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水平線上ノ煌星  作者: 猫屋敷 凪音
ファミリー編
19/48

第17夜 あれっ?これから戦うんだよね……?

ひとまず相手を油断させる為、スマパラは毒虎一家の要求を飲んだフリをする事にした。

泣いて目を腫らしたミラさんを参考に、みんなの目を赤くするメイクをして、私の手首を縄で縛る。

もちろん、この縄は黒金さんが千切ればすぐに解ける程度にしか結んでいない。

というか大抵の拘束具は黒金さんの手で壊せるので、どんだけ巻こうが意味は無い。

何故、こんなことをするのかと言うと理由はこうだ。


8番街と7番街は隣同士なので、ある程度お互いの性格を知っている。

「仲間を引き渡して傘下に入れ」

と要求しても、向こうもファミリー大好きな黒金さんが、素直に応じるとは思っていないだろう。

なので、毒虎一家を騙す演技の設定はこうだ。


黒金さんに恩義を感じている私が、黒金さんに毒虎一家へ引き渡してくれと頼み込む。

当然、スマパラのみんなは断る。

更に、私が説得する。

要求を飲めば、毒虎一家の傘下に入る事を理由に断る。

自分と多少の金品を持参し、相手と交渉をしよう。その為なら、引き渡されて殺されても構わん!と、私が頼み込む。

それはもう、熱烈に頼み込む。

結果、ファミリーの想いを汲み取った黒金さんが折れる。

みんなで涙ながらの最後の晩餐を開く。(そのせいで、みんな目元が赤い)

翌日、私は自分の意思で毒虎一家に引き渡されるので縛られている縄は最小限で歩く。

みんなも私の意思を尊重し、悲しみつつも見送りに来ている。

引き渡しの前に白夜さんの安全を確認。(奪えそうなら奪う)

白夜さんを奪還出来そうに無い場合、チャンスが来るまで、なるべく演技を続行。

黒金さんが持っている大きな荷物が何かと質問される。(確実に)

毒虎一家への貢ぎ物と親交の証と言う。

1人か2人が中身を確認しに来る。

その瞬間に全員が武器を取り、確認に来た人物を人質に取る。


途中から演技の設定じゃないものも書いてしまったが良いでしょう。

黒金さんが仲間を引き渡すとしたら、大体このくらいの話がリアルだと思う。

何日かぶりに7番街に入り、縄で縛られた状態で歩いたなら、また7番街の人達から注目されると思ったけれど杞憂だった。

みんな、大きな箱を抱える絶世の美少年にしか目がいっていない。

「あら、美少年よ」

「大名行列かしら?」

「あの兄ちゃん、あんなにデカい箱を片手で軽々と持ってるぞ」

「箱が大き過ぎて後ろにいる人達が見えないね」

箱の中身は武器だ。

7番街に堂々と武器を持ち込む訳にはいかないので中身の見えない箱にしまっている。

それと、箱には体重を0にしたボムちゃんも入っている。

伏兵としての役割もあるが、いざという時、武器をみんなに渡す役割もある。

武器を箱に詰めていれば、全員が武装するのにタイムラグが発生する。

なので、あらかじめ武装したボムちゃんが箱の中から飛び出してハチちゃんとアチョーさんに武器を投げ渡すのだ。

私と黒金さんは、()()()()下手な武器は使えないので、ボムちゃんが箱から飛び出した時点で縄を千切ってもらい特攻する事になっている。

「ハチさん、オレの腕でも掴みますか?」

普段握ってるバットが無くて落ち着かないハチちゃんに、アチョーさんが左腕を提供する。

ハチさんが頷いて、アチョーさんの左腕を握った。

「〜♪」

ハチちゃんがいつも通りの、バットを振る素振りをする。

ヒュオッ

優しい笑顔のアチョーさんが、残像を残して消えた。

「おやおや〜〜〜〜〜」

乱回転しながら3階建ての高さまで着いたアチョーさんは

「困りましたね」

と言いながら、真っ逆さまに落ちていく。

笑ってる場合じゃないでしょうが!!

黒金さんが素早く振り返り、ハチちゃんの肩に手を置く。

「ハチ!新しい連携技が出来たな!」

「"の(*≧∀≦*)の"〜♪」

いや、叱れよ!

体重0のボムちゃんならともかく、長身のアチョーさんを受け止めたら確実に骨が折れるだろう。

それでも受け止めないよりはマシなので、縄で縛られた手を前に突き出して、はるか先に落ちるアチョーさんを追いかける。

「危なっ!」

受け止めようとする私を、黒金さんが止めた。

「ちょっ」

地面に両手から着地したアチョーさんは、前転と同じ容量で体を回転させて立ち上がった。

そして、何事もなかったかの様に手に付いた土を払う。

「このまま落下時に着く攻撃判定で相手に大怪我を負わせられたら強力な技になりますね。ノゾミさん、大丈夫でしたか?」

「へぁっ?はい」

そっか。この世界は攻撃としてのアクションでないと物は壊れないし相手はダメージを負わないんだっけ。

この世界がゲーム(?)で良かった。

力の法則が普通じゃない事を、人間が15m投げ飛ばされた時点で思い出すべきだった。

最悪の想像をしてしまった所為で、心臓がまだバクバクしている。

「落下する物には攻撃力があるので受け止めようとしたら怪我をしますよ」

「そうだったんですね」

それで、黒金さんは私を止めてくれたのか。

早くこの世界のルールに慣れよう。

「黒金さん、ありがとうございました」

「物理法則が違うんだっけ?気にすんなよ」

「着地に失敗しなければ楽しいので、体験してみますか?」

さっきのアチョーさんみたいに空を飛んで優雅に着地する自分を想像する。

いつも妄想する奴だ。

自分にも漫画みたいな運動神経があれば……!と。

「ひゃー!楽しそうですが、自分の世界のルールが適応されると死んじゃうのでやめときます」

めっちゃくちゃ残念だけど、安全な実験から大丈夫そうだと分かったらやってもらおう。






_______


毒虎一家に討ち入りするノゾミ達が楽しくじゃれあっている一方。

人質にされた白夜は震えていた。

「大丈夫?この部屋寒い?」

「ありがとう。十分、あったかいから平気」

「そう?」

震える白夜を心配するのは、毒虎一家から魚肉と呼ばれる少女だった。

ピンクとレース。ロココ調の家具で統一された乙女な部屋に、白夜は監禁されていた。

そう、ノゾミが最初に侵入した例のかわいい部屋である。

可愛い部屋の中に、椅子に縛られた美少年と傍にはべる美少女が2人。

とんでもないミスマッチが、部屋に妖しい雰囲気を作り出す……事はなかった。

「クマさんのポンチョ掛けてあげるわね」

「ありがとう。可愛いね」

黙っていれば美少女の白夜が、可愛い部屋で女の子と一緒にいても、そんなに違和感は無かった。

むしろ、この3人は昨夜から女子トークをしていた。




事の始まりは、毒虎一家が真面目に立てた作戦だった。

「スマパラの黒金に建物ごと攻撃をされては、こちらは大損害を受ける。そこで、相手に本気を出させないことが重要になるだろう」

毒虎一家の参謀ロトの言葉に、会議室にいた全員が同意した。

「そこでまず、黒金クンの大切にしている白夜クンを誘拐しよう。この仕事は、ヨドクンとレナクンに頼めるかい?」

「ずびっ……。了解」

「ん〜、良いよ?気分がノってるからやったげる」

信号カラーの服を着た少年とテーブルに絵を描く少女(?)が同意する。

「ここからが大切な事なんだが、誘拐した白夜クンは丁寧に扱って欲しい。少しも傷を付けてはいけないよ」

ロトは「どんだけ〜」の様な仕草で指をチッチッチと振った。

「白夜の能力が欲しいのか?」

「白夜クンが手に入るかどうかは、スマパラを潰してからの話さ。まず大事なのはファミリー想いの黒金クンを怒らせない事だよ」

「……なるほど」

じゃねぇ!!!

と、毒虎一家の狂犬こと賛月サンガツは、心の中で絶叫した。

しかし、作戦としては悪くないはず。

黒金に本気を出されて困るのは、真実だ。

なので、毒虎一家は白夜を丁寧にもてなしていた。

最初、お嬢とヒョロくても敵側の人間を同じ部屋に居させることに賛月サンガツは反対したが、お嬢に

「私は毒虎一家の顔よ!」

と押し切られ、護衛に自分と魚肉とレナを付ける条件で折れた。

そして誘拐から時間が経つ内にレナは護衛に飽き、退室。

賛月サンガツ

「女子トークの邪魔よ!」

と言われて、部屋から退散させられた。





こうして、人質(男)・女子・女子の組み合わせで女子会が開かれる事になった。

「シロピッピ、クマさんのポンチョ似合う〜!」

「1番着こなしてるじゃないの!可愛い〜!」

「2人共、ありがとね。でも寒くないから汚れる前に返すよ。やっぱり好きな人に会えないと震えちゃうっていうか?」

違和感が仕事しない。

この空間を初見で女子じゃないメンバーを当てられる人間など存在しない。

椅子に縛られている事さえファッションの一部にして、敵組織のNo.2とボス+幹部の女子トークは続く。

「早く黒金さん、迎えに来てくれると良いね」

魚肉の言葉にお嬢が同意する。

「うんうん。シロピッピ、黒金さんと再会したら告白するもんね」

「わ〜!そんなの無理無理!クロは鈍感だもん」

「なんならキスくらいしちゃいなさいよ!」

「お嬢ったら大胆ですね!」

「だって見たいもん!」

きゃー!きゃー!わー!わー!うふふっ

甘いお菓子としょっぱいお菓子を交互に食べて、ジュースが減っていく。

「正直、僕とクロは両思いだと思うんだ」

「「うんうん」」

「でも、僕って男じゃん?やっぱり女の子には負けちゃうかなって……」

「そんな事ないよ!シロピッピの方が可愛いよ!」

「なんならウチらがメイクしてあげるよ!!絶対に可愛い格好で迫ったら、黒金さんだってドキドキするよ〜!」

「そ、そうかな?」

「そうよ!そうよ!魚肉!メイク道具出して!持ってる限りの可愛い服とアクセサリーも持って来て!ウチらでシロピッピの事、思いっきり可愛くしてあげよ!」

「了解!」

「嬉しい!2人共、ありがとう!ウチらずっ友だよ!!」

白夜は友達の優しさに感動して、目尻に涙を浮かべた。

トタトタと小走りで、魚肉がお嬢の部屋から退室する。

さて、やっと2人だ。

こちらを気にせずドレッサーを用意するお嬢を見て、白夜はニヤリと悪い笑みを浮かべた。

【魚肉が魚肉と呼ばれる理由】


その名前は,魚肉の能力『何でも魚肉ソーセージ』から取られている。

毒虎一家に拾われる前、魚肉はとても貧乏だった。

彼女は誕生日に食べさせてもらえる魚肉ソーセージが大好物で、それが滅多に食べられない貴重なタンパク質であったのだ。


そして、ある日の事件に彼女は

【空腹時のみ、食べられると思った物なら何でも魚肉ソーセージに変えられる能力】

を手に入れる。

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