実行委員
「で、雪ちゃんは?」
「ただの風邪だって」
「お、そうか。ならよかった」
「あぁ。で、もう戻っていい?」
「待て。後、敬語。いくら叔父さん相手だとしても今は担任なんだが?」
「いや、まぁ、はい」
「素直でよろしい。で、話なんだが」
「はい」
「文化祭の実行委員。やる気はないか?」
「はぁ……」
「まぁそんな反応になるのは分かる。取り敢えず期末が終わったらもう一回聞く。考えておいてくれ」
「まぁ、分かりました」
「話は以上。今日の授業のノートは鈴ちゃん辺りにでも借りておけ」
「はい。では」
そう別れの言葉を口にして職員室を後にする。
実行委員はめんどくさそうです。
なのでやりたくありません。
は通じないんでしょ。分かってる。
もっともらしい理由付けて断ったろ。
屋上に向かって歩いていたのはいいのだが、大事なことを思い出した。
(鍵、あいてんの?)
スマホを開いて香野にメッセージを送る。
「飯どこで食べてる?」
するとすぐに既読がついて、
『いつものところ』
と返信。
それに、
「分かった。今から行く」
とだけ書いて返信。
そしてスマホを閉じる。
屋上のドアの手前。
ここまでは普通に来れたのだが、いざこのドアを開けるとなると地味に緊張する。
授業中の教室に戻るのと同じ感覚だ。
「ふう……」
息を吐き、ドアを開ける。
どうせ知り合いしかいないしな!
ガタッ!
ギギギッ
と、建付の悪いドア代表みたいな音を出しながら開くドア。
そこから見える馴染みのある顔ぶれ、と知らない顔ぶれ。
ギギギッ
ガタッ!
え、今の誰!?
謎の勢力がいたんだが!?
と、俺が混乱していたその時、
ガタッ!
ギギギッ
と、ドアが開く。
「えぇと、健君……? とりあえず、入って?」
だそうだ。
何回開け閉めされるんだろうね、このドア。
ギギギッ
ガタッ!
何度目か分からなくなってきたぞ、この音聞くの。
「で、誰?」
とりあえずの質問。
素朴な疑問か?
「えぇと……。忘れました?」
「と、言いますと?」
「私たち、生徒会役員なんですが……」
あー、どっかで見たことあるわ。
どこかは忘れたが。
「で、その生徒会役員様方が俺になんの用ですか?」
「えぇとですね……」
まぁ、この人たちははっきり言ってどうでもいいんだが。
それよりも気になるのは。
香野含め5人のいつものメンバーだ。
あいつら普通に飯食べてるんだが。
後、会長に至ってはあなた働かなくていいんですか? と、思わなくもない。
まぁ、こんな下らないことを考える暇があるぐらい間が開いてから、
「文化祭の実行委員のことです」
多重攻撃は卑怯だぞ。
「で、それがなにか?」
「あ、はい。もう聖沢先生から話は聞いてますか?」
「まぁ」
「じゃあ説明は要りませんね。本題に入らせて頂きます」
「ん」
「実行委員、やってくれませんか?」
「テスト明けまで待ってくれんじゃなかった?」
理不尽の極み。
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