買い物
「めっちゃ混んでんな……」
「想像以上だよ……」
ショッピングモールはとても混んでいた。
まあ、休日だし当たり前か。
「ままぁー」
「こらっ、離れちゃダメって言ったでしょ?」
「なー、あそことかどうよ?」
「おー、いいじゃん」
「だろ?」
「たくさん人がいますねぇ」
「そうだねぇ」
「迷子にならないように気を付けましょうねぇ」
と、いった具合に老若男女入り乱れてる。
親子連れやカップル、友達グループ、ここら辺はまあいるだろうなとは思っていたが、お年寄りの方もいるとはな。
決めつけはだめだなー。
「てかこれ、知り合いもいるんじゃね?」
「うん。多分高校の子何人かはいるんじゃないかな?」
「まじかよ」
「ん? なんかあった?」
「え?」
「ん?」
「あー、気付いてないならいいわ。むしろそっちのが楽」
「ふーん。ま、いっか」
「あぁ」
「じゃあさ、どこから回る?」
「んー、左か右か?」
「うん、そだよー」
「じゃあ、左、かな」
「うん、じゃ、行こっか」
「いいんじゃない?」
左回りでモールを散策中、
『この店入ろ!』
と香野が言ってきたので二つ返事で
『いいぞー』
と、行って入った店。
だが失念していた。
こいつはしっかり女の子なのだ。
そんな女の子が入る店だ。
普通に考えたら、男子が入るべきじゃないんだよなー。
「だよね! これ、可愛いよね!」
と、見せてくるのはよく分からんマスコットキャラクター。
可愛いとは思うが男子が可愛いと言っていいものなのか。
なぞだ。
いやまぁ、大丈夫か。
「うん、可愛いとは思うぞ」
「……え? 今、なんて?」
「え、可愛いって」
「え、ほんと? ほんとに可愛い?」
「いや、まあ」
「よかったー……! 周りの友達はみんな可愛くないって言ってきてさー……!」
「お、おう」
俺の流行からワンテンポ、ツーテンポ遅れた感性より、友達の流行の最先端の感性の方が信用できると思うぞ?
「やっぱ可愛いよね。よし、これ買う!」
「お、なら出そうか?」
「え、いいの? 高いよ?」
「いや、つってもそんな高くないだろうし。なんならもう1個ぐらい選んでもいいぞ?」
まあ、色々世話になってるし、お礼を兼ねて買っときたいんだよな。
一応、財布の中はたんまり入ってるし。
「じゃあ、これ」
「それ、同じ、じゃないか?」
「うん、色違い」
「あー、あれか。観賞用、保存用、布教用的なノリね」
「え、違う……よ?」
「ん? 親にあげたりすんのか?」
「……たけ……んに……」
「お?」
「……健君に……」
「へ? 俺?」
「う、ん……」
「そう、か……」
「……ダメ?」
「いや、その、ほい」
そう言って、手を差し出す。
「え?」
「ほら、渡して」
「あ、うん。いい、の?」
「まぁ、うん」
「よかったー……」
俺、弱いなー。
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