屋上
「うへぇ……」
やっと、やっと終わった……!
やっと昼休みだ……!
朝の須藤からの挨拶は俺の幸福度を大きく上げたが、その後の授業がすべてをなぎ払った。
なきものにした。
授業許すまじ。
そんなことを思いながら、席をたつ。
鍵を取りに行かなくてはならないからな。
席をたって教室から出ようとしていたら、
「健くん、一緒に行きません?」
と、須藤が誘ってきた。
別に拒否する必要もなかったので、
「ん。じゃ、行くぞ」
と、返答。
「はいっ!」
と、これまた素敵な笑顔の須藤さん。
やったぜ。
生徒会室に向かって歩いていると須藤が突然、
「あの、健くん」
と、俺の名前を呼んできた。
「ん? なんだ?」
「えぇと、ですね」
「うん」
「あの事は忘れてくれるとありがたいというかなんというか……」
「えぇと……?」
「だ、だからですねぇっ……!」
「昨日の帰りのことですっ!」
あっ、うん。
朝のゴタゴタで忘れてた。
そして今になって心臓バックバク。
ヤバイです。
「き、昨日のことね」
内心を悟られないように誤魔化したつもりだが多分誤魔化せてない。
「は、はい……。そ、その何て言うか、雰囲気に飲まれて口走ってしまったみたいなものなので、はい……。だから本音7割といいますか……」
逆に7割は本音なのかよ。
心臓が更にバックバクだぞ。
「わ、分かった。最善を尽くす」
何とか返答。
無難な答えになったはずだ。
「はい、よろしくお願いします……」
なってな。うん。
「じゃ、行くぞ」
「あっ、はい」
そしてきれいにこの話を終わらせる。
きれい、とは?
屋上。
本来は立ち入ることは出来ないはずの屋上。
多くの学校では立ち入ることが出来ないはず。
そんな屋上に立ち入ることがなぜ出来るのか、今更ながらに疑問に思い始めた。
「ってことで、どうしてですか? 会長」
「なにがっ!?」
この人俺たちの中ではポンコツを隠す気がないようです。
「あっ、言葉足らずでしたね。つまり、なんで俺たちの高校は屋上に入れるんですか?」
「言葉足らず過ぎない!? いやっ、いいんだけどね? でもそれか~……」
「なにか?」
「いや、その、えぇと、ね?」
「はぁ、何が言いたいんです?」
「ここ、本来生徒立ち入り禁止です、はい」
「「「「「はぁ?」」」」」
会長以外のここにいる全員が声をあげる。
とはいいつも全員薄々気づいていただろう。
どうせこんなことだろう、と。
だってあそこでごねてる時点で、ね。
「で、どういうことです?」
「えぇとその、本来は使用不可なの。だけどそこを色々して、実質解放的なノリにしてるの……。その、永山くんを楽しませたくて……」
「へ?」
どういうことだ?
「ほら、言ってたじゃないか中学の頃。屋上に上ってみたいって」
そんなことを言った記憶は確かにある。
だけど、
「それで、開けます? 普通」
「だ、だって! あの頃の永山くん、毎日がつまらなそうだったから……。高校に入ったら、少しでも楽しくなれるようにって」
「はぁ……」
「ダメ、だった?」
いや、そんなことはない。
むしろ、
「いえ、ありがとうございます。お陰で楽しいですよ」
「よかった」
素直に答えると会長は笑ってくれた。
かわいかった。
その代わり、後ろの女性陣がむっちゃ怖いんですがそれは。
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