ミラ「神像などに多用される曖昧な微笑の事だった気がする」


ノゾミ「なるほど!大丈夫です!こっちも大体そんな感じです!」


ノゾミ(両方の世界の意味にズレがなくて良かった。今は良いけど、後で困るもんね)


ノゾミ「それで、メメント・モリの描く絵のモデルの多くが女性になったんです」


ミラ「なるほど。ここからが死の画家と呼ばれる始まりなのかな。こんなにスラスラ話せるなんて、ノゾミは凄いね」


ノゾミ「記憶力は良い方なんです!それに、1度感動した事はなかなか忘れないでしょう?」


【ノゾミは自分の好きな作品や本の台詞を思い浮かべて、胸を叩いた。】


ミラ「それは真実だな」


ノゾミ「嘘じゃないですよ?」


ミラ「何が?」


ノゾミ「えっと、記憶力が良い話です」


ミラ「それは疑ってないよ。実際、ノゾミは頭が良い方だと思う」


ノゾミ「そうですか?えへへ……」


【一瞬、ミラに嘘話がバレたのかと思ったノゾミは、心の中で汗を拭いた。】


ノゾミ(これからは嘘がバレないように、真実も混ぜてみよう)


【ノゾミは死の画家に似合う、自分の好きな画家のエピソードを話してみる事にした。】


ノゾミ「それから裕福になったメメント・モリは奥様を迎え、養子だけど5人の子供にも恵まれました」


ノゾミ「彼が描いた奥様と子供達のピクニックをする絵は、彼の代表作です」


【印象派の時代、ピクニックは多くの若者の間で流行っていた。】


ノゾミ(あぁ、でも待てよ?メメント・モリはルネサンス前期の画家なのに外で絵が描けるのはおかしくないか?)


【モネで有名な印象派の時代まで、美術界には絵の具のチューブが存在しませんでした。】


【その代わりに豚の膀胱に絵の具を詰めており、風景画のように外で絵を描く為に絵の具を持ち出す事が不可能だったのです】


【さよなら、豚の膀胱!ありがとう、絵の具のチューブ!】


ノゾミ(まぁ、でも異世界の絵の具事情なんてバレないよね?)


ノゾミ「それで、再び発生した流行病により彼の奥様が亡くなりました。彼は妻の死を悼むため、刻一刻腐ってゆく妻の死体をスケッチし、絵にしました」


ノゾミ(どうだ!凄いエピソードだろ!!)


【ノゾミは推し絵師の推しエピソードを語って、ドヤ顔をした。】


ミラ「それで、子供達はどうなったの?」


ノゾミ(子供かぁ……。子供、殺したくないんだよな……)


ノゾミ「その時、ピクニックに同行していた子供は1人でした」


ノゾミ(他の子供がいない理由……。全員体調不良?親戚に預けてて……その子供だけ誕生日だった?)


ノゾミ(なんだろう、考えれば考えるほど嘘っぽい気がする)


ノゾミ「何故、子供が1人しかいないのかというと、その資料は残っていません。噂では、絵のバランスの為にその場にいた子供にモデルを頼んだという話もあります。諸説ありです」


ノゾミ「諸説あり……なんですが、私の見解だとその子供は近所の子供だと思います。何故かというと、彼が赤い風船を持っていたからです!」


ノゾミ「緑の草原に赤い風船なんて、ムッチャ良い絵じゃないですか?!赤い風船はモデル代として、少年にプレゼントしたんです」


ノゾミ(ん、待てよ?赤い風船なんて存在するのか?大丈夫か?どうしよう?でも、今更変更できないし……)


ミラ「風船1つで殺されるとは……」


ノゾミ「諸説あり!諸説ありですから!」


【ノゾミはもう、何でもかんでも諸説ありで倒そうと思った】


ミラ「嘘だろ」


ノゾミ「えっ」




『エピローグ』


【ミラに嘘だと指摘されたノゾミは、体を硬直させた。】


ミラ「よくもスラスラと作り話が出来るな。ノゾミは本当に頭が良いよ」


ノゾミ「いや、その……。それ程でも……。」


【ノゾミは観念して白旗を上げた。】


ノゾミ(チッキショー。ラストまで語りたかったのにな〜)


ノゾミ「いつから分かってたんですか?」


ミラ「母親と恋人が死んだあたりから怪しかった」


ノゾミ「そこからですか……」


ミラ「そっちの世界も同じかは分からないけれど、人間の思考は視線の向きに現れる」


ミラ「人は嘘を吐く時、左上を見るんだ。ノゾミからすると右上だね」


【ノゾミは試しに、嘘を考えてみた。】


ノゾミ(あり得そうで無い話……。うーん、私がまんじゅう怖いみたいなネタを言っても分かるわけないし、面白くないよな)


ノゾミ(相手の興味を引きつつ、その場ではバレなさそうな事なら書いた事が本当になるインクが存在するとか?)


ノゾミ「本当だ」


【ノゾミが現実にない事を想像する時、視線は右上を見ていた。】


【つまりは、ミラから見て左上を見ている。】


ノゾミ「よく知ってましたね」


ミラ「たまたま、白夜が相手の嘘を100%見抜く力を持ってて、白夜がいない時に代わりにならないかなって観察してたら分かっただけ」


ノゾミ「すごい……!」


【相手の嘘を100%見抜ける白夜も凄いが、観察力のみで相手の思考を見抜く法則を思いついたミラもすごいと思った。】


ミラ「結局、俺自身は黒金の頭をブつだけで骨折する弱いままだし、この努力が役に立ったことなんて無かったけどね」


ノゾミ「そんな事、無いですよ!ミラさんは凄い人です!すごい観察力の持ち主です!」


ミラ「知ってる?女性は嘘を吐く時、相手の目を真っ直ぐに見るけいこうがあるんだよ」


ノゾミ「嘘じゃないです!!もぅ!」


【机を叩いてもダメージ1つ負わないノゾミを見ながら、ミラが自嘲気味な笑みを浮かべる】


ミラ「分かったよ」


ノゾミ「あんまり信じてませんね?私はこう見えて、ミラさんに教えてほしい事があって起きてたんですよ」


ミラ「教えてほしい事?」


ミラ「うん。文字はもともと綺麗だし、これならキチンと発動するよ」


ノゾミ「ありがとうございます!」


私は何かの力になれるかもしれないので、術符じゅふに使う文字をミラさんから習っていた。


ミラ「さて、今日の復習をしようか。俺が教えた0〜9の文字のうち、偽物はどれだと思う?」


ノゾミ「え。」


ミラ「術符を使える事も大事だけど、白夜と俺がいない状態で嘘を見破れる人間も大事だよね?」


ミラ「ノゾミは頭が良いんだから、覚えてるよね?」


ノゾミ「ひぇっ!!!」


ノゾミ(どうしよう、どうしよう?!?紙ばっか見ててミラさんの視線なんて見てなかった!)


ノゾミ(ヤバい、ヤバい!どっち向いてると嘘なんだっけ?数字の法則から考えて形と順番は合ってる!)


ノゾミ(という事は、問題は読み方!)


ミラ「ふっ!あははは!冗談だよ」


ノゾミ「まっ」


ミラ「ちょっと仕返ししたかっただけ。次は属性について簡単に教えるね」


ノゾミ「あの……ちゃんと教えてくれますよね?嘘じゃないですよね?」


ミラ「それは、どうかな」


ノゾミ「ぴぇええーーー!!」


ミラ(今、スマイリー向日葵パラダイスで1番無力感を感じているのは俺とノゾミだろう)


ミラ(だから、後輩イジメなんてする気はないけど……)


ノゾミ「おねげーしますだ、お代官様!オラに、オラに知識を分けてくだせぇ!」


ミラ(ぶふぉっ!!!すっごい顔!!)


ミラ「うーん、どうしよっかな〜?」


ノゾミ「ペン剣で味を占めてすみませんでした〜!」


ミラ(うーん、ノゾミの話は面白かったし、この顔も面白いし。)


ミラ(また変な話してくれるかもしれないから、もうちょっとだけ遊んじゃおう)



【イベント読了報酬】

ミラ「嘘かもね?」スタンプ獲得




『どこかで使える?!思考と視線の向き講座』


考えれば考えるほど、こんがらがります。

間違ってたら、ごめんなさい。

※この視線の向きの法則は、右利きの人に多いっぽいです。


嘘や空想などのイメージ  ↖︎ 視線の向き ↗︎ 過去の記憶

聞いたことのない音をイメージ← ( ・∇・) → 音を思い出す

身体で体験した事を思い出す ↙︎  相手 ↘︎ 自分との対話・自分の気持ちなどに思いを馳せる



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