お昼ごはん
「2名様でよろしいですか?」
「はい」
「ではこちらへ」
シャレオツ店員に案内されたのは窓側の、二人席。
窓の外には歩く人々。
それは無秩序に歩いているように見えて、けれど皆がそれぞれの目的を持って歩いている。
仕事だとか、散歩だとか、オシャレだとか。
「ね、どれにしよっか?」
「ん?」
「ほら」
香野から差し出されたのはメニュー表。
「お、サンキュ」
見てみる。
が、よく分からん。
よく分からんので適当に決めた。
まぁ、当たり前だが香野はまだ決まってない様子。
何かないかと周りを見渡すがなんにもない。
(こうゆう時ってスマホを出してもいいのか?)
純粋に疑問をもつ。
普通に考えたら出すべきでないとは思う。
とは言っても連絡の確認とかをするぐらいなら、とも思う。
め~んどくせ~!
どうにでもなれっ!
スマホを出そうとポケットに手を突っ込んだ時、
「決まった!」
香野が決め終わったようだ。
「健君は?」
「決まってるぞ」
「じゃ、頼もっか! すいませ~ん!」
「はーい、いま行きまーす」
店の奥から声が聞こえる。
しばらくして出てきたのはダンディーなおじさんだった。
うわー、かっけぇー。
「ご注文ですね?」
「はい。えぇと、私はこれです」
と、メニューを指しながら答える。
「男の子の方は?」
「あ、オムライスで」
「分かりました。しばしお待ちを」
そう言ってダンディーなおじさんは店の奥に戻っていった。
それを確認してから、
「あのおじさん、かっこよくなかったか!?」
「だよね!」
「いやー、あのレベルになるとこう、なんかすごい」
「うんうん分かる。語彙力がぁってなる感じ!」
「そうそれ!」
「でもああいう人も働いてるんだね」
「確かに。ここどっちかって言うと、若者の店員の方が人気的なのはありそうだけど」
「うーん、ここのオーナーさんとか?」
「あー、確かに。後は、シェフの方とか?」
「それもあるねぇ。謎は深まるばかりなのです」
「どこの探偵だよ」
「美少女探偵、美花。私にかかればどんな謎も男もいちころよっ!」
「うわー、いそう。しれっと『男も』って入れてるのがいいわぁ。分かってらっしゃる」
「でしょでしょー」
「しかもそんな事を言っておきながら実はポンコツで、部下の男に助けられてるとか」
「あー、その発想いいね!」
「だろ?」
「……」
「……」
「私たち、何を話してるんだろ」
「急にれいせにならないでくれ」
「ごめん」
「いや、俺も途中からなんかおかしいとは思ってたから」
「あははっ……」
「はははっ……」
虚しいな。
オムライス、はよ。
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