テスト勉強
「で、そこでこの公式を」
「ええと、こういうこと……?」
「うん。そうそう」
「おお! 分かりやすい!」
「そんなことないよ。永山君の理解が良いだけ」
「そ、そうか?」
「うんうん。だから手を動かして?」
「あ、はい」
夕暮れの図書室。
「あと一周!」
「「「はい!」」」
窓の外からはそんな運動部の威勢のいい掛け声が聞こえてくる。
で、何でこうなったか。
そう、それは昼休み……。
「手を、動かす」
「あ、はい」
怖ぇ。
昼休み。
話題は朝配られたテスト範囲で持ちきりだった。
というのは嘘です。
ごめんなさい。
「で、なんで須藤さん。なんで居て当然のようにここに居るの?」
「え、誘われたからですが?」
「へぇ。誰に?」
「永山君ですが?」
「へぇ。そうなんだ。それは本当? 永山君」
そこで俺を見ないでください。
「あ、あぁ。いや、ほらこいつ友達がいないっていってたし、ね?」
「はぁ」
「ダメだったか?」
「ううん、そういうことじゃないの! だけど、ほら、ね?」
「?」
なにいってるんだ?
「いやー、健はホントモテるね~」
「うん。僕が嫉妬するレベルだよ」
こいつらはこいつらでなにいってるんだ?
いかん、このままでは俺の話が出来なくなってしまう!
無理矢理にでも流れを引き込まなくては!
「な、なぁ。鈴とかはテスト勉強どうするんだ?」
そう。これが聞きたかったのだ。
「うん? 普通にするけど?」
「いや、そういうことじゃなくてだなー」
「じゃ、どゆことよ?」
「えーと、どんな風に勉強するのかな~って」
「あ~。それなら私より隼のが分かりやすいと思うよ」
「そ、そうなのか?」
「うん。ね、隼」
そこで隼が頷く。
「まぁね」
「へ~。それ、教えてくれないか?」
「いいけど、簡単なことだよ?」
「あぁ。それでもお願いします!」
「うん。まぁ、ホントに簡単なことだよ。毎日の予習、復習。これが物を言うね」
あ、ダメかもしれない。
だが俺は、まだ諦めない!
「それだけ、か?」
「うん。他にもあるけど結局はこれがしっかり出来てないとね」
すいません。駄目でした。
「そんなことよりさぁ、健。こっちの女の子たちどうにかしてえ」
「は?」
鈴に言われて見るとバトルが行われていた。
俺にどうしろと?
その後は何とか香野と須藤をなだめ屋上を後にした。
屋上の鍵を返しにいくと伝え、皆には先に行ってもらうことにした。
屋上の鍵を生徒会室に返しにいく途中俺は、
「永山君」
と、背中をつままれた。
正確にはワイシャツか。
それで後ろを振り向くと、香野がいて
「……勉強、教えてあげようか?」
と、言ってきて今に至る。
「ほらほら、手を動かして」
「ん」
「よろしい」
だから俺はこう伝えるのだ。
「大事な勉強時間を俺にくれて、ありがとな」
「……うん」
遅くなりすいません。
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