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水平線上ノ煌星  作者: 猫屋敷 凪音
ファミリー編
10/48

第8夜 家族(ファミリー)

家族(ファミリー)のぞみを拾ってくれた黒金くろがねさんにより、『牧原 のぞみを家族に入れるかどうか』問題が話し合われる事になった。


この場にいる人間は、私を除いて7人。

黒、白の2人を除いて、全員が色被りの無いパステルカラーだった。

ピンク、クリーム、オレンジ、黄緑、薄紫。

パステル戦隊が作れそうだ。

これは全員が髪を染めてカラコンをしているのか、たまたまそうなのか。

だとしたら、色素とか紫外線とか、どうなっているんだろう。

通常、人間の色はメラニン色素で決まっている。…はず。

紫外線の強い地域では髪や肌が黒っぽい人間が生まれ、弱い地域なら金髪や白い肌になる。

7番の街でも思ったが、こんな色の人間が普通に揃うのはおかしい。

この世界はまるで誰かの創作物だ。

「それじゃあ、まずは多数決だ。ノゾミが家族になる事に賛成の人はテーブルを叩いてくれ」

黒金さんの言葉で、世界に対する考察を止める。

今は自分の進退が大事!

誰が賛成して反対し、その意見にどう反論するかを考えなきゃいけない。

のぞみはテーブルの下で拳を握った。

「結果は決まりきってるけどね……」

机に頬杖を着いたシロさんが、フッと笑った。


負けるもんか!

脳みそをフル回転させる。


まず、黒金さんは私を拾った張本人であるので賛成派だろう。


次にシロさん。彼は『乳首絆創膏事件』で私の事をブッ叩いた。反対派だろう。


黒金さんの隣に座る車椅子の女の子は、ニコニコしている。賛成派…?


その隣でお世話をする無口な女の子は、私を警戒していたはず。反対派。


向かい側に座る長身の男性は困った様に微笑んでいる。中立派。


その男性の膝に座っている小さな女の子は……何も考えてなさそう。仲の良い人の意見につられる可能性がある。


口の両端にバッテンが描かれてる人は、顔を顰めて黒金さんを睨んでいる。反対派。


私の予想では、7人の中に反対派が3人。分からない票が3票。

「ノゾミが家族になるの賛成の人ー!」

「「「「「「賛成」」」」」」

全員がテーブルを叩いた。

「わーい」

と言って、何も考えてなさそうな子がテーブルを何回も叩き続ける。

「えっ………?」

私の幻覚じゃなければ、全員賛成した?

まさかこんな展開になるとは思わなかったので、振り上げた拳の落とし所が分からずアワアワする。

やれやれ顔のシロさんが

「この会議、意味ある?」

と言う。

「家族が増えるって感じするがするだろ?」

「やっぱり反対する人いないよね〜」

終始ニコニコしていた車椅子の女の子が、私に向かって親しげに話しかけてくれた。あの顔を顰めていたバッテンの男の子さえ、私に

「よろしく」

と言って握手をしてくれる。

「え、ちょっ、良いんですか?!そんな簡単に……。だって食費とか、寝床とか……。私、大した事出来ませんよ!」

その証拠に、就活は惨敗している。私は社会に必要とされるスキルを一切、持っていない。いらない子だった。

「マジか!お前、何も出来ないのか?」

黒金さんがショックを受けた様に体をのけぞってから、私を憐れむ目で見る。

「そうです。生活は全部親が支えてくれていたので、家事はほとんど出来ません。バイトもレジとか掃除くらいしかした事が無いです。出来る事も美術系に特化しているので、役に立てません……」

美術や娯楽は、生活に必要の無いものだ。この世界で即戦力になれる自信が無い。

私の専攻はデジタル技術を利用するモノで、この世界で同じ事が出来るか分からない。

あんなにお世話になるつもりだったが、こうもアッサリ受け入れられると自分が無力過ぎて申し訳なくなる。

「なーんだ!俺よりはマシだな」

黒金さんは太陽みたいにニッと笑って、親指を立てた。

「俺も最初は何も出来なかった。自分で服を着る方法すら知らなかったんだ。それに比べれば、ノゾミの悩みは次元が高いぞ!自信持て!」

「えぇ〜?」

服を着る方法すら分からないなんて、どんな生活をしていたんだろう……。

シロさんと車椅子の女の子が黒金さんを見てやわらかく笑う。

「ここにいるみんな、同じだ。いや、ボムはしっかりしてたな」

「いひひー」

あのテーブルをバンバン叩いていた子が、照れ臭そうに体をモジモジさせる。

「だから大丈夫だ!」

「うう〜〜!」

黒金さんの言葉で最近のストレスが洗い流される。

自分がいらない子だとか、卑屈になっていたのは就活の所為だ!

人間、生きてるだけで価値があるのに、スキルだなんだのに脳味噌を蝕まれていた。

お地蔵様の如く尊い笑顔をありがとうございます!

推せる。私は今日から、黒金さん教の信者になります。

「ノゾミも納得したみたいだし、親睦会するか!夕飯食べちゃったのはヒナだけか?」

「まだ食べれるよ」

ヒナと呼ばれたのは、車椅子の女の子だった。

黄色くてピョンピョンした頭が、ヒヨコっぽくて覚えやすい。

「それじゃあ、親睦会の準備でもしてくるっす。アチョーが」

「オレが準備するんですね」

ボムと呼ばれていた女の子が長身の少年の手を引き、口の両端にバッテンのある少年も無言で席を立つ。

それに続いて、首輪を付けた無口な少女が金属バットを持って部屋を出る。

私も手伝おうと思い立ち上がると、クロさんに止められた。

「みんなが戻ってくるまでにファミリーのルールを説明したい」

「はい!」

ファミリーのルール…。これだけの人数が共同生活をするのだからルールはあるべきだ。

これからは黒金さんと一つ屋根の下。

寝癖の付いた黒金さんと挨拶をしたり、お風呂上がりに遭遇したり、色々な事が起こっちゃうかもしれないっ!

背筋を正して黒金さんの言葉を待つ。

「ウチのルールは全部で3つ」

黒金さんが3本の指を立てる。

「1つ、問題があれば全員が納得するまで、とことん話し合う事」

1つ、問題があれば分かるまで話し合う事。

黒金さんらしくて素敵。一生推す!ラブちゅ!

「2つ、嘘を吐かない事。」

2つ、嘘を吐かない。これも人間として大事な事だ。

「最後に3つ、家族ファミリー内の恋愛は禁止。」

「へっ?」

「家族だからな!」

【のぞみメモ】

この世界の人間の色素はおかしい。

地球の法則を考えれば、有り得ない色素の人間がたくさん居る。

更に、夕飯のシチューの肉は『肉』と言われた。

何の動物の肉という概念がなく、『肉』というものがシチューに入っているらしい。

なんか怖い。


この世界が異世界にしろ、自分の夢の世界にしろ、空飛ぶレンコ……歯車に操られている世界にしろ、謎は多い。

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