休日
「どはー!」
朝だ。
雲1つない、青空だ。
「うーむ」
そんな曇りのない天気とは裏腹に、俺の頭のなかは曇りまくっていた。
嵐の来る1秒前。
時は、昨日の香野のあの発言に戻る。
この展開、2日連続。
何か作為的なものを感じるぞ?
香野の、
「私も、健くんって呼ぶから! じゃあね!」
という発言の後、俺は固まっていた。
主に、
(「も」、とは?)
という思考が頭を占めていたから。
何故、「も」なのか。
うーむ。
俺を健なんて呼ぶのは2人しかいない。
よって、可能性は2つに限られる。
(だとしても、なぁ~)
納得いかんのだよ。
取り敢えず、帰るか。
そう考え、歩き始める。
階段を下り、電車を待つ。
電車に乗り、席に座る。
ここまで、1分。
(つってもなぁ)
どっちの可能性も低いんだよな。
まず、鈴だった場合。
この可能性はないだろうな。
だって、それだったら中学の頃に呼ばれててもおかしくない、気が。
次に、ていうか最後か。
まぁ、須藤の場合か。
これも低いだろうな。さすがに1日だぞ?
うーむ。
うん?
そういや、なんで俺を『健くん』と呼ぶ必要性が……?
分からん。
そう悩んでいたとき、
「次は~、次は~……」
あっ、やべ。
乗り換えだ。
急いで席を立つ。
シュー
ドアが開く。
ホームに足を踏み出す。
改札を抜け、駅を出て、乗り換え駅に向かう。
「うーむ」
歩きながら考えていた。
どうして、どうして。
考えが思い付く度、これは違う、あれも違うと否定した。
どれも推測の域だというのに。
そう考えていたからだろう。
このどんよりとした気分は。
時刻は9時を少し回っている。
(気分転換に遊びにいくか)
そう思い、身支度を整え、階段を下りる。
「あれっ、兄貴どっか行くん?」
寝起きであろう雪が話しかけてきた。
「あぁ。何か欲しいものでも?」
「いや、それは昨日の買ってきてくれたから大丈夫。それより、昼飯はいる?」
「頼んだ」
「うん」
そんな会話をして俺は玄関に向かう。
「いってらっしゃ~い」
「おうっ」
ドアを開け、外の世界に足を踏み出す。
(どこいこ)
取り敢えず、電車に乗って近くのでかい駅に行くことにした。
なんかあるやろ、知らんが。
電車にのって、スマホを適当にいじってたら
「次は~、次は~……」
と、車掌のアナウンス。
席から立ち、電車を降りる。
流石ターミナル駅。いや、ターミナルかは知らんが。
多くの若者が降りていた。
や、俺も含めてだよ?
階段上がり~の、改札抜け~の、……。
うん。来たのはいいけどマジなにしよう。
取り敢えず、ほっつき歩くか。
駅の構内をえっちらほっちら歩く。
(うん?あれは……)
そこに見えたのはどう見ても、鈴と隼だった。
(よし、ばれないように逃げるぞ!)
そう逃げようとしたその時だった。
「あっ、健~! お~い!」
と、腕をブンブン。
隣では隼がめっちゃ苦笑。
俺は赤面。
目立つからヤメレ。
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