桜町 玲羅
今回は、桜町先生視点です。
なかなか主人公視点書けないなぁ
最近、Twitter始めました。
ただ、何をすれば良いのかわかりません。
みなさんTwitterで何してるんです?
「つまり、ここは魔法が存在する不思議な異世界で、私達はその魔法でこの世界につれてこられたと。」
「だから何度もそう言っている。」
改めて確認するも、返ってくるのは無情な短い肯定の言葉です。
はっきり言って、そう簡単に信じられるものではありません。
けれど、全否定するわけにもいきません。
教室での謎の発光現象。そして浮遊感と意識の暗転。
目が覚めた場所は、木造屋敷の一室。
その窓から見えたのは、それなりに遠方にあるのに大きく見える、樹齢何千年かと言いたくなる樹木が乱立する樹海。その積雪や周りの雲から富士山よりはるかに高いことが伺える山脈。
何か異常事態が起きている。それも、常識では測れない何かが。
そう思うには、充分な様々な出来事。
けれど、何かのトリックの産物だという可能性も捨てきれません。
今対面している、このベアトリクスさんもそう。どう見ても中学生ぐらいにしか見えないけれど、聞くところによると私より年上だそう。そもそも人間ではなく、ハイエルフという種族だと言われました。
確かに耳は尖ってるし、髪は緑だし、すごく大人びた雰囲気で、そうなのかもしれないとも思う。
けれど、特殊メイクや染髪で見ためはどうとでもできるし、大人びた子供や、子供に見える大人だっていないわけじゃない。
そのため、証拠を出すよう要求してみるも…
『それはもう既に一度出した。詳細は、そこの千吉良とかいう小僧に聞け。そして私は同じことを、無駄に何度も繰り返すつもりはない。そもそも私には、お前達に優しく説明してやる義務も必要もないのだからな。』
と言われてしまった。
そのため千吉良君に、その“証拠”の内容を聞いてみるも…
『あ…ありのまま、今起こった事を話すぜ!
俺は普通に、このベアトリクスさんとお話をしていたんだ。そしたら突然の大空への瞬間移動!からの強制武〇術!そして弾幕ゲームに、極めつけは女神の天啓!
な…何を言っているのかわからねーと思うが、俺も何をされたのかわからなかった…。
頭がどうにかなりそうだった…。
錯覚だとかトリックだとか、そんなチャチなもんじゃあ断じてねえ。
もっと恐ろしいものの片鱗を、味わったぜ…
…あのぅ、誰か突っ込んでくれない?』
どうやら、パニックを起こして頭がおかしくなってしまったようです。まあ、こんなわけのわからない状況の中、仕方ないのかもしれません。
ひとまず、真偽の程はおいておくしかないでしょう。
そう思ったとき、突然榊さんが立ち上がった。自己紹介以降、全く話に加わる様子がなかったので、少し驚いてしまいました。
けれど、本当に驚いたのはここからでした。
榊さんが、徐に掌をベアトリクスさんに向けると…
「「「ニャー」」」
「「!」」
そこから黒猫が、勢いよく跳び出てきました。いえ、正確に言えば、猫の形をした黒い何かの液体。さらに最初一匹だったのが、途中で三匹に増えました。しかも、一匹あたりの体積が変わっていません。
出てきた猫は、ベアトリクスさんの目の前で何か透明な壁があるかのように張り付いて、モゾモゾと動いている。
私はその、明らかに物理法則を無視した現象に呆気にとられていました。
それは、先に証拠を見せられたという、千吉良君も多少の差はあれど同じなようでした。
「ほう。もう既に自らのユニークスキルを把握していたか。それも眷属を産み出す力とは、珍しいな。しかもお主のは、かなり応用がきくようだし。榊とやら、お前さん才能あるぞ。」
「そう。」
そう言うと、榊さんは黒い液体の猫───ややこしいから液体猫と呼びましょう───を手元に戻し、本当の猫にするように膝に乗せてなで始めました。
「えっと…」
いったい、榊さんは何がしたかったのか。さすがに、その液体猫を自慢したかったわけではない、と思う。それから攻撃の類とも思えない。というかその液体猫はなんなのか。ユニークスキル?というのが関係しているのか。
確かにここが、ファンタジーがまかり通る世界なんだということはわかったものの、新たな疑問が大量に出てきてしまった。
と、そこまで考えたところで、榊さんはもしかして、私に教えてくれたのでは?そう思った。
口数が少ない子ではあるけど、積極的に雑用や学級委員などの誰もやりたがらないことをするなど、とても責任感や思いやりのある子だ。…内申点狙いもあるかもしれませんが。
榊さんとは、目覚めた部屋から出て、長い廊下を進んだところで合流しました。
あの部屋を出ると、そこには長い廊下の突き当たりでした。その廊下には、ホテルの廊下のように扉が複数ついていました。
それから、私がさっきまでいた部屋の扉はもう開けることができませんでした。
どうやらオートロックなようです。
廊下を進んでいく。いったいここはどこなのか、生徒達は無事なのか。わからないことだらけで、不安ばかり膨らみます。
けれど途中で榊さんに会って、私はとても安堵した。してしまった。榊さんの無事より、榊さんという頼りになる人に会えたことに安堵してしまった。彼女は学生で私は先生、それも彼女の担任なのに。
榊さんは物静かで、滅多に喋らない。もしかすると私より大人に見えるかもしれない。それは、私より背が高いのも有るかもしれないど。
今思えば、担任になったときから、色々助けられてばかりだった気がします。
ここに来るときだって、先導してたのは榊さんだ。
今もまた、助けられてしまいました。
おかげで、指針ははっきりした。
ここは、ファンタジーに溢れた摩訶不思議な世界。
そんな世界につれてこられてしまった私達は、生き残らなければならない。そして今のところ、目の前のこのベアトリクスさんしか頼れる相手はいない。
この人の為人もわからない。けれど、他に選択肢もない。
もしもの時は、生徒達だけでも…
私は、この子達の担任なのだから。
最近、とあるVチューバーにはまってまして。
『かすみみたま』さんて言うんですけど。
怪談朗読をメインに活動してる、幽霊系Vチューバーさんです。
声優を目指していただけあって、すごく声が良いんですよ。
次は幽霊が主人公の話でも書こうかなぁ。
またかって言われそう。