第24夜 作戦名『シューティングスタァッチョ』
ノゾミの自信満々なウインクを見て、ボムとアチョーは不安になった。
「絶対に勝てます!」
とか言う奴に限って、失敗するのだから。
階段と踊り場の境目あたりに転がされた双子も、なんだか寒気がしてクシャミが出る。
「この作戦はアチョーさんに負担が掛かりまくる作戦です。まずは脱いで下さい」
「分かりました。ファミリーの為ならば、一肌脱ぎましょう」
アチョーさんが殊勝な顔をして頷く。
「違います。脱ぐんです」
「はい?」
_________
それから私の作戦はアチョーさんとボムさんの両方からダメ出しを受けたが、なんとか合格ラインまで持っていく事が出来た。
「すみません、ボス……」
アチョーさんが遠い目をして、黒金さんに謝る。
「とにかく白夜さんの命が最優先っす」
ボムちゃんがアチョーさんを励ます様に、肩に手を置いた。
私は踊り場と階段の境目に転がしていた双子に声をかける。
「大器、いざとなったら鉄の棒を大きくして盾に出来たりする?」
「降参しても、お前らに協力しないぞ」
何度もおでこを打ち付けた双子は、「お前らには従わないぞ」という顔で私達を睨んでいる。
私も鬼ではないので、これ以上双子の頭をゴンゴンする気は無い。
「出来るか確認したかっただけだから良いのよ」
私の笑顔を見て、大器は視線を逸らした。
次に、勝器に話しかける。
「勝器は、ヴィルヘルムさんの剣を縮めたり出来る?」
「出来るけど、やんないよー」
うんうん。2人共、それが出来て頭に入ってるなら良いのだ。
持って来ていた光の術符に手を加える。
昨晩、ミラさんに包帯を巻いたついでに私は術符の仕組みについて教わった。
私がここまで付けていたウエストポーチには、解毒剤の材料だけでなく筆記用具や術符の基本セットが入っている。
術符の属性は《木》《火》《土》《金》《水》の五行説+《光》《闇》《無》。
《木》《火》《土》《金》《水》の五行説組は、相性の良さと悪さもその通り。
(※属性の詳しい相性は後書きで説明します)
《光》と《闇》は味方同士なら強い相乗効果を生むが、敵になると大きくダメージを食らう属性。
《無》属性は、何に対しても相性の良し悪しが無い。
ターン数の決まりが無いゲームなら、回復《無》パーティーでオートプレイすれば、ハードモードの中盤までは大体クリア出来ると思う。(『水平線上ノ煌星』の場合)
術符の力の関係が『水平線上ノ煌星』と同じなので理解りやすかった。
で、術符を書き換える話に戻そう。
術符の属性それぞれには起こせる現象に違いがあって、術符には
【使用回数】【使用限度】【発行者と発行所の印】
【属性】【術符で起こす効果】
【細かい約束事や条件】
それに見合った異なる計算式『【効果値】【効果時間】【使用者の集中力】【その空間の奇跡の濃度(乱数)】』
【その属性の神に対する祈り】
が、神聖文字で書かれている。
昨日ミラさんに教えてもらったのは、術符の基本的な効果と神聖文字の1〜9と0の数字だけ。
今回は光の術符の【効果値】と【効果時間】を書き換えた。
「効果値は大きくして、とにかく明るく。持続時間は削って良いから……」
【効果時間】の単位が【分】なのか【時】なのか分からないが、水の術符を参考に【秒?】に書き換えた。
ボムちゃんが水分補給をした時、15秒も水は出ていなかったはずだ。
秒の単位は、このグネッとしたヘビみたいな形であっているはず。
自分で書き換えた光の術符を何度も見直す。
「大丈夫。大丈夫。デザインってものには根拠とか説得力が必要だからさぁ……。そんなに突飛な変更はしないはずなんだよ。この世界の製作者が神でも、観る側は人間。Sっぽいのが秒でOKなはず」
小声でブツブツ呟きながら階段と踊り場をぐるぐる歩き回るノゾミに、ボムがタックルする。
「そんなに不安がらなくても良いっすよ。きっと成功するっす」
「ボムちゃん……」
小さい生き物が足に抱き付いてニンマリ笑う。
「ボムちゃん、根拠の無い自信は持ってはいけないんだよ」
テスト勉強ならともかく、命をかけた作戦なのだ。
私は小さい子供を諭すように、首を横に降った。
「うーん。ノゾミちゃんはもう少し……」
ボムちゃんは何か言いたそうに瞳を細めた後、大人っぽい笑みを浮かべた。
子供らしい見た目とのギャップで、胸がキュンとする。
「人生は短くて、思ってるよりも長いもんっす。ゆっくりお勉強しましょう」
自分より遥かに小さい女の子が、人生の大先輩みたいな顔で私の肩をポンと叩いた。
体重が0になったボムちゃんが、重力の制限を無視して天井にフックを引っ掛ける。
「アチョー」
「はい」
服の重みで降下するボムちゃんを、アチョーさんが抱きとめる。
フックに通った縄がスルルと降りた。
アチョーさんがボムちゃんを優しく床に下ろす。
双子・術符・鉤付きロープ、アチョーさんOK
「作戦会議は済んだかな?」
今まで待機してくれていたヴィルヘルムさんが、私達に話しかけた。
「はい。お待たせしました」
私とボムちゃんは双子を盾のように構えていた。
アチョーさんの背中には光の術符が張り付いている。
階段の端に固定したロープは、アチョーさんを経由してボムちゃんが握っている。
作戦名『シューティングスタァッチョ』決行!
【属性の力関係】
[相性の良い属性]
矢印を向けてる属性を補助メンバーにすると、良き。
※ 《無》属性は、どの属性とも相性の良し悪しが無い孤高な属性。
(例)火属性の補助メンバーに木属性のキャラを置くとATK値アップ
《木》
, ↗︎ …↘︎
《水》 《火》
,↑………↓
《土》←《金》 《光》⇄《闇》 《無》
[相性の悪い属性]
矢印を向けている属性を攻撃すると、効果抜群!
(例)火属性を水属性で攻撃すると、その他の属性に比べ1.3倍。苦手な属性に比べ1.5倍の効果があります。
《木》《火》《土》《金》《水》
…↑……↑……↑……↑……↑
《金》《水》《木》《火》《土》 《光》⇄《闇》 《無》




