午後
「逃げてよかったの?」
鈴が開口一番聞いてきた。
教室に戻ってなにを言うかと思ったらそれか。
「あー、いいんじゃね?」
「えぇ……。でも普通に考えて逃げるはおかしいでしょ」
「いや、さ?」
「おかしいよね?」
「……」
「まぁ、別にいいんじゃない?」
隼が助け船を出してくれた。
「僕たちに迷惑かからなければ」
泥舟出されても困るんだが。
俺に沈めと?
や、もう沈んでるか。
「あー、まぁそれだけは気を付ける」
「ほんとによろしくね?」
「あー、ん」
「はぁ……」
「とりあえず、もう授業だから。じゃね」
「おーう、じゃあな鈴ー」
「じゃ、僕も戻るよ」
「んー」
そうして午後の授業が始まる。
さあ、戦いを始めよう。
眠気との戦いを。
キーンコーンカーンコーン
「んぁ……!」
終わったぁー!
後1時間だぁっ!
「あー、永山、ちょっと来い」
「……はい?」
「いいから」
「はぁ」
呼び出し食らったー。
用件が分かりきってるー。
そして今度も違う人からー。
「なんですか?」
一応ね、一応。
「いや、文化祭実行委員なんだが」
「あ、結構です」
「まぁ、そうだよなぁ。ま、考えるだけ考えとけ。やんなくてもいいから」
「はい」
「じゃ」
ほらやっぱり。
でも先生方は対応しっかりしてるな。
6時間目頑張るかー!
6時間目、終わった。
「あー……」
「どした?」
「いや、なんでもない」
「そう? ならいいけど。つーかさっさと帰れば?」
「あー、ん。帰る」
「じゃあねー」
「おう」
鈴は部活か?
もうそろテストだけどいつから部活停止なんだか。
部活やりながらあの成績はほんとすげぇなぁ。
「健くん、健くん」
「んぁ?」
「帰ります?」
「あーそうだな。香野は?」
「教室の前とかで待ってるのでは?」
「じゃ、先行っててくれ」
「はーい」
荷物まとめよ。
「遅い」
「これでも頑張ったんですがそれは」
「つべこべ言わない。さっさと帰って雪ちゃん看る」
「そうですよ? 勉強会が中止になるレベルですからね?」
「……はい」
勉強会のレベル地味に高いのね。
電車に揺られガタンゴトン。
もう次の駅で乗り換えだ。
てか終点や。
電車がホームの停車位置ぴったりの停まる。
もう神業だろ。
シミュレータやったけどオーバーランしたぞ?
2、30メートル。
大体、車両1台分ぐらい。
やばいな。
ドアが開き、人々は我先に我先に、と降り始める。
その波は改札を抜けるまでまとまっている。
「じゃあ、またー」
「じゃあねー」
「またですー」
そうして俺たちは別々の流れにのって歩き始める。
かっこよく言ったけどただ歩いてるだけやこれ。
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