移動
「ほい、コーヒー」
「あ、ありがと」
近場のコンビニで仕入れたコーヒー。
それを渡しながら、気になってたことを聞く。
「にしても、お前まで飲む必要性あったか?」
「んー、ない、かも……」
「だろ。てかお前コーヒー苦手、じゃ?」
「あ、え……うん? そんなこと、ないよ?」
「あー、誤魔化さんでいい。別の買い行くぞ」
「え、でもこれ」
「あー、俺が飲む。まだ口つけてないだろ?」
「あ、うん」
「じゃ、とりあえず行くか」
「うん」
なんか視線感じるが気のせいだろう。
どうせさっきのやつらと同じやろ。
「とりあえず、どこ行く?」
「うーん、特に決めてはいないんだよね」
「そうだよなー……」
「うーん……」
どっか行くところ無いかなあ。
ある程度暇潰せて、それでいて楽しめる場所。
(うーむ)
まじでないぞ?
どうする、俺。
(このまま帰るのだけは、なんか嫌なんよな)
さあ、どうする。
ここは、駅ビル。
近くには大型ショッピングモールもある。
なら、ウィンドウショッピングか?
王道過ぎてつまらん。
「……ねぇ、……君」
ん?
「ねぇ、健君」
「お、おう。なんだ?」
「近くのショッピングモールでウィンドウショッピングはどう?」
「それいいな!」
「でしょ? そこなら本屋もあるし、暇潰しには最適じゃない?」
「そうだな、そうしよう」
「じゃ、行こっか」
「おー」
俺の意思は弱かった。
でも相手に合わせるのは大事だと思うぞ。
「どうすんの? これ」
「さすがにショッピングモールまでつけるのは危険かと」
「まー、普通はそうだよね」
「と、言いますと?」
「ショッピングモールに高校生、どう思う?」
「普通、ですかね? あっ」
「そう、そうゆうこと」
「いや、どゆこと?」
「つまりはですね、鈴さん。高校生がショッピングモールにいるのは普通ですよね?」
「まー、そうじゃない?」
「だとしたら、ですよ。私たちも、高校生ですよ?」
「あっ、そうゆうこと。じゃあ、行く?」
「もちろんです」
「なら、早めに行かないと。おいてかれるよ?」
「あっ、そうだね。んじゃ、行こー」
「はい」
「やっぱでかい、な……」
「でかい、ね……」
地元にもショッピングモール自体はあるんだが、その比ではない。
とにかく、でかい。
事前情報の倍はある。
「ここなら楽しめそうではあるが」
「なんか、迷子になりそう」
「だな」
「だよね」
「……」
「……」
「……」
「……その、だから、私から、離れないでね?」
それ言う立場逆なんだよなー。
なんか香野、俺が本来言うべきことを言ってくるのよね、今日。
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