王国移住にて.その2
不遇職、回復魔術師。
その職はポーションが発明されてから不遇や最弱と呼ばれてきた。
回復魔術師という職業に適正があった場合、将来は絶望的であり、貴族などの高い階級の家系に産まれた場合、恥として扱われる事がある。
エドもそのうちの一人であった...。
エドという名前には苗字が無かった。
いや、昔あったのだが、エドという名をもらってからは家名を名乗ることは無かった。
苗字、つまり家名が無いということは階級としては平民以下の地位や事情のある者達のことを指すのである。
農民にも家名はあり、家名が無い場合は孤児院や捨て子なのを拾われた、また罪を犯して名を取り上げられたか等の理由がほとんどである。
そんな人物、しかも回復魔術師が五大英雄として扱われる、それをよく思わない者も当然いた。
恐らく今回の濡れ衣騒動もそういった者たちによる行動だろう。
6年前、魔森林の魔女、のちの五大英雄ジョアン・ガーナルルにエドという名前を与えられる前はモア・ルーズベルという名前で呼ばれており、ちゃんと家名があった。
ルーズベル家というとツィーロン・フロイド国の大貴族で代々、強力な固有スキルを保有している事で有名であった。
しかし、その中から回復魔術師が産まれてきたのだ。
そう、モア・ルーズベルである。
産まれた当初は祝福された、スキルが強力であったからである。
術式変換、それがモア・ルーズベルが持って産まれた才であり固有スキルである。
能力の内容としては魔術を放つ際、相手、または自分の術式内容を変形させる能力である、例えばマッチ程の火を起こす術式を使う際、術式変換を使用すると発火系術式の内容が爆発を起こす術式に変貌していき爆裂系統の術式へと変化するのである。
これに一族は大いに喜んだ。
どんな魔法でさえ神話級威力へと変化するのだ。
しかし、8歳の頃与えられた職が回復魔術師だと分かったとたん環境は変化した。
それから魔森林に捨てられるまでの4年間、酷い生活を受けた。
出来損ない、失望した、我が家の恥、そんな事を言われ続け、何かと比較されるのは当たり前になっていた。
しかし、2年間そんな生活に耐える事が出来たのは妹の存在が大きかった。
6歳下のクレイラ・ルーズベルである。
妹も強力な固有スキルを保有しており6歳の頃の適正試験ではパラディンという希少職を職として与えられた。
固有スキルも領域瞬斬という間合いに入ったものを1度だけ瞬きの間に切断するという強力なスキルであった。
モアはそんな妹と比べられてきたが、実の妹は兄であるモアにとても良くしてくれたのだ。
妹はすでに17歳であり、恐らくは学校などに通っている頃だろう。
妹は元気だろうか。
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朝、目が覚める。
昔の夢を見た、妹と野原で花を摘むという懐かしい夢。
ふと顔を右にするとそこにはフィアネッタ皇女がぐっすりと寝ていた。
時計の針は朝の4時を刺しており3時間の睡眠をとった事となる。
エドは急いで私物をまとめ、朝5時、フィアネッタが寝ているうちに置き手紙を書き旅立つのであった。
名前.クレイラ・ルーズベル
種族.人間
職業.パラディン
兄と同じ白髪であり兄とは違い赤い瞳を持っている
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名前.モア・ルーズベル
種族.人間
職業.回復魔術師
エドの子供の頃、この時は顔に覇気があり、目にくまも無く、ハッキリとした顔をしている
妹とは違い目の色は青。
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名前. ジョアン・ガーナルル
種族.ダークエルフ
職業、ウィザード
魔森林の魔女、のちの五大英雄であり、エドという名前を与え、生き方を教えてくれたエドにとっての師。
ナイスボディの色気漂う大人の女性である