表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
59/71

ダッシュ

「こんにちは。先程のレインの件、返信のメールにコード貼っていただけるとありがたいです。よろしくお願いします」


 会長に送るメールの文を打ち終え、文面をチェックする。

 失礼じゃないか、敬語を使えているか、キモくないか、ウザくないか。


 確認をし、送信する。


『送信完了』


 そのメッセージが画面に現れて、緊張の糸がほぐれた。


「ふう……」


 普段、メールなんて使わないからか、とても疲れた。

 しかも、メールだと既読通知がつかない。

 そうすると、いつまでもそわそわする。


「そこが、メールの不便なとこだよなぁ……」


 つい、独り言をもらしてしまう。

 それに雪は当然反応して、


「だよねぇ、めんどいよね」


 と、返してきた。


「だよなぁ。既読があるかないかって、結構違うよな」

「うんうん。既読機能があればつかないなら、見てないんだなとか、ついても、返信がないなら、今時間ないのかなとか、考えられるんだけどね」

「ほんとそれ。メールだとそこがなぁ……」

「うんうん」


 変なところで息が合った。

 とはいっても、これは既読機能があるメッセージアプリ使っている人のほとんどが思ってそう。


 話が一段落し、スマホのスリープを解除すると、


「おっ」


 メールが来たというメッセージが来た。

 実質2回来た。


 ……。


 ……。


 さすがにこれはだめだわ。


 メール見よ。


 メールを開くと、そこには、レインのコードが貼ってあり、それをメール経由でレインの友達に追加する。


 すると、委員会グループに招待された。

 もちろん、入る。


 で、


 この後どうすんだ。

 挨拶でもすんのか?

 つっても、俺のことを記憶してるやつが果たしているのだろうか。

 一応、委員会の自己紹介では挨拶をしたにはしたが。


「雪ー」


 今すぐそれを聞ける人が雪しかいないので、とりあえず呼ぶ。


「めんどくさそうだからパス」

「俺まだ何も言ってねぇが?」

「いや、どうせ自己紹介がなんたらでしょ、タイミング的に」

「それ」

「でしょ? そんなものパパっと自己紹介書いて送っときゃいいの」

「ほう」

「その時には変なこと、例えば趣味とか好きなものとか書かなくてもいい。あくまで委員会だけの関わりにするなら」

「ほう」

「そうだなぁ、例えば『こんにちは。1年6組永山健です。短い間ですが、よろしくお願いします』的な感じでいい。インパクトを残す必要なんてない。どうせ兄貴のことだし、その後の関係なんて要らないでしょ?」

「お、おう」


 この子は俺を何だと思ってるんだ?


 とりあえず、雪の言う通りにメッセージを作って、送信する。


 すると、すぐに既読がつき、『よろしく』だとか『こちらこそ』とか『おう』とかそんな感じでメッセージが返ってきた。


「雪ー、これ返信する必よぅ……」

「ない」

「ですよねぇ……」


 こっわ。

 もう、レイン関係で雪に話を聞くのはよそう。 




 土日ともに、怠惰な、理想的な夏休みを送り、迎えた月曜日。

 俺は委員会に向かって、


 走っている。


 端的に言うと、遅刻しそう、誰か助けて。

 いやまじで。

 誰でもいいから早よワープマシン作れ下さいお願いします。


 現在時刻、9時50分。

 ここから学校まで、ダッシュで行けば5分もかからないだろう。

 が、そこからが問題。


「会議室どこだよ、ちくしょう!」


 校内を回ったことなんてまともにないし、今まで3年の空き教室を使っていて、夏休みからようやく会議室の使用許可が下りたそうな。

 それはいいことだし、文句を言う気はないのだが、せめて地図を貼ってくれ会長。


 とりあえず、ここで時間を短縮して、向こうで使える時間を増やさないと。


 そんなことを思いながら全力疾走していたら、学校が見えてきた。


(あと少しっ!)


 そう思いながら学校に入り、靴を履き替える。


「はぁっ、はぁっ、たくっ、どこだよ会議室って……」


 そんな悪態をついてる暇すらないのだがつくことでしか落ち着けない。

 アラームの数を増やさなくちゃな。


「健君、遅いですよ! こっちです!」


 その声は、少し離れたところから聞こえてきた。

 誰だか知らんがとりあえず、今はその声に従うしかない。


 あぁ、もう。

 疲れた!



 

読んでくださり、ありがとうございます!

よろしければ、ブックマーク、評価のほどよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ