会議
遅れてしまい、本当にすみません。
「永山、これはなんだ。手抜きか?」
その言葉と共に返された『文化祭スローガン案(仮)』とパソコンで打ち込んだ文字が印字されているプリントには赤く大きな文字で
『やり直し、却下!』
と書かれていた。
「えと、なぜ?」
昨日の夜、徹夜で仕上げたのだ。
できとしてはまぁ、あれだが。
「なぜ、と言われても……え、分からない?」
「だから聞いてるんですが……」
「……あっ、そか。そうだよねぇ、あはは……」
話が噛み合わない。
「えぇと、どこがダメかっていうか、なんていうかなんだけど、全体的にダサい」
「はぁ……」
「センスが無い、とは違うんだよね。流行に乗り遅れてる感じ?」
「へぇ……」
「去年とかだったらこれもありかな、とは思うよ?」
「ほう……?」
「てなわけで、今回は却下」
あれ、ガチで話が噛み合ってない気がする。
「えぇと、会長。1つ聞きたいんですが……」
「うん、いいよ」
「えと、前頼まれた仕事って……」
「え、これじゃないの?」
困惑している。
や、当たり前だけど。
「いや、まぁ、それなんですけど、会長には『詳しいことは次回以降決めるからこれまでの他校のスローガンを調べてきて』って言われた気がするんですけど…」
「えっと……」
そうして、考え始める会長。
「思い出した思い出した。確か、スローガンを考えてくる、で、えぇと、内容が……あっ」
「思い、出しました?」
「うん、ばっちりと……」
良かった、気づいてくれたか。
「えぇと、ごめん……」
そういって素直に謝る会長。
「や、大丈夫です」
俺のその言葉に安堵するとともに何かに気づいたのか、はっと、驚いた顔をする会長。
「どうかしましたか?」
「私、知りもしない高校のスローガンばかにしてたってこと!?」
「……はい、多分」
「なんで先言わないかなぁ……」
「いや、なんか話噛み合ってないって気付いても話の途中で割り込むのって緊張しません?」
「確かに。ま、今回はほんとごめん。次から気を付ける」
「はい、そうしてください」
「ん。じゃ、会議始めますか」
「そうですね。じゃ、戻ります」
「ほーい」
席に戻ると、須藤が
「なに話してたんですか?」
と、聞いてきた。
どうしたものか。
いや、言ったところでどうもしないとは思うが。
「あぁ、前頼まれてた仕事、間違いがあったらしくて」
「そですか。次は気を付けないとですね」
「ははは……」
結局、誤魔化すことにしたはいいが、自分で選んだことだとしても、こう言われると今からでも訂正したい。
その後、会議はつつがなく終わり、簡単な業務連絡の後、ほどなくして解散となった。
案の定、仕事は押し付けられましたとさ。
次の時忘れてたら承知しねぇぞ。
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