千吉良 弥 :2
読者の方からアドバイスを頂き、ドアを開けるときの描写を少し変えました。
それから前々話のタイトルを変更しています。
他にも、いくらか細かな加筆修整をしています。
話の内容には特に影響はありません。
「は?」
予想外の出来事に、俺は驚きのあまり固まる。
扉を開けて入ってきたのは、中学生ぐらいに見える少女。
しかも髪の毛は緑だ。腰下まである長い髪は、癖の無いストレートで柔らかそう。目は青色で、とても綺麗な輝きをしている。肌は日に当たったことが無いのかと思うくらい白く。顔は、見たことないくらい整っている。整いすぎて、青い目や白い肌と相まって、人間味が薄れて感じる程だ。
服は、あれだ、ローブっていうんだっけ?アニメとかで、魔法使いとかが着てそうな服。黒地に、銀で蔦のような模様が施されていて、なんかすごく高そう。
手には、これまた魔法使いが持ってそうな大きな杖。少女の身の丈より長く、蔦が絡まりあったような造形で、先端には緑色の綺麗な石が嵌め込まれている。
うん。コスプレかな?中学生の女の子が、何のキャラか知らないが、ものすごくクオリティーの高いコスプレをしている。しかもなんか、髪の間から耳の先っぽっぽいのが覗いてるし、エルフか?
ただ、俺が驚いたのは、エルフのコスプレした超絶美少女が部屋に入って来たことにじゃない。いや、それも驚いたけど、それ以上に驚くべきことがあった。
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計測結果
戦力値:527002151451296717
(計測精度87.9%)
魔力値:778965451243319
(計測精度89.8%)
体力値:348629
(計測精度92.1%)
術位:SS
(計測精度45.2%)
武位:A
(計測精度62.1%)
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ナニコレ?
それはぱっと見、光の板だ。
緑色の蛍光色で、文字と枠がぼんやり光ってる。SFでよく見る立体映像みたいだ。
いや、ほんと何これ。俺が、このコスプレ美少女ちゃんを認識した瞬間、視界に唐突に現れたんだ。
魔力とか、なんかファンタジーなことが書いてあるが、俺はこれをどうすればいいんだ?全く持って謎だ。
ものすごいクオリティーの高いコスプレをした美少女は、まだわかる。いや、なんでこの状況でとか、納得いかないことはたくさんあるが、呑み込むことはできる。
だがこれはダメだろ。画面や夢の中ならともかく、これは現実だ。俺に明晰夢を見る才能は無い。
「何をそんなに呆けている。」
俺が、その謎の光の板に気をとられていると、コスプレ美少女ちゃんから声をかけられた。初めて聞く、とても澄んだ声だ。
なぜかちょっと偉そうだが。
「あ、あー、えーと。」
ヤバイ、なんて言えばいいんだ?というかこの状況、どういう対応をするのが正解なんだ?
ただでさえ、わからないことだらけでテンパってるのに、こんな芸能人顔負けな美少女に声をかけられて、まともに頭が働くはずがない。平均的な、男子高校生レベルのコミュ力しかない俺なら尚更だ。
そんな俺がなんとか絞り出した言葉は…
「き、君は誰だい?」
という、なんとも妙な問いかけだった。
だいたいなんだよ『君』て。その二人称が許されるのはイケメンだけだ。
「大体察しはついているんじゃないか?お前達の狙いは、どうせ私の力か研究成果だろ?」
だがそんな俺より、もっとわけのわからないことを、このコスプレ美少女ちゃんは言ってきた。
いや、全くこれっぽっちの察しもついてないから聞いたんですけど。
というか力とか研究成果とか、何言っちゃってんの?
これはあれかな?中二病かな?
偉そうな口調とかも、ちょうどこのぐらいの年齢ならこういうのに憧れたりもするし、仕方ないね。
「…なぜかお前の顔を見ていたら、腹が立ってきたんだが。何か失礼なことを考えていないだろうな。」
「イヤダナァ、ソンナコトナイヨ?」
「そんなに棒読みで、目を泳がしながら言っても説得力は皆無だ。」
「…マジか~」
思わずそうこぼすと、美少女ちゃんにとても残念な物を見る目で見られた。ひどくない?
「はぁ、まあいい。それより、色々答えてもらうぞ。ちなみに、嘘を言ったり素直に吐かない場合は、それ相応の処置をするので覚悟するように。」
後半、なんか物騒なんだけど、冗談だよな?
「まずひとつ目。お前達はどこの国の者だ?」
「え、日本ですけど。」
「?それはどこの国だ?」
正直に答えたら、そんなことを聞かれた。
「え、日本だよ?知らない?ほら、ジャパンだよジャパン。あーほら、アニメや漫画の国ジャパン。」
「知らん。なんだその国は。最近できた国か?それとも別の大陸の小国か?」
日本語じゃダメなのかと思ってそう言ったら、とても困惑した顔でそんなことを言われた。
とりあえず否定しておいたが、いまいち信じられていない気がする。
その後も、「ユーラシア大陸」や「アジア」。「サムライ」に「ニンジャ」なんてのも挙げ。ついには「チャイナ」「アメリカ」「USA」なんてのも言ってみたが、結局どれも通じなかった。
しかもなんか、そのたびに美少女ちゃんの表情がどんどん曇っていく。
もうね、俺、どうしたらいいかわかんなくなったよ。
「あー、もういい。そのあたりのことは他の奴らに聞く。」
「他の奴らって、もしかしてクラスメイトもいるのか?」
『他の奴ら』その言葉に、ハッとした。さっきも、『お前達』とか言ってたし、もしかするとクラスメイトもここに連れてこられたのかもしれない。そう思い、問いかけてみると、とんでもない応えが帰ってきた。
「クラスメイトが何かは知らんが、お前のお仲間なら、お前と同じようにそれぞれ寝かせている。まあ、未だ目覚めたのはお前だけだがな。それにしても、お前達の上司はどれだけ頭がおめでたいんだ。お前達みたいな女子供を刺客として送りこんでくるとは。視た限り、特別な訓練を受けたわけでも無いようだし。気絶から目覚めるのも遅すぎる。せっかくの魔力やユニークスキルも、これでは宝の持ち腐れだ。あの結界を破るくらいだからどんな猛者かと思えば、拍子抜けしたぞ。」
次回更新は未定です