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ドッペルゲンガー

作者: 排他的経済水域

前にとあるコンテストに応募したもののリメイクとなっています。


俺はそこそこ有名なモデルだ。

4年ほど前に東京に上京してきて、コンビニでバイトしながら大学に通っていた。

あの頃はあれで結構楽しかったな。

しかし、そんな俺の人生に転機が訪れたのは、

まだ夏休みに入って間もない頃、買い物に渋谷に行った時の事。

突然長身の男の人に声かけられたよ。

モデルのスカウトだったんだ。

スカウトなんて、物語の世界の話だと思っていた。それもまさか自分がスカウトされるとは……

顔にはまずまず自信があったが、そんな世界とは無縁の俺だったから、まさか自分がモデルやる事になるなんて思ってもみなかったよ。

一回だけ雑誌に載せてもらえるのかな?

とか思いながら引き受けたんだけど、内心俺も嬉しくて、実家の母と双子の弟に自慢してやった。

驚くべき事に、その一回だけ載った雑誌で俺は人気だった。

その後、事務所に所属する事になって、俺もかっこよくなろうと頑張って、いつしか4年の月日が流れていた。

つい最近大学を卒業したから、これからはモデル業に専念できる。

と、俺の事を語ってみたが、最近は一つ悩み事があるのだ。

いや、悩みというほどではない。

2ヶ月ほど前のことだが、俺のTwitterにこんなメッセージが届いたんだ。

「虎鉄君!今日岐阜駅に居ましたよね?下向いて暗い表情だったけど、大丈夫でしたか!?」


……岐阜駅?

俺は岐阜なんて行ったことないよ。

どうせソックリさんでしょ。

それか弟かな?

久しぶりに電話をしてみるが、弟も岐阜には行ってないという。

じゃあソックリさんで決まりだな。

そんな風にその日は特に気にも止めずにスマホを閉じた。

しかし、2度目の違和感は、それから1週間後のこと。

Twitterで、今度は名古屋で見かけたとメッセージが来たのだ。

またかよ……

名古屋は行ったことあるけど、それは小学生の時の話。だが、今回は写真までついていたのだ。

ソックリさんだよ……

そう思いながらも、心のどこかで疑問を抱えていた。

それからは、何度も何度も俺の目撃情報が集まってきて、それも少しずつ俺に近づいているのだ。

疑問は不安に変わった。

ひょっとして前に都市伝説で見た、

ドッペルゲンガー

というやつなのではないだろうか?

会うと死んでしまうあの……

まさか……とは思いつつも、この不安をぬぐいたくて、神社に行ってみる事にした。

優しく、全てを包み込んでくれそうなお坊さんにこのことを話してみると、こう言ったんだ。

「その写真とか見せてもらえますか?」

すると、お坊さんは難しい顔をして、

「この写真に写っている人は確かにこの世の者ではない。しかし、貴方に対して何か害をなそうとはしていません。安心しても大丈夫ですよ。」


この言葉を聞いて、俺はほっとしたよ。

この数ヶ月俺の頭を悩ませていた種の正体が分かったのだがら。

俺には関係ないのなら、気にしてはダメだ。

そう思うと心が軽くなって久しぶりに明るい気分になれた。

それから俺はこの件については、忘れて仕事に熱中出来るようになったのだ。




数ヶ月後……

あいつは突然俺の前に現れた。

夜道を歩いていたらいつのまにか前にいた。

同じ服装、背丈、体格、顔……

違うのは表情だけ……

何が俺には害をなさないだ

来ちまったじゃねえか、

逃げようとするのに体が言うことを聞かない。

見たくもないのに視線を外せない。

そいつはゆっくりと顔を上げて、

おれとめをあわせる。

しぬ。

本能的にそう感じて、いつの間にやら涙も出ていた。

俺を見つめたそいつは足を前に……

近づき……そのまま通り過ぎていった。

なんだ?殺さないのか?

助かった。という安堵が俺の硬直した体から力を奪ってその場で倒れ込んでしまった。

初めて感じた死の恐怖。

そこから奪還できたことが奇跡のように感じる。

深いため息をついて、改めて自分の生を確認。

お坊さんの言っていた事は本当だったんだ。

あいつは俺に害を加えなかった。

その代わり弟は死んだ。




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