テスト範囲
昨日投稿できずすいません。
電車を降り、改札を抜ける。
駅を出た瞬間、体が熱気に包まれる。
「暑っ」
「ホントだねー」
さすがにもうそろ5月だ。
暖かいというより、暑い。
学校までの道のりを歩きながら、言葉を交わす。
「香野、結局部活入らなかったな」
「うん。入りたいと思う部活もなかったしね。それに……」
「それに?」
「部活入ったらこうして永山君と一緒に登下校できないしね」
「お、おう」
そんななんとも思ってないように見せてるけど実は顔が少し赤くなってる笑顔は反則だぞ?
耐性ついてるわけないやろ。
「でも、吹奏楽入らなくてよかったのか? 俺たちの高校普通に強かったとは思うが」
「うーん……。そこまで本気じゃないんだよねー」
「そうか。どっか別のところでやったりはしないのか?」
「うん? なに、やってほしいの?」
と、問うてくる。
だから俺は本心を伝える。
「ああ。俺、音の良し悪しはわかんないけどお前の楽器を吹いてるところは好きだけどな」
言い終わり、香野の方を見ると顔を赤くしていた。
(なぜ?)
「おまっ、どうした……?」
心配になり聞いてみると、
「……永山君が悪いんだよ……」
と、返ってくるではないか。
しかも小声。
(わからん)
しゃあない。切り替えていこう。
「ま、まぁあれだよな。隼と鈴は順当にいったな」
速攻で噛んだ。
だめだこりゃ。
「うん、そうだね。2人ともすごいよね。あれで勉強もできるんだよ?」
「俺への当てつけか何かかな?」
「うーん、どうかな?」
「おい」
くそー。この青岩高校に入れただけでも十分すごいんだぞ?
文武両道を掲げ、入るのにも中学で好成績を維持してないときついし、部活もハイレベル。
とはいえ、部活は強制ではない。加入率、9割越えなんて事実は知らん。
だから、入学試験の順位が低いとかも知らん。
「まっ、実際すごいよ。あいつらは」
「ホントホント。たしかスポーツ推薦蹴って、入試でも2ケタ順位でしょ?」
「ああ。今年、1000人規模の受験だったと思うんだがな……。ははっ。レベルが違う」
「……うん」
そんなことを話しているうちに高校が見えてきた。
そのまま校門を通り、下駄箱に向かう。
靴を履き替え、教室に向かう。
教室の前で、
「じゃ。また後で」
というと、
「うん。また後で」
と、言って小さく手を振ってくる。
それに小さく手を振り返すと、彼女は小さく笑って教室に向かった。
それを見届けてから、教室に入り、席に座る。
えっ、視線を感じる? そんなことないよ。
そう思わないと死ぬよ?
ホームルームが始まるまでに時間があったので、机に突っ伏して少し寝ることにした。
というより、眠い。眠すぎる。
くそー、今日は早く寝よう。そうしよう。
「お~き~ろ~!」
「うわっ」
そんなことを考えていると、思いっきり背中を叩かれた。
痛い。
どうせこんなことをする奴はあいつしかいない。
というより、このクラスで俺に話かける奴が一人しかいない。
悲しい。
「おい、鈴」
「あれっ。バレた」
「当たり前だ。で、何?」
「いやっ、もうそろホームルーム始まるよって」
「……ああね。さんきゅ」
「うん。じゃね」
「おう」
そうして鈴は席に戻った。
キーンコーンカーンコーン
その音とともに教室のドアがガラガラとあいた。
「そんじゃお前ら、テスト範囲配るぞ~」
と、担任。
「え~」
と、生徒。
そして配られるプリント。
テスト範囲が印字されたプリントを後ろに回しながら流し見する。
「うげっ……」
多すぎワロタ。
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