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「健っ! あんたこんなかわいい子と毎日学校通ってるの!?」


 違います違いますつってもなぁ。


 そう考えながら俺は母さんの後ろを見る。

 申し訳なさそうに香野が立っていた。


『ごめんね』


 そんなことをいっている気がする。

 それに俺は首を横に振って、


『いや、大丈夫』


 と伝える。

 すると香野は、


『ほんとにごめん』


 的なジェスチャー。

 だけどな、ほんとに悪いのはな?


「ねぇねぇ、どうゆうこと? モテ男よ~」


 この俺の母親だ。

 まぁ、いっか。


「はぁ。言わせてもらうと母さんは勘違いをしている」

「はぁ? どう考えたらそうなるのよ」

「まず第一に、俺はモテない」

「はぁ」

「第二に……」

「あー、もういいわ。めんどくさそうだし。んじゃ」

「は?」


 えぇ……。

 自分で聞いといてそれぇー?


「まぁ、人生の先輩である私から言わせてもらうと」


 母さんはそこで言葉をいったん区切り、そして


「自分に自信を持ちなさい。自信がなきゃ何をするにも痛手になるよ」


 と言ってきた。

 最後に、


「ま、あくまでも私の考えだけどね」


 と、付け足しをして。


「はぁ」

「んじゃ、そうゆうことで。あっ、後美花ちゃん。これからもうちの息子と仲良くしてくれると助かります」


 そして玄関に向かって歩きだした。


 今回は本当に社会に出るために。



ガチャリ


 玄関からその音が聞こえてくるとともに謎の疲れを感じた。


「はぁ。ごめんな、香野。朝から……」

「いや全然。こっちこそ」


 いや、今回はさすがに香野が謝る必要性はないぞ。

 まぁ、言ったところでこいつは聞きもしないだろう。


「ねぇ、美花さんと兄貴はもう行かなくてもいいの?」

「ん?」


 そう言われて時計を見る。


 やばっ。

 もう出ねぇと遅刻すんじゃん。


「おい香野靴はいて外で待ってて!」

「あっ、うん!」


 香野を玄関に行かせている間に階段を上り、荷物を取りに行く。


 自分の部屋に入りリュックを掴んでダッシュ。

 忘れ物? あったら諦めるから大丈夫。


 急いで靴をはいて外に出る。


「うしっ、行くぞ!」

「うん!」



 学校。

 そうかここは学校か。

 全速力で家の最寄り駅まで走り、電車に乗り、そして今に至る。


 朝のホームルーム開始10分前。

 余裕だったぜいえい。


 そんな謎の優越感に浸っていると、


「おっはよー!」


 鈴が来た。

 そしてその挨拶に応える仲間たち。


(良かったな)


 ほんとにそう思う。

 あんなに気軽に迎えてくれる仲間がいる。

 それだけで大分違うだろう。


 それに対して、俺。


 ぼっち。

 周り誰もいない。


 うん。

 諦めよ。


 そう俺が諦めモードに入っていた時だった。


「おはよ、健くん」


 声をかけられた方を見ると天使がいた。

 まず俺に話しかけてくる時点で天使。

 他に話しかけてくるやつはティッシュ配りのお姉さんだけだ。

 なにそれ。

 まぁ、取り敢えず


「おはよう、須藤」


 そう返す。

 すると須藤はかわいらしい笑顔とともに、


「はい」


 と応えてくれるではないか。


 やったぜ。


読んでくださりありがとうございます!

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