カフェ2
「お待たせしました~。チーズケーキセットとチョコレートケーキセットです」
運ばれてきたそれはなんというか、普通に美味しそうだった。
特に感想とかないよね、普通。
てなわけで実食。
「うまっ!」
うん。やっぱり普通にうまい。
「うん。ホントうまいね」
もぐもぐ。
ごくごく。
もぐもぐ。
ごくごく。
もぐ……。
ごく……。
何度かこの繰り返しをして、食べ進める。
「で、なんで俺をカフェに誘ったんだ?」
そう、ケーキを食べ進めながら疑問に思っていた。
「えっ、何でって言われても…」
「うん」
「えぇと、普通にお茶したかっただけなんだけどな~……」
後半ほとんど聞こえなかった。まっ、いいか。
……
……
って、ならねぇわ! 普通に考えて!
この距離で聞こえねぇとかヤバイから!
鈍感ラノベ主人公は耳鼻科行けよ!
何かの作品でそれ批判してるやついたけど、まじでその通りだわ!
と、一通り文句を言ったところで。
「まっ。いいけどな。次も誘えよ?」
「えっ? あっ。うん」
「うし。じゃっ、今日のは俺持つから」
「えっ!? いいよ、そんな」
「お礼。化粧品探してくれたからな」
「う~ん」
「まっ、細かいこと気にすんな。嫌なら今度遊びにいくときに奢ってくれてもいいんだぞ?」
「すいません、ゴチになります」
「それでいいのじゃ」
万事解決。
お礼言えたし、次遊ぶことも了承させたしな!
一石二鳥、やったぜ。
ケーキを食べ終え、いくらか雑談をした後、席を立つ。
「んじゃ、払ってくるわ。外で待っててくれるか?」
「うん。ありがとね」
そう言って、レジに向かう。
(ありっ? いねぇな)
「すいませーん」
「はーい。今行きまーす」
来た店員にレシートを渡す。
「げっ」
「はぁ。げっじゃありませんよげっじゃ」
「すいません……」
こいつ、あの態度の悪い店員か?
「あなた、青岩高校ですよね?」
と、レジを操作しながら店員。
「えぇ、まぁ」
「なら、青雲祭知ってますか? あっ、1760円です」
「まあ」
2060円渡す。
「ふふっ。なら楽しくなりそう」
「はい?」
「はい、300円です。またの来店お待ちしてます」ニコッ
いや、ニコって。
接客笑いでないと思えてしまうのが怖い。
「……ぜってぇ、来ねぇよ」
それだけ言って逃げるように歩き出す。
はぁ。無駄に疲れた。
「おまたせ」
そういうと香野は、
「ううん、大丈夫。行こっか」
と、言う。
それに俺は、
「ああ」
と、答える。
えっ、どこに?
そんなことを思いながら香野の背中を追う。
「じゃっ、私あっちだから」
香野は改札を通ったところで行ってきた。
うん、知ってた。流れ的にこれが妥当だよね。
「おお。じゃあな」
そう言って香野とは別れる。
はずだった。
「永山君っ!」
その声と共に背中に衝撃が来る。
ほんのり暖かくて、柔らかい。
?
??
???
俺、抱きつかれてます?
そう意識した瞬間顔が熱くなる。
いや、顔だけでない。
全身だ。
「な、なんだ?」
辛うじて声を返す。
「私も……」
「……私も?」
「わっ、私もっ!」
「おっ、おう?」
「私も、健くんって呼ぶからっ! じゃあね!」
そう言うと、背中の暖かさはなくなった。
うん。わたし「も」って?
読んでくださりありがとうございます!
よろしければ、ブックマーク、評価の程、よろしくお願いします!




