ゲーム
「クソッ!」
「コノー!」
「チッ」
「あっ、その舌打ちガチのやつ~!」
「黙れ。集中しろ」
「すいません……」
俺と会長はゲームをしていた。
格闘ゲームだ。
戦績は13勝2負で俺が勝っている。勝ったところでなにもない。
あるのは謎の虚無感だ。
だが、今の時間は本来授業を受けているはずだ。
「ほんとありがたいですよ会長」
「な、なにが?」
「こうやってゲームできる環境くれたことに」
「サボり報告されたいの!?」
「あっ、隙ありっ」
「あぁっ!」
う~ん、権力の大勝利。
今度なんか奢ろ。
おいしいスイーツ屋さん探さねぇとなぁ。
「そこ隙よっ!」
「へっ」
「あぁん、もうっ!」
「会長、いい加減やめません? 飽きたんですけど」
「えぇ~」
「えぇって……。分かりました、もう一戦だけですよ?」
「やったぁ!」
そうして、俺たちがもう一戦やろうかと対戦準備を始めていたら
「いい加減にしろっ!!」
との声とともにテレビの電源が切れた。
「「へっ?」」
俺と会長の声が重なる。
会長が後ろを振り向いたまま固まっている。
俺も見る。
あら、ビックリ仰天、そこには鈴が立っているではないか。
「おう。もう大丈夫か?」
一応聞いておく。
「大丈夫もなにもあんたらがうるさすぎて起きたよ!」
「あっ、それはすまん?」
「なぜ疑問形!?」
良かった。元気そうだ!
「あっ、じゃあ電源入れ直して。やるでしょ?」
「はぁ? バカじゃないの?」
とか言いながら電源を入れ直す。
「会長、邪魔です」
「へ?」
ダメりゃこれ。
完全に思考停止だな。
「香野」
「うん?」
俺はここまで沈黙を貫いていた香野に
「会長、邪魔」
とだけ告げる。
「? あっ、そうゆうことね」
そうすると香野は会長を後ろに連れていく。
引きずって。
「ねぇ、君たち私の対応雑すぎない……?」
とか会長が言っている気がするが聞こえない。
「うしっ、鈴やるぞ~」
「はぁ。別にいいけどさ」
と渋々ながら付き合ってくれる。
「……ありがとね」
と、ゲームの起動を待ちながら鈴が聞いてくる。
「なんのことだ?」
一応すっとぼける。
「はぁ、分かんないの? 教室でのこと」
「あぁ、あれな」
「うん。ほんとありがとう」
「別に。普通のことをしたまでだ。感謝すべきは香野だぞ?」
「それは分かってるしもうちゃんとお礼はした。だけどあんたにもしたいから」
「ん。分かった」
そしてゲームが始まる。
「おりゃぁっ!」
「へっ」
「は?」
「おう?」
「隙ありぃっ!」
「なっ! ちょっ」
「やったぁ! 私の勝ちっ!」
「待て、もう一回だ。もう一回」
「えぇ~な~に~?」
「チッ」
「へぇー、諦めるんだ~、へぇー」
「もう一回やらせてくださいお願いしますっ!!」
「おうっ、受けてたとう」
「は?」
「うん?」
「あん?」
「おう?」
「……」
「……」
「……ククッ」
「……プッ」
「あはははっ!」
「ははははっ!」
あぁ、ほんと楽しいな。
こいつは元気なのが1番だ。
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