第10夜 スマイリー向日葵パラダイス
「ところでスマイリー向日葵パラダイスって何ですか?」
みんながワイワイしてる所申し訳ないが、質問に戻らせていただいた。
「旗を見ても別世界の人間じゃ分からないか」
白夜さんが呆れた顔で両手を黒金さんにくっ付ける。
「そうだよな。ノミの居た場所では、カゲが居ないんだもんな」
白夜さんの手を握り返した黒金さんが、ターンをしてポーズを決める。
2人に負けないようにミラさんの手を握って、私もターンをした。
「スマイリー向日葵パラダイスと旗、カゲは関係があるんですか?」
「スマパラの主な仕事がカゲ退治だ。そして、あの旗はその時に使用する。カゲ退治は、地域住民を守る素敵な仕事だ!」
ふむふむ。
先程、アチョーさんにセクハラをした時「通報しても捕まえる側はオレたち」と言っていた。
この組織は少年探偵団的に治安を維持してるのだろう。
「他には何でも屋をやってるぞ」
「スマパラは8番街のお手伝い屋さんっす!」
お日様オーラのある黒金さんとボムちゃんコンビに説明されると、気分がとってもホワホワする。
「楽しそうだね〜」
「楽しいっす〜」
おててを繋いだ状態で、ミラさんとスキップで回転をした。
ペチッ
握った両手が頬に当てられて、真っ赤な顔をしたミラさんと目が合う。
「ドキドキする事するな」
「え。」
それ、こっちのセリフだわ。
手と手が離れた隙に、ミラさんがアチョーさんの影に隠れる。
「ミラはシャイボーイなんす」
「そうみたいだね」
ボムちゃんと一緒に「いひひ」と笑う。
「うるさいっ!」
ミラさんに引っ付かれたアチョーさんが、眉を下げて穏やかな笑みを見せた。
はぁー、愛しい。推せる。この家族全員推せる。
「カゲ退治は危険な仕事だから、ノゾミがやりたくなければやらなくても良いぞ」
「とは言っても、ウチにはクロがいるから他の所よりは安全だよ。スマパラ設立以来、5年間死者0だもん」
黒金さんと白夜さんの言葉に有り難く頷いた。
そして日本人らしい回答をする。
「イけたらイきます」
これぞSOSOJAPANESE。
_______
ノゾミは無事、家族としてスマパラに受け入れられた。
女子組は今みんなでお風呂に入っており、アチョーは食器の片付け、ミラは自室で何かをしている。
食堂に残ったのは、俺とシロだけだ。
節電の為、薄暗くした食堂でシロと向かい合った。
普段賑やかなボムやヒナがいないと、時計の秒針の音が気になる。
「やっと2人きりになれたね」
「あぁ」
俺とシロに前置きは必要無いので、シロはズバリ核心を突いてきた。
「7番街の件、どう処理する?」
ノゾミが居る場所では語れなかったが、話題は7番街との関係性になる。
「ノゾミの事情を聞く限り、悪気は無かったから謝って済ませたい」
と、そう言いたい所だがそうもいかない。
謝って済むなら組はいらない。
ウチにはシロが居るから、ノゾミが嘘を吐いていない。または、ノゾミがそれを嘘と思っていない事が分かった。
普通なら、何処かの組織の差し金と思われて落とし前をつけられる。
今、7番街からはスマパラが盗人を送ったと思われている。
ノゾミは今、ファミリーなのである意味はそうなんだが……。
「そんなに迷わなくても、遅かれ早かれ7番街とは衝突してたと思うよ」
「んーー」
毒虎一家は、1年前先代が引退して若いお嬢さんがボスになった。
前の爺ちゃんなら話が通じたかもしれないが、娘さんは積極的に戦力を拡大する交戦的なタイプだ。
そして、やけに俺を毒虎一家に引き抜こうとしている。
シロの言う通り、遅かれ早かれ衝突していた可能性が……無くも無い、か…?
「あのお嬢さんなら、俺が誠意を込めて謝れば許してくれる気がする」
会った回数は少なくても、俺は瞳が綺麗で心の優しそうな女の子だと確信している。
「それは無い。今月のカゲの襲撃はあり得ない激しさだったのは覚えてる?」
「うん」
いつもより多いし、大きいのもたくさん居た。
ノゾミを襲うカゲが居たのも、7番街の許容量を超えたカゲが街を彷徨いていた可能性が高い。
「備品の消耗だけじゃない。場所によっては人員も」
硬く握りしめた拳に、シロの手が寄り添う。いつの間にか、シロが後ろから俺を抱きしめていた。
俺がいる限り、家族は絶対に死なせない。
「どの街も資金繰りの為に大きく動くよ。戦闘に慣れた人間は育てるより、隷属させる方が楽に獲得出来る。
その内、どこも戦争になる」
戦いの結果、負けた組の人間はその街の組織に吸収される。
そうなれば、自分を守護する組織が消えた街はカゲの襲撃を生き残れない。
「この先、影の国を統一して王になろうとする地区もあるかもしれない」
「王はいらない」
この国に王はいらない。
この国で王になろうとする奴が居るなら、俺が必ず立ちはだかる。
俺は前に進む。
この人生で何が出来るか分からないが、全ての罪を清算して『王はいらない』と証明しなければいけない。
そうでなければ、あの時死んでしまった人達が報われない。
そして、いつかシロを光の国に帰す。
シロの大好きな星がたくさん見れる上の世界に。
「僕は何処までもクロと一緒だよ」
「俺がシロを必ず幸せにするよ」
俺の肩を抱くシロのなめらかな手の甲に誓いのキスをした。
『スマパラみんなの将来の目標』
クロ
「視界に入りきらないほど広い空を、シロと一緒に見に行きたい。」
シロ
「クロとずっと一緒にいられますように。」
ヒナ
「お兄ちゃんと白お兄ちゃんを結婚させる!」
ミラ
「神様、恋人とイチャコラしてみたいです。」
ボム
「ファミリーみんなが成人するまで平和に暮らしたいっす」
アチョー
「もっと品行方正で頼られるような人間になりたいです」
ハチ
「ヒナちゃんと走ってお散歩したい」
ノゾミ
「東京の家に帰る。出来れば長谷川さんの家族に訃報を伝える」




