買い物2
暑い……。
さすがにもう6月だしな~。
湿気も相まってダブルパンチ。
「はぁ~」
まぁ、そんなことも言ってられない。
これからどんどん暑くなるしね!
「冷たっ」
暑かったから買った水が冷たい。
想像の何倍も冷たい。
ガタンゴトンと揺れる電車に身を委ねながら考える。
(雪に頼まれた化粧品、名前何だっけ?)
いや、何となくは覚えてるんだよ?
なんかこう大体の枠組み、みたいな?
だけどね? 正式名称が分からんのだ。
どうする? どうする、俺……。
(ここでの選択肢は一体何個ある?)
1つ。
雪に連絡をとる。
却下。勉強の邪魔になる。
2つ。
店員に聞く。
却下。店員怖い。
……
……
……、もうだめだこりゃ。地道に探すか。
そんなこんなで一瞬にして諦めてローラー作戦に走りました。はい。
「う~ん」
これも違う。あれも違う。それも違う。
見つからん。
どうする? 店員に聞くか?
だがな~。
と、悩んでいた俺は気づかなかった。
「永山君?」
ここに答えを知ってそうな女の子がいることに。
「香野! 話がある!」
「うわっ!」
「あっ、ごめん」
「ううん。で、話って?」
「あぁ、それなんだが」
そこで俺はここまでの流れを簡単に伝えた。
すると香野は、『ちょっと待ってて』と俺に告げどこかに消えてしまった。
取り敢えず待てばいいのかな?
よく分からんが。
2、3分待って香野が戻ってきた。
その手には化粧品が。
「おっおい。それって」
「うん。たぶんこれのことだと思うんだけど、合ってる?」
手に握られた化粧品の名前を見るとそれは雪に言われた化粧品の名前と合致していた。
「おっ。これだ。ありがとな」
「ううん。お役にたてたなら何よりかな」
「あぁ。まじで助かった。ありがとな」
そう言って俺は化粧品を香野から受け取り、レジに向かう。
「あっ、あの、永山君!」
「んあ?」
「そ、その、そこのカフェでお茶しない?」
「お茶?」
「う、うん。だめ、かな?」
う~ん。だめと言うことはないが、雪のお使いだしな~。
「ちょっと待って。妹に連絡取ってからでいい?」
「うん、分かった」
そう言ってから俺はスマホを取り、雪に連絡をいれる。
「香野と飯食ってくる。あと、これであってる?」
ついでに化粧品の写メも送る。
するとすぐに既読がついて、
『合ってる。飯はいる?』
と。
「うん、いる。じゃ」
と返してスマホを閉じる。
「OKでた。じゃっ、これ買ってくるわ」
そう香野に告げ、レジに向かう。
高っ。化粧品高っ。
なにこれっ。
ラノベ何個分よ。
俺はついていけねぇな。
と、女子の化粧事情に言葉を失っていると、
「大丈夫?」
と、香野に心配された。
「大丈夫だ」
「ならよかった」
と、笑顔。
うん、可愛いぞ。
だけど、これだけは言っておかなくては。
「女子って大変だな……」
香野はポカンとしていた。
うん。俺もそう思う。
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