動き出す
遅くなり、すみません。
「一つ、提案があります」
そう俺が答えてからコンマ数数秒、会議室内がざわざわと騒がしくなる。
(そらそうなるわな……)
会長が答えるのを待っていたらどこのどいつとも知れないやつがいきなり手を挙げて喋りだしたのだ。
ふつう、なんだあいつ? てなるだろな。
ま、それは別にいい。
俺は会長の方を向いて、話してもよいか聞く。
「あぁ、とりあえず言ってみてくれ」
そう許可されたので、
「ありがとうございます」
と小さく会長に礼をしたのち、前に向き直ってから
「規約を変えてはいかがですか?」
と、提案する。
「「「は?」」」
その一言で、会議室内はより一層騒がしくなる。
今、ここにいる人たちの頭のなかは疑問と、俺に対する不信感とでごちゃ混ぜになっているだろう。
それを言葉に出して、整理しようとしているところか。
……いやまぁ、適当こいただけで合ってるとは思えないが。
それよりも、いい加減進めないとか。
「えぇと、ですね、規約を変えるといってもそんな大それたことではありません。規約を変えること自体はあっちのグループとこっちのグループの人数だけで出来ます。ですよね、会長」
俺が目配せをすると会長は小さく頷いた。
「と、いうことでこっからが本題なんですけど、規約の『教員の許可』のところを『実行委員全員の内3分の2以上の賛成を得たものに限り、教員の許可、不許可の判断の対象とする』と言った文言に変えては? と言うものです」
ここまで息継ぎ無し。
……きっつ。
息を少し落ちつかしてから、周りの状況を見る。
反応は様々だ。
ぽかんとしている人。
何か考えてる人。
友達と話している人。
さぁて、ここからどうするか。
見切り発車なところもだいぶあったしな。
正直言うとこっから先は何も考えてない。
ちらと会長を見やる。
すると、会長と目があった。
会長は数回目をぱちくりしたあと『あっ』という感じで目を開いた。
『なんですか?』
と、視線で問う。
それに会長はちょいちょい、と俺を呼んだ。
そちらに向かってから、
「なんですか?」
と、今度は口に出して聞く。
それに対して会長は、
「えぇと、その、言いたいことは分かるよ?」
と、前置きをしてから、
「ただ、これじゃあ根本的には解決してないと思う。分かってる?」
そう聞いてきた。
「まぁ、一応は。結局、多数決で押しきるだけですからね」
「うん」
「だけど、そうでもしないと進展はない」
「そこだよねぇ、そこ。難しいところだよ」
会長は、はぁ、と小さくため息をついてから
「やっぱ、こうゆうのは慣れないなぁ……」
と、これまた小さく呟いた。
「会長ならこうゆうの慣れてると思ったんですけどね」
「どうして?」
そう返してきた会長。
さぁて、どう返したものか。
下手な手を打って地雷を踏み抜かないようしないと。
そう考え、
「イメージ、ですかね?」
と、なんとも言えない答えを返してしまう。
「あはは、だと思った。けど」
「けど?」
「それってさ、イメージがあるだけで実積は無いって言われてるようなもんなんだよね、こっちからしたら」
「そんなことないと思いますけど」
「じゃあさ、私のやったこと言ってみて?」
「……」
そう言われると言葉に詰まる。
確かにイメージだけで、何かをした、というのはあまり聞かない。
「まぁ、話が変な方向いってるけどさ私としてはなにか爪跡のこしたいんだよね『私がこうしたんだぞ』的な」
「……はぁ」
うん、まじでどこに終着させるつもりだ?
「まぁ、5割は私欲だね。残りの5割は……」
そこで区切って、市川さんと谷川の方を見てから会長は、
「友情、かな?」
恥ずかしそうに、けれども楽しそうにそう言った。
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