休日2
「う~ん……」
「なぁ? 俺には分からんのだ」
「……確かにあんたには分かりそうもないわ、これ」
駅構内のファミレス。
飲み物をちびちび飲みながら俺は語る。
「何故、2人が俺を下の名前で呼び始めるのかが……」
「へぇー」
どうでも良さそうに聞き、たまに相槌を打ってくれる鈴と、もはや聞いてすらいない隼に。
「なぁ、どうなんだ? お前も女子だろ?」
「やっ、そうなんだけどねぇ」
「分からない、か……」
「……うん。さすがにあの2人のことはちょっと……、女子力が違いすぎる……」
「いや、いいんだ。ありがとな」
そうやって俺たちが撃沈されていると、
「別に鈴が女子力低いわけではないよ」
「隼……」
すかさず隼のフォローが入った。
「ただ健が気付かないのが悪いんだから」
「えぇ……」
俺に対するフォローはないらしい。
なのに俺に対する罵倒はあるらしい。
「まぁ、普通の男なら気付かないことだから。大丈夫だよ」
フォローあったわ。
「そうなのか?」
「うん。基本はね。でも、モテてなさそうなやつの『あれ、俺のこと好きなんじゃね?』は基本外れてるから」
「えぇと?」
「それだけ。深い意味はないよ」
「おっ、おう?」
結局、なにが言いたかったんだ?
「つか、今何時よ」
「えっ、12時前だが?」
「あ~どうりで腹が空くわけだ。なんか食べよう、なんか」
「おう、そうだな」
ほんとにこいつ女子力あんの?
「ふ~、食った食った」
ご飯を食べ終えご満悦の鈴さん。
だけど、
「そうゆうのは普通男子が言うのでは?」
「あ~、聞こえない聞こえない。私、女子力あります~」
女子力なんたらかんたら言うやつに限って女子力ないって俺聞いたことあるぞ。
「さて、どうする? この後」
「帰る」
「帰りたいかな」
速攻で帰る攻撃がきた。
こんなん防ぎようがねぇよ。
「んじゃ、帰りますか」
「ほーい」
一緒の電車に乗り、一緒に帰る。
なんかいいな。
「そういえば明日だよね、範囲配られんの」
「うげっ」
やぺっ。
「あれっ、またやばい系?」
「そうですそうです」
もう否定すんのめんどいな。
「うへぇ。だから日々の積み重ねが大事だって……」
「そのくらいにしてあげなよ、鈴」
「はぁ。わかりました~。ったく、ホントなに考えてんのよ」
心に直接響きます。
話題を変えて逃げ切ろう。
「でも、俺たちの高校ほど2学期が地獄なのも珍しいと思うぞ?」
「あー、確かに。文化祭からの体育祭からの青雲祭でしょ?」
「あぁ」
「確かにねぇ」
そうなのだ。なんとめんどくさい。
夏休み前から準備を始め、夏休みも作業して、9月の最終金曜日から3日間もやるとかいうちょっとばかし馬鹿げたものだ。
その代わり月曜は片付けなので授業がない。やったね。
そして翌日からは体育祭準備。
場合によっては青雲祭の準備。
めんどくさいったらありゃしない。
その代わりマラソン大会がないらしい。
プールもない。
なんだこりゃ。
まぁ、生徒会長から聞いた話だが。
「ほんとにめんどくさいなぁ」
「うん」
そんな会話をしていてもどんどん電車は進んでいく。
「あっ、次で乗り換えだね」
「そうだな」
電車は進み、乗り換え駅に着く。
電車を降り、改札を抜ける。
「あっ、それじゃあ」
「は?」
「やっ、俺今日本買って帰ろうと思ってな」
「ふーん。じゃあね」
「おう、隼もな」
「うん、じゃあね」
そういって2人は帰っていく。
それを見てからおれば本屋に向かう。
だけど、この時俺は知らなかった。
この選択が間違っていたことに。
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