4:孤独の青
ノクスによって経済とインフラを崩壊されつつある東の国、リアルール。かつて賑わった首都は、閑散としていた。
その街路の一角で、一人の男が佇んでいた。青竜のカイラスである。
カイラスは、地味で目立たない復興技師の姿に偽装していた。彼の使命は、リアルールのすべての水路、空路、陸路の物流の流れを掌握することだった。
「この港の再建予定は...二年はかかるか」
カイラスは、崩壊しつつある経済を立て直し、人を呼び込む、手に持った地図に細かく書き込みをしていた。周辺国の物資の流れや、リアルールに入り込もうとする商船の航路を静かに探知している。
(ヴァルカン殿たちの商会が中央国アラキラで経済を牛耳るまで、リアルールの物流は完全に停滞させておかなければならないから、うーん、あと半年くらいかな。)
彼は五竜の中でも最も理性的で感情を表に出やすいタイプだが、この単調な任務が楽しみでたまらなかった。
カイラスは、埃だらけになった手で、自分の右手の人差し指にふれた。姿替えのリングが隠されている場所だ。
「ヴァルカン殿たちは金の渦を生んでいる。だけど、僕の使命は、物流の停滞。地味かなぁ。」
彼は、独り言を漏らした。
「このリアルールの物流を支配し、混乱を固定化することが、我々ドラゴニア王国の勝利に繋がる。しかし、いつまで死んだ物流ルートの監視を続けねばならないんだろう...」
ため息を漏らす
「ノクス様、ヴァルカン殿みたいに番に出会いたいなぁ。」
カイラスは、青竜という種族の持つ知性と警戒心から、王の命令に忠実であり続けた。だが、内面に溜まる欲求は深い。他の竜が番を見つけ、完全な姿を取り戻すのではないかという静かな恐怖が、彼の心を支配していた。
その夜。カイラスは、下町にある隠れ家で、王に報告するための詳細な文書を生成していた。
『東の国リアルールは、物流の主要経路の機能不全が継続しており、復興の見込みはなし。周辺国が介入し、物資を横流しする兆候もなし。引き続き、すべての輸送経路の監視を継続する』
報告を終えたカイラスは、西と中央の空に目を向けた。
「ヴァルカン殿、ノヴァ殿...君たちが作った金の渦無駄にはしません。僕も、ノクス様の計画を盤石にした上で、この不完全な姿から必ず解放されてみせる」
青竜カイラスは、孤独な任務の中で、王への忠誠と、自分自身の望みを満たす決意を固め、東の国リアルールという最も地味な物流の支配を護り続けるのであった。
「番どこにいるんだろーなー。」




