カフェ
「いらっしゃいませ~」
カフェに入ると店員さんの元気な声が聞こえてきた。
「何名様でしょうか?」
「2名です」
「分かりました。では、こちらへどうぞ~」
店員さんに案内されたのは窓際の席だった。
「ご注文が決まりましたら声をかけてください」
「はい」
「では、ごゆっくり~。チッ」
うん? 今なんか舌打ちが聞こえた気が……。
まっ、気のせいか。
そう考え、メニューを取る。
「ほ~ん」
どれも美味しそうだ。
「香野は何にするか決めた?」
「う~ん、さすがにまだ見始めたばっかりだし」
「それもそうだな」
もう一度、メニューに目を通す。
う~ん。チーズケーキ、チョコレートケーキ。
どっちも捨てがたい。
う~ん。
「私、決めた」
「おっ、どれにした?」
「チーズケーキのセット!」
「あ~、いいね」
香野がチーズケーキ、か。
なら俺は……!
「すいませーん」
と、店員を呼ぶ。
「は~い。今、行きます」
さっきの店員と同じ声だ。
「はい。ご注文はお決まりでしょうか?」
「えー、チーズケーキ1つと、チョコレートケーキ1つ。どちらもセットで」
「かしこまりました。では確認します。どちらもセットでチーズケーキとチョコレートケーキ、ですね?」
「はい」
注文を取って、店員はバックヤードに戻っていった。
あの店員、可愛くね?
「永山君?」
ニコッ、と香野さん。
やだなぁ。冗談ですよ、冗談。
「何?」
「何でもないよ? ただ、あの店員さん、可愛かったよね~」
またしてもニコッと。
「そっ、そうだった?」
冷や汗の俺。
「じゃあ、何であの店員さん見つめてたのかなぁ?」
「そ、そんなことないぞ?」
「ふーん」
「ホントダヨ?」
「ま、いっか」
よかった。
どうやら逃げ切れたようだな。
第一、あの店員さんは可愛いと思うが香野の方が断然可愛いしな。
「な、永山君!? 何、言ってるのかな!?」
「へ?」
そこには赤面の香野。
何故?
あっ。まさか。
「……もしかして俺、声出てた?」
「……うん」
と、頷く。
うわぁ。何やってるんだ、俺。
「何あのバカップル」
そんな声も聞こえた気がした。
読んでくださりありがとうございます!
よろしければ、ブックマーク、評価の程、よろしくお願いします!




